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その竜、原則につき持ち込み禁止

「やっぱすげーな。みんなお前のこと見てんぞ?」


「当然だろう?」


男と竜が街を歩く。


自慢げに鼻を鳴らしている竜


しかし、その行動でさえも神聖さを感じてしまう。


やはりツラが良いからだろうか。


街を歩くと人が振り向く。皆竜の美に見惚れる。


その横にいる悪人ズラの男には誰も目を向けない。


「む?おお、着いたぞ。」


竜が立ち止まったところにあったのは如何にもな木造の建築物


「やっぱりかー…」


拓斗の不安が確信に変わる。


その建物についている看板の文字を拓斗は知らなかった。


読めねーじゃん。まあ神様に合ってここに来たわけじゃねーしそんな都合のいいことないわな。


「よし入るか。」


拓斗は気を取り直してその建物に入った。


少しの熱気が籠るその建物の中は、しっかりと整理されているというよりは、どちらかといえば無法地帯の酒場のようだった。


壁には松明がかけられており、丸い机を囲むように冒険者が酒か何かを飲んでいる。


「おお、いかにもって感じだな。」


拓斗は少しワクワクしていた。初めてのダンジョンや開拓者登録で感じたような感覚。


初めの第一歩!


と、足をふむ込んだと同時に多くの視線が拓斗達に集まる。


「やっば、めっちゃ可愛いな。」「隣の男は誰だ?初めて見るぞ?」「冒険者登録だろ、美人連れていいご身分だな。」


嫉妬、興味、疑問などの様々な視線が拓斗を刺す。


「おいおい僕?冒険者になりたいのか?お前には無理だよ。痛い目見たくないんだったらさっさと帰んな。ああそこの女は置いてけよ。」


拓斗の前に如何にもな男が現れる。


酒臭い。こんな時間から飲んでるなんてたかが知れてる。周りの男達の様子から普段からこんなことをしているのだろう。


拓斗はそれよりもあんな存在感を隠せている竜の方に関心する。勘のいいやつには気づかれているがそれでも多くの人間に竜だとバレていない。


しかし、竜には気づかれてようが無かろうが関係ないのだろう。竜にそんな態度をとった時点でこの男の結末は決まっている。


「おい、無視すんじゃねえ。」


男が拳を振り上げる


しかし男の拳が振るわれるより前に拓斗の足が男の股間を蹴り上げた。


「痛くても我慢しろよー。お前の命を救ってやってんだから」


男は自分が相手にしていた存在まだ知らない。


股間を押さえながらも、敵対的な目線で拓斗達を見ている。


「お主、死刑じゃ。」


竜が一言、拓斗はドンマイと哀れみを込めて男を見る。


「ちょっと、何やってるんですか!ただでさえ忙しいのに、喧嘩なら外でやらんかい!って竜?へ?なんで?」


受付であろう所から女が一人飛び出してきた。


イライラした表情で割って入った女は、竜に気づいたようですぐに顔を青白くして…


「あーちょっと待っててください、え?なんで?ほんとに?ギルドに?ゑ?ギルドマスター!ギルドマスター!」


ぶつぶつと喋った後、女は受付の方に急いで走っていった


「え?竜?」


少し沈黙が流れた後、男が尻餅をついた状態で顔を青ざめながらこちらを見つめる


自分が何に喧嘩をうったのか理解したようだ


竜が男を見下ろす。部屋の温度が上昇していくのがわかる。


皆その場で動けずに竜の威圧を受けている。白目をむいて倒れるものもいる。


誰も竜には口出しできない。


「すみません。ご機嫌麗しゅう我が竜よ。私はギルドマスターのリーフ・アウストロです。一度気をお納めください。本日はどのようなご用件で参られたのですか?」


そこに長いピンク髪を後ろで綺麗にまとめてメガネがよく似合う女がサッと飛び出し竜と男の間に割って入る。


しっかりとお辞儀をして、竜の前に現れたその女はしかし相当焦っているのが目に見える。


「人が我の前に割って入るか…」


部屋の温度がさらに上昇する。


「ええ、ギルドを台無しにされては敵いませんので。」


竜の前で堂々意見する女。額には暑さで出たのではないであろう汗が流れている。


張り詰めた熱気の中二人が見合う


「はは、良き良き。人よ。ここには此奴の冒険証を作りにきたのだ。」


「いて、おい、力加減考えやがれ!」


フッと部屋の温度が元に戻り、竜が高笑いしながら拓斗の背中を叩く。


その細く美しい腕からは考えられないくらいの衝撃波が拓人の背中に伝わる


「はい。かしこまりました。ではこちらにきていただけますか?」


息を整えながら額の汗を拭きギルドマスターがお辞儀をして二階に上る


ギルドマスターについていき二階に上り応接室のようなところに入る。


そこはギルドマスターの仕事部屋のような雰囲気があり、奥の机には紙が山のように積んである。


拓斗はその手前のソファに腰掛ける。その隣には竜がドフんと腰掛け脚を組み、さっきの受付の女が出したお茶に口をつける。


「ええ、何でお前までついてきてんの?」


拓斗は横に当然のように座り自分よりも堂々としている竜に少し引きながら目の前に座ったギルドマスターと彼女が持ってきた丸い水晶に目を移す。


「冒険証を作成するのは初めてですか?」


ギルドマスターが拓斗に声をかける。


「ああ、はいそうです。」


「ではこちらの紙にサインと印を押していただきますか?」


スッと出された紙には変な文字が書かれている。


何かの契約書なのだろうが相変わらず何が書かれているかが分からない。


「これって印を押したら何があるんですか?」


「ええ、そちらの紙に書かれていますように私たちギルドはあなたの冒険に対して死んでも保証は致しません。あとは、当ギルドのルールなどを承諾していただくことになります。」


「そのルールを破った場合には?」


「ある程度は注意喚起で終わらせますが、損害が出た場合には相応の金額を払ってもらいます。」


「思ったよりしっかりしてるんすね。あ、すみません印ないんですけど…」


話を聞きながらササっとサインをしてギルドマスターに紙を渡して、そう言った拓斗は自分の名前を日本語で書いていたのを思い出してしまったと思った。


こっちが読めないなら向こうも読めるはずがない


「すみません、これは文字ですか?申し訳ありませんが、竜国文字で書いていただけるとありがたいのですが。」


「そうっすよね。俺、文字書けないだけど。」


「そうですか。わかりました。では名前をおっしゃってください。私が書きますので。いいですか?」


「ああ、それで大丈夫です。名前は大島拓斗です。」


「オオシマ…タクト…はいわかりました。ではこちらの方で少し整理をしてきますのでお待ちください。」


そういって、ギルドマスターは部屋から出て行った。


「オオシマ…タクトか、はは、いいことを聞いたな。のうオオシマよ。」


「げ、そうだったこいつもいるんだった。お前人の名前聞いてニヤニヤしてんじゃねーよ。そんなおかしくねーだろうが。」


竜は気分がよさそうにカップの中のお茶を一気に飲み干す。そんな姿も映える竜に拓斗は少し惨めになる


「そうだ、俺だけじゃフェアじゃねーよな?お前の名前も教えろよ。」


拓斗はズイッと身を乗り出して竜に質問する。竜は少し目を丸くしたあと少し顔を赤くして


「いや、聞かれたことも今までなかったゆえ、忘れておったのだが…オスに名を名乗るのは少し…恥ずかしいな…」


「いや俺の名前聞いたんならお前の名前も聞いていいだろ。そうゆうもんだぜ?」


「そういうものなのか?やはり人間はよくわからんな。いいだろう、我の名前はフレメリア・ブレイズハート・ドラヴェリオンだ。」


「フレメリア…長えーな。じゃあフレアだな。」


「フレア?」


「そうフレアだ。名前聞いといて何だけど、呼びやすい名前の方がいいだろ?あだ名ってやつだな。ずっと竜やお前ってわけにもいかねーし。」


「フレア…あだ名…はは、いいな。実に良い。」


竜は、嬉しそうにニヨニヨと笑っている。


「失礼します。完了いたしました。続いてこちらの水晶に触れてもらえますか?」


そう言ってギルドマスターが部屋に戻ってきて目の前の水晶に触るように促す。


「これって何ですか?」


「タクト様の情報をこちらで読み取らせていただきます。タクト様の能力やレベルを知りそれにあった階級で冒険証を作ります。そのほかにも犯罪履歴を確認するなどにも使います。犯罪者だった場合には冒険証の発行ができませんので。」


レベル…俺の世界にはなかった概念だな。そういや、魔境ってとこに行ったきにそんなメッセージがあったっけか?


拓斗は少しワクワクしながら、水晶に触れて…


「ピピ…」

大島拓斗 

 レベル『「(@*)%」』」(レベルって何?)

 STR 5(フツーの人よりは鍛えてる?)

 DEX 6(断然動ける方)

 CON 10(ゴキブリ並みの生命力)

 INT 8(勉強が友達)

 WIS 「#;/〜(:z(魔力って何?)

 CHA ;^_^(はは…ガンバ…)

スキルrルa

ホ7「@魔

概要()

ハ/7tom@;*ー#

概要()

キバの主人

概要(人が持つことのないキバを貴方は持っています。)


水晶の中に文字が映し出された。水晶の中の文字は文字化けしているが拓斗が読める言語だった。


「てことはアンタらには読めてないのか。すみません、なんか文字化けしてんだけど。」


「え?」「は?」


竜とギルドマスターが声を出す。二人は少し戸惑った顔をしている。


「タクト様は、文字が見えていらっしゃるんですか?」


「ええ、まあそうっすけど?」


読めるんですかじゃなく見えてるかと言うギルドマスターの問いかけに拓斗は疑問を浮かべる。


「タクト様、私には、水晶の中に文字なんてものは見えません。反応を見るに我が竜も同じなのでしょう。」


「え?フレアも?」


「うむ。我にも文字なんてものは見えておらん。」


「マジ?まじかー?読めるどころか見えてすらねーのかよ。えーと、一応これってどうなるんですか?」


拓斗はギルドマスターに問う。


「あ、ええ、ギルドとしましても初めてのことですので、少し検討させていただきます。ですので、また後日お伺いいただけますか?問題なければ明日までに冒険証を発行しておきますので。」


うん。やっぱこうなるよね。拓斗は開拓者適正血液検査の時に自分の番で機械が壊れて丸一日を無駄にしたことを思い出す。


「はあ、了解しました。じゃあ今日は帰るんで。」


そう言って拓斗は席を立つ。


「オオシマよ。少し外で待っておいてくれんか?少しギルドマスターと話をする。外に出たら貴様が言っていた金も渡そう。」


「お?いいぜ。じゃあ待っとくわ。」

はいどうも、作者です。

今回の拓斗くん、「街に行くだけ」で大騒動を巻き起こす天才ムーブをかましました。

ギルドの空気も地獄絵図。でもまあ、異世界ってそういうもんだよね。たぶん。

名前は「フレア」に決まりました。かっこいい?うん、カッコイイよね。

でもきっと誰かに「安直すぎィ!」って突っ込まれる未来が見える。

今後も、拓斗の天然トラブルメーカーっぷりにご期待ください。

……え?真面目なシーン?あー……そのうち来る予定です!(逃)

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