いっしゅんで
投稿遅れてすみません、体調不良でぶっ倒れてました…
書き溜めってすごい大事
勝負は一瞬で決まる。だけどその一瞬がいつかはわからない。だから、ぼくはこの戦いにおいて常に全力を尽くさなきゃいけない。
「「じゃんけん...ぽん!」」
結果は互いにグーで、あいこ。
「「あいこで...しょ!」」
まずい、負けてしまった。追撃をどうにか避けるために、相手の手に意識を集中させる。
「あっちむいてホイッ!」
相手が指したのはぼくから見て右。対するぼくは左を向いている。つまり勝負続行だ。
かれこれ10分くらい続いているけど、一向に勝負がつかない。そろそろお互いに集中力が切れそうだけど、先に切らすわけにはいかない。絶対に勝ってやる。
「「じゃんけんぽん!」」
また負けた、どっちに来る...?
「あっちむいて…!」
相手...ガウラくんの指が動く直前、唐突に玄関のドアがガチャリと開かれる。
長期戦ですり減った集中力ではそれを無視することなど出来ず、ついにドアの方を向いてしまう。
まずい、と気づいたときにはもう遅かった。
集中の隙間を突いて、ガウラくんが指したのはドアがある方向。それが意味するのは……
「負けた…」
「勝ったー!」
ガウラくんはもーらい、と嬉しそうに最後に残った一枚のクッキーを頬張る。ドアが急に開いたりしなきゃ僕が食べてたはずなのに。すごく美味しそうに食べるからまぁいいか、っていう気になるけど、それでも食べたいものは食べたい。
ドアの方を睨むと、負けた原因を作った真っ黒な龍人はふてぶてしい態度で口を開く。
「なんだよ」
「リンドウのせいで負けたじゃん!」
「知らねえよ」
「ふぁふぃひひひはほ?」
「何言ってるかわかんねえよ!飲み込んでから話せ!」
「なにしにきたの、だって」
「なんでわかるんだよ...」
ふふん、と自慢げに鼻を鳴らす。この子はよく食べながら話すから、なんとなく言っていることがわかるようになってきた。
リンドウは呆れたようなため息をつきながら、ズボンから何かを取り出した。
「忘れもんだ」
そう言うと、取り出したものをぼくに向けて投げた。
忘れ物なんて心当たりはないけれど、なんだろう。受け取った瞬間、冷たい金属の感触が手を伝う。
手の中にあったのは、猫を象った、銀色のブローチ。やっぱりこんなものを持っていた記憶はない。なのに、すごく大事なもののように思えるのはなんでだろう。
「...ありがとう」
「んじゃ、俺はもう行くぜ」
くるり、と振り返った背中を見て、ふと気になったことがあった。
リンドウ...いやリンドウだけじゃないな。この島の人たちってなにをして過ごしているんだろう?




