妹をめぐって
「あの、さやかは一体どうなってるんですか、妹なんです、無関係じゃないんです」
「え、妹……あーじゃ知らぬ存ぜぬで済ませられないねぇ……」
先ほどの部屋に戻るなりアーノイドさんに詰め寄る、先にさやかとの関係を先に言ったために逃げ場を潰しておく。
「そうだねぇ、サヤカは……、そもそも君の妹が魔法少女をやっていたのは知っているかい?」
「それは、知りませんでした……」
「ふむ、魔法少女は大体未成年だから個人情報的にも公開されてないが別に家族や身内には協力をしてもらう必要があるから連絡は行ってるハズなんだけどなぁ……」
「多分、両親も知らないか自分だけ知らされてないかだと思います」
「だろうねぇ、といっても私も詳細は知らないんだ、えーっとねぇ、ちょっと待ってねぇ」
慣れない手つきでパソコンを操作して調べ始めた。
「全く、世界によってキー配列が全く違うから困った物だよ、あったあった。えっとねぇサヤカちゃんはねぇ、少し前に魔法少女で2年ほど活動してそれから失踪、それから闇落ちして主にベテランの魔法少女を襲撃して殺害しているね、強さに関しては記載が無いけどさっき見てたよね、記録に関してはこの程度だけど、今の認識ではなるべく関わらないようにして逃げるようにって言われてるね、彼女引き際もわきまえていただろう?」
「意外と情報が少ないんですね」
「個人情報とかいろいろ煩い物があるからね、もっと踏み込んだものは管理者権限がいるんだよねー、部外者の私にはそういった踏み込んだ物にはアクセスできないんだよ」
「そういえば非正規でしたね」
「非正規かぁ、まぁその通りなんだけども……、まぁいいや今のサヤカの扱いとしては突発で起こる災害みたいな物かなぁ、私には襲ってこないからねぇ」
「そういえば先生って呼ばれてませんでした?」
「よく覚えてるね、んーでもそれに関しては私も本当によくわかってないんだよねぇ、こうやって雑談している時に何か言った可能性はあるかもね」
「……もしかしてアーノイドさんが原因?」
「そこまでじゃないでしょ、あーでもそうなったら責任持って処理しないといけないかなぁ」
「妹を殺すんですか?!」
「さっき言った君の話が本当なら私が責任もって対処する必要があるだろうね、といっても契約的に私はココから離れられないからね、もし助けたいのならココに来れないようにしたらいいよ」
「契約ってココに縛られているのですか?」
「んーん別にー、ただ私はこの世界において市民権や人権、戸籍とか諸々ないからね、この世界の人たちが私をこの世界のルールで守ってくれるのなら、私をそれを尊重してこの世界のルールを守りましょうってだけ、それでまぁこの建物からなるべく離れないのもソレ」
「……アーノイドさんって本気を出したらどこまでできるんですか?」
「んー本気かぁ、多分この星位なら消し飛ばせるんじゃないかな? 試した事はないから確証はないけどね、あでもこの世界だったらそこまで出力は出せないかも」
「わかりました、妹は、さやかは僕が救います」
「うんうん良い目だねぇ、じゃあ救うためにアドバイスだ、魔法っていうのはね、何でもできる、このことは覚えておいてね」
「何でも、ですか?」
「そう、何でも、といっても対価はそれなり必要だよ」
「対価って、……命とかですか?」
「それは物によるかな、そうだねぇ例えば君の持ってるスマホでこの建物の電力を賄えるかって事」
「正確にわかった訳じゃないですけど、でも何だかわかった気がします……」
「お、今の姿見てみな」
「はぁ……うぇ?!」
促されるままに姿見で自分を見ると、先ほど見た中途半端な姿ではなくしっかりとしたまとまった魔法少女がそこに立っていた。
「名前は?」
「メイジ……えまた?!」
また反射で答えてしまった、というか名前が短くなっていただけだった。
「いいね空っぽじゃなくなったね」
「空っぽ?」
「さっき名乗ってたじゃないか、空っぽの魔法使いって」
「あ、アレってそういう意味だったんですか」
「まぁまぁ、今日はもう時間も遅くなってきたし帰るといい、私も定時で帰りたいしな、詳しい内容は先輩に教えてもらいながらゆっくりと覚えればいいさ、以降の連絡はスマホとかに届くだろうから問題ないだろう、あそうそう帰りのお金を渡しておこうか」
そういって明らかに個人サイフからお札を取り出して渡してきた。
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ、この世界のお金を貯めた所で意味がないからねぇ、だったら必要になった時に躊躇わずに使った方が周囲の印象もよくなるし」
「じゃあ有難いく頂戴いたします」
そうして帰る事になった、同じ市内だったのでバス乗り継いで帰宅した。
変身中だけTSするのかそれとも変身を解除してもTSしたままなのか、どっちがいいですかね