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宿探しRTA世界記録(失敗)

…………


「おーい、まじかよ。」


もう日も落ちて夜店が、道を照らしている。


その道の端で、壁にもたれながら黄昏ている男


竜と別れた後、拓斗はすぐに宿を探した。


宿がないわけではない。ここに行き着くまでに、すでに六軒以上宿に入った。


そして断られるを繰り返した。


別に拓斗に問題があるわけでわない。問題は拓斗の持っている袋の中にあった。


竜から渡された袋には、白銀のコインが入っていた。


竜貨と呼ばれるこのコインは、それぞれ銅、銀、金、白金と、種類があるらしい。


そして、このコイン、白金竜貨は、市場でも出回らない超高価なものである。


「あいつまじで何してんだよー。」


そう、渡された竜貨、それを両替できる宿がなかったのである。


今まで全滅、これから先も全滅だろう。野宿も決定!


諦めて、腰を下ろそうとした時…


「やあ、旅の人だよね。宿がなくて困ってるんだったら、僕の家に来るかい?」


顔のいい青年が、拓斗に話しかけてきた。


茶色く、長い髪を、後ろで結ったような髪型の好青年、年は20代ぐらいだろうか?


普通に話しかけられる分には問題なかったのだろうが、今は、少々怪しすぎる。


この夜で道の端っこで項垂れてる奴を気にかけるお人好しはまずいない。


「なんで、宿がないと思うんだ?」


「だって、君の後ろが宿だもん。こんな時間に宿の前で黄昏ている奴なんて宿に入れなかった奴だけだろう?」


確かにそうだ。自分はいま先刻断られた宿の前にいる。状況判断でそう捉える事も出来るだろう。いや、できるか?


俺だったら最初にそんな考え方はしない。精精ギャンブルに負けたか酒にうなされている奴か、その二択ぐらいだろう。


「で、その宿を断られるような奴に何円で家を貸そうってんだ?」


「ナンエン?まあ宿代はタダでいいよ。困ってる人を助けるのに金はいらない。」


見た目どうりの好青年。この世界で?


拓斗は考える。しかし、確実に悪い奴とも捉えられない。ここは一旦乗っとくか?


「へーへー善意をありがとう。じゃあ泊まらせてもらうわ。」


そう言って拓斗は腰を上げその青年についていく。


光で照らされている道を歩いていくと、青年が、道を外れて光のない小道へと歩いていく。


「おいおい大丈夫なんか?」


「少し暗いから心配かもしれないが大丈夫だよ。そういえば言ってなかったね。今から行くところはアウトライトだよ。」


アウトライトってなんだ?地名かどこかか?


少し警戒を強めながら、拓斗はその青年についていく。


少し暗い道を進んでいくと、今までの街とは全く雰囲気の違うところに入った。


例えるならスラムだろう。家と家が繋がっていたり歪だったりしている。ボロボロの服を着た人が床で寝ていたり、屋根がない家などもある。


青年はそのまま歩いて行き、一つの家の前で止まる。


他の家と比べて少し大きい家だが、豪華とは言い難い。しかしここでは多少の歪みはあるが、まだ綺麗な方だろう。


「ようこそ、僕の家へ。」


青年がそう言って家の扉を開ける。


「ビスタお兄ちゃんおかえりー!」「ビスタお兄ちゃんがお客さんを連れてきたー!」「お帰りなさい。」


「ただいま、みんな。」


扉を開けると同時に子供の声が家中に響く。

「うお」


外の空気とは一変して家の中は明るく賑やかだった。実際に明るいわけではないが、子供達の笑顔がそう感じさせるのかもしれない。


「紹介するよ。僕の家族達だ。血は繋がってないが、皆いい子だよ。」


青年に紹介された子供達を見てそれから青年を見る。


青年の服は子供の着ている服より明らかに汚かった。所々ほつれもある。


拓斗は思う。今までこいつは持てる贅沢を全て子供達に使ってきたのではないか、と。


芝居の可能性も捨て切れないが子供達の表情を見るとそうとは考えられなかった。


拓斗は、一旦警戒を解いて家の中に足を踏み入れた。


中に入ると子供達が挨拶をして、拓斗をリビングのような場所の椅子に座るように促した。


座ると同時に机の前に水の入ったコップが置かれた。本当にしっかりしている子供だ。


拓斗が少し感心していると、青年が子供達と一緒にスープを持ってきた。


「こんなものしか用意できなくてごめんね。 子供達特製のスープなんだ」


拓斗は構わんとばかりにスープを飲んで驚愕した。


そのスープには味が全くと言っていいほどなかった。ほんの少し、入れている植物の風味があるくらい。


いや、異世界だからな。朝食ったステーキが普通だと思ってる方がおかしな話だ。


ふと子供達を見ると、それを子供達は満足そうに飲んでいる。拓斗はそれを見ると、考えるのをやめ一気にスープを飲み干した。


「ふー、美味かった。 今日は泊めてもらうことにするよ。ビスタって言ったか?部屋の案内を頼む」


二階の部屋に案内されて拓斗はベットに腰を下ろし、すぐに深い眠りについた。

はいどうも、作者です。

今回の拓斗くん、白金硬貨という富を手に入れて、宿には一泊もできませんでした。ハイ終了。

「金さえあれば何でもできる!」って言ったやつ、ちょっと来て?

怪しさ全開のビスタくん。

でも安心してください。今回も拓斗くんはいい人に拾われてます。たぶん。

スープに味がないのは…うん、気持ちでカバーしよう?ハートフルスープってことで。

次の展開?それは…胃袋に聞いてくれ!

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