俺、今たぶん説明書にない場所にいます
「ここどこだよ?」
拓斗は呆然と辺りを見回す。
あたりはゴツゴツとした岩に囲まれていて“ドラゴンブルー”に発光する湖
例えるなら岩手県岩泉町にある鍾乳洞の「龍泉洞」のような神秘的な空間
とりあえず拓斗は状況を整理する。
男達のパーティと森に入ってある程度進んだあと水分補給も兼ねて休憩をとった。
拓斗自身は別に喉が渇いているわけでもなかったので、あたりの環境の調査と探索をするため少しパーティから外れていた。
そのあとは至って普通
トラップなのか何なのかも分からない魔法陣を踏み現在に至る。
拓人は自分の運の無さに少し絶望しながら目の前に浮かぶ文字に目を通す。
『「初めての魔境」レベルl*&(@&’¥000で魔境に到達したため追加ボーナスを得られます。特典「)@*#)「@/%(:¥」』
「何で文字化けしてんだよ、スマホのくせに」
特典という文字に少しワクワクしていたのに何がもらえたのかも分からないんじゃ面白くも何ともない。
とりあえずここは魔境
あの冒険者たちの話からここがフィールドよりも危険なことは容易に理解ができる。
そうとわかればいつでも戦闘できるようにしておかねばと
胸に手を当て短剣を取り出す
「チッ、なんかいるな。」
付喪を出したことによる、快感と感覚の上昇
それにより拓人は自分の後ろ、闇の中に何かがいるのを感じ取る。
4匹か?
拓人は闇に向かって短剣を向ける
「ギャギャ!」「キー!」
バッと出てきた大きな生物
見た目は猿かゴリラかに似たような生き物、大きさは軽トラを超えるぐらいだ
かといって、拓人の判断が鈍るわけでもない。
大型の化け物を狩ることに関しては拓人はそれなりに慣れている
突進してくる化け物を避けすれ違いざまに腕に切り込む
対して傷はつかないがそれでいい
一回刻めば『キバ』により自分のコンディションが大きく上昇する
そのまま二体目の拳を避け腹を刻む
三体目の指を切り飛ばし、四匹目の目を突く
切れば切るほど上昇する身体能力
四匹目を切った時、拓人の身体能力はその化け物に傷をつけるのも楽になる程度に上昇していた。
それと同時に頭の回転も早くなる
そしてふと気づく
その化け物たちの様子
動悸、過呼吸、発汗
明らかに何かにビビってる
自分ではない。まだ圧倒的に自分が不利と拓人自身も理解している。
では誰を?チラリと後ろ、その猿の化け物がきた暗闇を見る
ヒュン 「ギャッ!」
拓斗の横を何かが通り過ぎる、と同時に後ろで猿どもの汚い声が、
後ろを見た時には、すでに猿どもの姿はなく赤い血の霧が、漂っているだけだった
「うーむ?お主人間よな?我の狩場で何をしてをる?今日の人避けは済んどるはずだが?」
ヒュッ 息ができない
目の前にいる生き物、女だ、神様が利き手で書いたような面のいい女
だが、感覚でわかる
目の前の奴は手を出していいタイプのやつじゃない、圧倒的強者、頂点捕食者、ヒトの姿であって人とは全く違う
冒険者人生で何度か味わったことのある粘り強いドロっとした殺気
「お前、なんだ?」
拓斗が目の前の"なにか"に問う
「なんだ?と言うたか?この我に?お主本当に人間か?ようそんな口が聞けた物だな。」
「やべ、やったなこれ。」
冷や汗が止まらない、呼吸できてるか?てかアレまじで何?なんでこんな奴がいんの?運悪いわマジで
「良い人間。答えてやろう。我天を統べ地を導く者、誇り高き竜種の一柱、赫焰竜ぞ。」
竜!ナイスファンタジー!とはならんわな。次の一瞬で粉微塵になって死ぬかもしんねーんだから
「あのー、赫焰竜さん?それで私はどうなります?」
「うん?お主は我の狩場に無断で入りどうなると思っておる?お主の家に虫が出てきた時お主はどうする?」
「OK、殺すってことね。マジオワタ。」
俺不運なりにも仲間助けたり、ダンジョン死にかけながら世界のために貢献したんだけど…
気に入らねえ奴に嫌がらせとしてそいつの別荘に火をつけて全焼させたり、そいつの家の中でハブとマングースを大量に放ち大乱闘させたりしたことを記憶の隅に追いやる。
どうも作者です。
今回の拓斗、ついに地雷原 in ファンタジーに足を突っ込みました。
「特典」って出たのに文字化けで内容不明とか、
ファンタジー世界に来てまでバグるな!ガラケーかよ!
出てきた赫焰竜さん。
神が利き手で全力作画した女ビジュで、口調は完璧中二病中将軍。
読者の皆さんが心配する前に作者が言っておきます。
「はい、こいつやべぇやつです。」
拓斗は今回も死にかけですが次回にはたぶん、生きてます。多分ね。
次のやつも作成中