私の名前は……
「魔法少女として活動するならまずは名前を決めないとね」
「それもそうですね……」
「……ちょっと今魔法少女に変身できるかい?」
「えっと……」
横に浮いている妖精の方を向く。
「それなら、あ今出すのだ」
変身アイテムの存在を忘れていたようで懐から明らかに妖精より大きな物を取り出して手渡してきた。
「これが変身アイテムってやつですか?」
「そうなのだ君専用なのだ、なんか禍々しいのだ」
「とりあえずソレで変身してみなよ、使い方は何故かわかるから」
「分かるって……」
妖精から変身アイテムを受け取ってソレを眺める、確かに何故か変身方法がわかってしまった。
「変身!」
キーワードは何でも良いみたいなので子供の頃に見ていた男の子向けの変身ヒーローの真似をしながら魔法少女に変身する、どうやら変身する意思と気合があれば変身できるようだ。
「ふむ……、ちょっとそこに姿見があるから変身した自分も見て欲しい」
「あ、はい」
神妙な顔したアーノイドさんに促されて部屋の後ろにある姿見に向かう。
「うーん……」
自分が魔法少女に変身した姿を改めて見る、高校生位の見た目なっており、長くなった髪の毛と無駄にフリフリな服、そして大きな胸……、その姿はまるで……。
「コスプレ見たいな感じじゃないかな?」
例えるなら高校生が小学生向けの服装をしているような感じだ。
「なんかコレで人前にでないといけないのか思うとちょっと……」
「多分だけど魔法少女として何にもないからじゃないかな」
「……それはどういう事ですか?」
「この世界の魔法少女についてはあまり研究が進んでないから、私の憶測になるんだけどね、魔法少女になって何をしたいかっていうのが欠けているのが原因じゃないかな」
「確かにそう、ですね」
成り行きで渋々やろうとしているので、魔法少女をやるのに思いとかそんなものはない。
「だからと言って魔法少女はしっかりとやってもらうかね」
「お、おう」
「とりあえず、魔法少女で活動する上での名前は必要だから決めてね、一応後から名前を変えられるからって適当にしないでね」
「は、はい」
適当にするのは許さないという圧力を感じたので真面目に名前を考える事にする。
それにしても名前かぁ、鏡に映る今の自分は名づけの参考にならない、ひとまず自分が魔法少女としてどう活動するか。
自分が回復やサポートしているのは正直イメージできないし、だったら戦う方だろう。
で、どうやって戦うか……、やはり魔法を使って戦闘する事だろうか、何というか魔法少女についてはよくわかっていないので何というかマジカルパワー的な物で戦うのだろうか……。
魔法で戦う自分をイメージする、こういった妄想は中二病以来だが難なくできた。
「私は、魔法少女エンプティメイジ……、え?!」
魔法で戦う姿を妄想していると勝手に口が動き出して名乗りだした、驚いて目を開くと先ほどまでコスプレ姿でしかなかった自分の服装が、歳相応の落ち着いた魔法少女らしい衣装に変わっていた。
「それが今の魔法少女としての名前だね、ちゃんと登録しておくよ」
アーノイドさんが白紙の紙にしっかりとメモを残した。
こちらの作品は他サイトで同時更新してまいります。