花弁は散り、風によりて舞う 二
早めに寝たので、今回は思いっきり寝坊することなく、朝に目が覚めた。起き上がって周りを見ても、誰もいない。どうやらもうみんな起きているみたい。
朝ごはんを食べるべく一階に降りる。
あれ?ペンタスさんしかいない。他の二人はどうしたのかな。
「おはよう、カルミアくん。二人なら修行の準備だっていってもう言っちゃったわよ。」
起きるのちょっと遅かったかな。いやでも起こされなかったしあの二人が早いだけだよ。うん。ぼく悪くないよ。
朝ごはんを食べて歯も磨いて顔も洗って、準備万端な状態で修行の場所に向かう。どうやらぼくがサメに食べられかけたあそこでやるらしい。
そこそこな広さがあったから、うってつけな場所なんだろう。
修行ってなにするのかな、ほうきで空を飛ぶ練習したり?
なんてことを考えながらウキウキな足取りで修行場所へ向かう。
ウッドデッキの前に行くと、奥の方でガウラくんがぼくに手を振っていた。オルレアさんとヤツリさんもいる。
「カルミアくーん!おはよー!」
「おはよー!」
待たせちゃってたみたいだから、急いで駆け寄る。
「よし、二人とも揃ったね。じゃあこれから修行を始めるよ。」
「何するのー!?」
「二人にはまず、30分間座禅を組んで瞑想してもらうよ。」
ざぜんをくんでめいそー?
ガウラくんもなにそれ?って感じで首を傾げてる。
困っていると、ヤツリさんが説明を入れてくれた。
「こんな感じで座って、目を瞑って静かに意識を集中させるの。寝ちゃったらだめだよ?」
えぇー、それを30分も?と思ってしまう。ここでガウラくん。まるで僕の気持ちを代わりに言ってくれてるみたいだ。
「何それつまんなそう!」
「これも修行だよ。後でもっと体使ったりするやつもあるからね。それにヤツリでもできるんだ。そんなに難しいことじゃないよ。」
ちょっとそれどーいう意味よ!とヤツリさんが怒りだしたけど、放っておいて実際にやってみる。
確か足を組んで座って手をこうして、目を瞑る。
ゆっくり深呼吸して、意識を集中…意識を集中ってどうやるんだろ。昔観たテレビでこういうのは頭を空っぽにしてやるのが大事って言ってた気がするから、ぼーっと何も考えないでいてみる。ぼーっとするのは得意だ。
頭の中が静かになったことで、肌を撫でる風の感触、川を流れる水の音、甘くただよう花の匂いなどが、普段より綺麗に、はっきりと感じる。
意識を集中するってこういうことかな。
急にぽん、と肩を叩かれる。何事だ。
「はい、そこまで。すごい集中力だね、二人とも。」
いつの間にか30分経っていたらしい。全然そんな感じしないんだけど。
その後は、すごろくとかツイスターゲームとかトランプとかダーツとかをいっぱいやらされた。楽しかったけど、これほんとに修行なの?そう訊くとオルレアさんは毎回修行だよ、って言うけど、とても信じられない。
一通り遊び尽くしたあと、とうとう最後の修行が始まる。
「最後の修行は、この人形に一発攻撃を当てること。」
そう言うとオルレアさんは、どこからかオルレアさんによく似た人形を取り出して立たせる。
「なにそれかんt」
きっと何それ簡単じゃん、と言おうとしたガウラくんの言葉を遮るように、オルレアさんが割り込む。
「ただし、僕らの攻撃を掻い潜りながらだ。
僕とヤツリ、二人がかりで君達を邪魔する。もちろん君達も二人がかりで協力しながらこの修行に挑んでくれ。」
「今日中に出来なかったら、出来るまで毎日ずーっとこれだよ!」
そう言うと二人は杖や本を構える。
よーし、今日中に達成してやるぞ。
「行くよ、ガウラくん!」
「うん!」
実はカルミアくんの魔法は防御するだけじゃなく攻撃できる性能も備わってる。本人はそれに気づくのかな?




