無くして求めていたもの
「お、丁度行けるのがあるから、それじゃあ早速研修に行こうか」
アーノイドさんがパソコンを軽く操作していると丁度良い時間に研修があったようで、どこかに内線に連絡を入れてこの後にある研修に参加できるようにしてくれた。
「いきなりですね」
「こういうのは早いに越したことないからね、私だって長々と仕事したくないからさっさと終わらせて早く帰りたいの」
「なんかすみません……」
「君は良いんだよ、悪いのは別にあるから、時間的余裕もないし行こうか」
「あ、はい」
「あそれと変身が維持できるなら研修が終わるまで、ううんできたらこの建物から出るまでは変身を維持しておいた方がいいよ」
「善処します……」
「ここは女性しかいないからね、こんな所に男がいたら肩身が狭すぎるし、なんなら犯罪者扱いされるかもしれないからね」
「あぁー……、はい」
「それじゃあ行こうか」
アーノイドさんの案内で施設の裏側にあるグランドに出る、既にカラフルな色をした魔法少女が3人と教官らしきスーツを来た女性が立っていた。
「いやぁごめんねー、いきなり魔法少女になった子にいろいろ説明していたら遅くなったよ、申し訳ない」
「アーノイドさんが直々に……、ですか?」
「これもイレギュラー対応、かな、いきなりで対応できる人がいなかったんだよぉ」
「まぁわかりましたよ、今回の研修で最後で大丈夫、ですよね?」
「あぁ、そこは問題ないから、さっさとやってしまいしょうか」
「はぁ、まぁいいですよ、じゃあ今回の研修は実際に魔法を使って攻撃をしてもらいます」
スーツの女性がリモコンを操作すると地面から的が4機生えてきた。
「それじゃあ、各々のタイミングで攻撃してみてください」
「えっと、マジックフレイム!」
「アーチャーシュート!」
「えい!」
3人の魔法少女達がそれぞれ攻撃していく、命中はしているが、少し汚れただけで傷ついてはいなかった。
「えーっと、エアーショット!」
何とか攻撃できなか考えていると不思議と攻撃方法が浮かんできたのでそのまま繰り出す、すると攻撃に魔力を多く消費したのか全身から力が抜けるような感じがした。
魔力を多く消費したおかげか的と地面は少しえぐれていた。
「ちょっと、そんなに全力だしたら続かないでしょう、それで倒せなかった時に続いて動かないといけないんだからちゃんとセーブして撃ちなさい!」
「すいません……」
アーノイドさんの方を見ると顔を反らされた、そういった説明は一切無かったんだが……。
「全く……、持っている魔力もそんなに多くないのにこんな大がかりな魔法を発動してしまっては先が思いやられますね……」
【伏せろ】
アーノイドさんがいきなり叫ぶと全員地面に叩きつけられた。
「何事?」
いきなりの事に驚きつつ顔を上げると、アーノイドさんが壁を作って自分達を守っていた、守られていた壁以外の場所は大きくえぐれており、その攻撃の凄まじさが伝わってくる。
「お久しぶりですね先生」
「君にそう呼ばれる程に何か教えた覚えはないんだけどなぁ」
攻撃してきた主はゆっくりと地面に着地して話始めた。
「そうですか? それに珍しいですね、こんな所で」
「イレギュラー対応だからね」
「イレギュラー? ………っ?!」
「……さやか?」
攻撃してきた主の顔を見ると、数年前に行方不明なった妹が黒いドレスを身にまとって立っていた。
「お前、お前お前お前お前ぇ、何をしたァァァアアアア!!!!」
先ほどの余裕のあった顔が一変して鬼のような形相でこちらに向かって突進していく、アーノイドさんは前に立ちソレを受け止める。
「私らは何にもしてないさ、言っただろう、イレギュラー対応だと」
「………そう、もういいわ」
どうやら納得したようで距離をとって落ち着いた顔に戻った。
「どうする、このまま捕まってくれる?」
「そんな訳ないじゃない、でも長いもしないからおとなしく退散するわ……、それと兄ぃ、もう変身しないで」
そういってさやかは霧のように消えていった……、というか魔法少女になった状態でも自分ってわかるんだ……。
「皆さん、ご無事ですか?!」
さやかが消えると同時にベテランの風格が漂う魔法少女が駆けつけてきた。
「うん、みんな無事」
「むしろ貴女がいながら負傷者を出すなんて事があればそれは一大事になりますからね」
「そーそー、みんな無事、地面は残念だけど」
「むしろこの規模の攻撃の中で全員無傷ですからね、流石といいますか……」
「サヤカだったよ……」
「っ?! それは本当に、いえこの攻撃では疑いようがありませんね……」
「でしょう」
「では、報告書の提出をお願いしますね」
「ですよねー、でも今回は事故みたいな物だから時系列でまとめて終わりにするからね」
「それで構いません、では」
「では私達も失礼しますね」
魔法少女はそのまま変身を解除して戻っていった、それと元々いた魔法少女達4人も戻っていった。
「私らも一旦戻ろうか」
「そう、ですね……」
言いたい事はあったが一旦戻ってから問い詰める事にした。