刺しすぎ注意! 化け物差し入れ大サービス
雨の音が地面を叩きつけるように響く中、大島拓斗は鋭い目つきで周囲を見渡していた。
彼の足元にはすでに倒れた化け物たちの死骸が積み重なっている。
空気は血の匂いで満たされ、その湿り気が肌に張り付く。
それが男の感覚を麻痺させた。
「やっぱ運が悪いよなー俺って、でも、一匹、二匹、三匹……ヒヒ……全部狩ったら大金持ちだな。」
その言葉を呟く拓斗の顔には笑みが浮かんでいるが、その瞳には不気味な輝きが宿っていた。
彼のどこか常軌を逸しており、戦闘のスリルを楽しむその姿は、頭のネジが少し外れているとしか言いようがなかった。
彼の手に握られた短剣――それは「付喪」、いわゆるアーティファクト。
武器は、使用者に特別な力を与えるが、その代償として武器に宿った力を引き出す者もまた、独特の「感覚」に囚われることになる。
その感覚は大島の脳をより深い快楽で犯してゆく。
仲間を守るため、彼はこの場で全力を尽くすことを誓っていた。
仲間がどこかで倒れているかもしれない、その可能性が拓斗を焦らせるが、決してそれを表には出さない。
彼が気にかけるのは、仲間が無事であることだ。
今目の前にいる敵は、すべてを蹴散らし、道を開くための障害に過ぎなかった。
「ヒヒ…障害物レースだ。全員刻んでやる。付喪『キバ』」
その刃が薄暗い光を反射し、一瞬だけ周囲を照らす。
その瞬間、化け物たちが一斉に突進してきた。
しかし、拓斗の動きは鋭かった。
彼は短剣を駆使し、次々と化け物を切り伏せていく。
血飛沫が飛び散り、雨音と混じり合う。
だが数に押され、次第に動きが鈍くなる。
体中が傷だらけで、呼吸すらままならない。
「これが……最後か。」
拓斗は最後の力を振り絞り、突進してきた化け物の一体を貫いた。
しかし同時に、別の化け物の牙が彼の胸を貫く。
「……クソ……みんな……逃げ切れたか……?」
意識が遠のく、自分の運の悪さ、仲間たちの無事、色々考えたいが頭が回らない。
でも最後は仲間の無事だけを祈って…
そして、その瞬間、ダンジョン全体が震え、彼の視界が真っ白に染まる。
.........
目を覚ますと、拓斗は見知らぬ空と風景に包まれていた。
頭上には澄み切った青空、耳には鳥のさえずりが聞こえる。
戦闘中に感じていた、あの異様な興奮——付喪『キバ』を使うことで得られていた高揚感が、まるで霧散したかのように消えていた。
身体は重く、痛みは確かに残っている。
それは、これが紛れもなく現実であることを突きつけていた。
「俺は……死んだのか?」
拓斗は、自分の胸に手を当てる。
貫かれたはずの傷は消えていたが、確かに「死」を経験した感覚は、彼の中に生々しく残っていた。
だが、それ以上に違和感を覚えたのは、自分の内側にあったはずの熱が失われていることだった。
周囲を見渡すと、荒野が広がっている。
ダンジョンの中ではありえない光景。
遠くには森が見え、それがより一層そこかダンジョンではないことを暗示していた。
立ち上がると同時に、胸元に手を当てて…
「付喪…『キバ』。」
その言葉が拓斗の口から自然に出た。
ズズズ…心臓のあたりから出てきたような感覚が、拓斗の体を支配していた。
よかった
彼の短剣、付喪『キバ』は、この世界でも彼の体の中から出てきた。
ダンジョンの中で死に、今、異世界に転移した彼は、再びその力を感じ取った。
次に拓斗は自問自答する。
自分がいた世界は、3333年の地球だった。
ダンジョンが普及し、人々が開拓者としてその中で戦っていた。
しかし、ここは明らかに違う。
拓斗は考えながら自分の感覚を広げる
荒野が広がり、遠くには森が見え、何か動物の鳴き声がのようなものも聞こえる。
そして、その手前には何者かの気配。
茂みの影から現れたのは、粗末な鎧を身にまとった数人の男たちだった。
これから話も広げていきます。よろしくお願いします。
今回初なんで、改行とか、三点リーダーとか、よくわかってません。すみません