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花with疾風vs迅雷

戦闘が始まった直後、リンドウが黒紫色の雷を纒う。最初に見せてくれた、リンドウの魔法。きっとさっきよりも比べ物にならないくらい強く______


ぼくの考えを遮るように、稲妻のような速さの蹴りが飛んでくる。間一髪で防げたものの、こんな速さの攻撃が何発も飛んでくると思うとゾッとする。きっと攻撃を見切る余裕なんてない。


「今のを防ぐかよ。だがまだまだこれからだッ!」


リンドウの脚が再び電気を帯びる。攻撃の構え。蹴りか、パンチか...?どちらにせよ速い、がそれ故に弱点はある。あれだけ速ければ途中で攻撃の軌道を変えるなんて到底無理だ。攻撃が直線的になる。なら、来るとわかっていれば魔法で防ぐことは簡単だ。


盾を前に押し出して構える。盾で防いで攻撃の隙をガウラくんが突いてノックアウト。完璧な作戦だ。対するリンドウは電光石火の踏み込み。予想通り。勝ちを確信して片頬が吊り上がる。


______何かはわからないけど、違和感がちくり、と頭のすみっこを突く。


正面からの攻撃と、万全の状態の盾。有利なのはこっちなはず。

なのに、なんでリンドウは笑って_____________?




さっきのカルミアのボディーブローはラッキーパンチだと思いたい、がどうしてもそうは思えねぇ。明らかにあいつは俺の攻撃を見切っていた。急成長の理由はおそらくあの耳と尻尾を生やす魔法。効果の中に身体能力の向上も含まれていたんだろう。あれはカルミアの自前の能力じゃない。大方あのブローチに込められていたとかか。発動のトリガーはわからん、だがそれを探りながら戦うのは性に合わねぇ。


魔法で強化した状態の蹴りも偶然だろうが防がれた。あの盾は思ってたより厄介だな。

まだあの強化魔法は発動していないみてぇだが、それでも防がれるってのは相当だ。こういうときは発動する前に沈めちまうに限る。


全速力の蹴りを放つべく脚に力を溜める。このまま思い切り踏み込めば最高速度で蹴りにいける。だが、そう簡単じゃないらしい。すでにカルミアが盾を構えている。このまま行けば防がれてカウンターを食らう。あっちもどうせそういう作戦だ。蹴りは直線にしか出せない、とでも考えたんだろう。まぁ、実際はほぼその通りだが。


それならこっちにだってやり方がある。そのニヤけたツラをぶっ飛ばしてやる。





瞬間、リンドウが踏み込む。来る........!!


だけど、いくら待っても衝撃がやってこない。リンドウの姿を確認しようにも砂埃が辺りを覆ってよく見えない。まさか狙いはこの目眩ましか!?


「俺の弱点を見抜いたつもりだったんだろうが、残念だったな」


その声が耳に届いたとき、僕の横腹にはすでに強烈な衝撃が叩き込まれていた。


「うぐっ...かはっ」

全身の血の気が一気に引いていく感覚。息がうまく吸えない。



急に、嫌な記憶がぶわりと蘇る。そうだ、こんな感覚を味わったのは初めてなんかじゃない。


ようやく砂埃が晴れて見えたリンドウの姿に、最も嫌いで、恐ろしかったヒトの姿が重なる。違う、リンドウはあんな人じゃない、と理性が否定するけど、こびりついた記憶がうざったく訴えかける理性を殺して身体を立ち上がらせる。

もうあの時の自分じゃない。復讐できるチカラがある。ならそのチカラを使わないわけにはいかないだろう、と語りかける声が聞こえた気がする。


そこで、僕の意識は途切れた。次に目覚めるまでの記憶はない。


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