おばあちゃんといっしょ
「私の子孫みたいね!」
エンシェントサキュバスが放った言葉により周囲が凍り付いた
「わぁ、私の子孫ってこんな所でまだいたんだぁ」
エンシェントサキュバスが周囲の凍り付いて困惑している雰囲気を無視して親が子供を抱きしめるように自分を大事そうに抱きしめてくる。
抵抗して剝がそうとするが力が強すぎてびくともしない、いや本当に力が強い……。
「あ、あの……」
「ん、なあに?」
離してほしいので声をかけると母親のように微笑みかけてきた、こんな顔をされては離れて欲しいなんてとても言えそうにない。
「どうして僕が子孫だってわかったんですか……?」
「うんとねぇ、今のあなたって魔法少女になってるでしょ」
「そうですね」
説明する声色はとても優しく朗らかで、とても先ほどの妖艶な雰囲気を纏ったエンシェントサキュバスと呼ばれていたとは思えないほどに別人になっている。
「あなたって所謂先祖返りなの、それで魔法少女になった事で活性化したのねぇ」
「それって僕がサキュバスみたいになるって事ですか?」
「ん?、私は別にサキュバスじゃないけど? そりゃサキュバスみたいな事はできるし、お手軽だから真似事はするけどね」
「あ、そっすか」
適当な理由だったので少しだけ空気が冷めてしまった、そのおかげか周囲の動けなかった魔法少女達が再びエンシェントサキュバス?を討伐するために動き出した。
「せっかく子孫もとい孫と会えたのだから邪魔してないでくれる?」
自分を引き寄せて頭に顎をのせて向かってくる魔法少女達に向けて敵意を放つ、それだけで向かってきた魔法少女達は足を止めてしまう。
「あのね、おばあちゃん?」
「うん! 何かな?」
エンシェントサキュバスと呼ぶのもなんか違う気がしたのでおばあちゃんと呼んでみると、凄く嬉しそうに答えてくれた。
「えっとこの周りの人達は、あの、職場の同僚なのでそういった扱いは辞めてくれると、いいなって……」
「あら、そうなの?! それはごめんなさいねぇ」
周囲にのみ垂れ流していた殺意が引っ込み明らかに渋々といった感じで謝罪する。
「……と、とにかく一旦魔法局に同行願えますか?」
「え~」
「ボクの職場ですし行きませんか」
「そうねっ行きましょうか」
行くことを渋っていたが自分が行くように言うと一転して同行する意思を見せた。
「おばあちゃんが守ってあげるからね!」
何やら変なスイッチが入ったまま厳重な警備のまま魔法局に行くことになった。
「君は何か引き寄せる物でもあるのかね?」
「いやぁー、かもしれないです……」
「ね、ねぇあの人な何なの?! どうあがいても勝てる見込みがないんだけどぉ!」
アーノイドさんと再会するなり呆れられた、一方おばあちゃんはアーノイドさんを見るなり自分をかばいつつも怯えていた。




