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第37話 ゼノア 対 シリル

一方シリルは地上に降りて暴れているワイバーンを次々に殺していった。

殺すたびに歓喜と興奮が膨れ上がっていた。

最後のワイバーンを倒したときには、気分は最高だった。


「あはは、ざまーみろ!」


何度も何度もワイバーンを切り刻んでいると、脚に痺れを感じた。


「うん? 何?」


気づいた時には、体に糸が巻き付き、立っていられなくなり、地面に倒れた。


「しまった。また暗殺者か」


逃げようとした瞬間、首輪をつけられてしまった。

ガニマが勝ち誇った顔で「隷属の首輪」を起動し高笑いした。


「シリルちゃんよ。今日から俺様がご主人様だ」

「はい、ご主人様」


「ザロフ、麻痺消しの薬をシリルに飲ませろ」

「わかりました。ご主人様」


そこにゼノアが現れた。

ゼノアの戦闘を目の前で見て、その強さを知ったガニマは、すぐに命令した。


「ザロフ、シリル、あの黒い女を殺せ!」

「はい、ご主人様」


ドナシェル、シリルがゼノアに襲いかかり、ガニマはその場から逃げ出した。


「戦闘に巻き込まれたら、いくら命があっても足りないぜ。あとでゆっくり回収するさ」


ゼノアはシリルの首を見て苦々しく思い、顔を歪めた。


「『隷属の首輪』か。やっかいな事をしてくれたわね」


ゼノアはガニマを捕まえればシリルを解放できると考え、ガニマ、ザロフ、シリルに威圧をかけようとした。

しかしシリルとザロフの素早く激しい攻撃に邪魔されて集中できずにいた。

広範囲にかけることはできるが、近くに負傷者や子供もいて、下手をすれば殺すことになるので使えなかった。


「参ったわね。シリルひとりなら何とかなるけど、暗殺者も相当な手練れね。」


ゼノアはガニマを捕らえることを諦め、二人を倒すことに決めた。

シリルがゼノアの胸を刺した。刺された痛みに耐えながら、シリルの腕を両手で抑えて折った。


「シリル、ごめんさい」

「ギャア!」


シリルが悲鳴を上げたとき、暗殺者がゼノアの背中を刺した。

ゼノアは「ドレイン」と念じ二人の魔力を吸い取り気絶させた。

神剣を抜いて、シリルを地面に寝かせ、暗殺者の手足をつぶした。


「ふう、あの男を捕まえなくては」


ゼノアが振り返って飛ぼうとした時、シリルが起き上がってきた。

骨折した腕は治っていた。

さらに驚いことに、銀のティアラが外れていた。


「シリル、『戒めの冠』を外してしまったの?」


ゼノアは急いで街の外に飛び出していった。

「戒めの冠」を外したシリルが暴走すれば、街全体に被害が及ぶ。

できるだけ遠くに行かなければと、全速力で街から離れた。


「うそ、もう追いつかれた?!」


あっという間に追いつかれ、その巨大に膨れ上がった魔力量に驚き、地面に激突した。

シリルの周りには竜巻が起こり、水、火、雷、岩が暴れていた。

目は金色にギラギラ輝き、神剣が見たこともないほど光輝いていた。


「初めて会った時より何倍も力が増している。これほど成長していたとは思わなかったわ」


ゼノアの顔が厳しくなった。


「次の一戦で終わらせましょう、シリル」


ゼノアはシリルに向かって走り出し、シリルもまたゼノアに向かって走り出した。


二人がぶつかると轟音とともに衝撃波が辺りに広がった。

暴風の中に入ると、ゼノアは風、水、火、雷、岩の攻撃を受け、体がボロボロになっていった。

そしてシリルの剣が胸に刺さり、胸の周りが一瞬で溶けた。

ゼノアは痛みに耐えながらもシリルの右腕を左手で掴み、「ドレイン」を唱えた。

一瞬シリルの力が弱まり、すかさず右手の「拘束結界」をシリルに押し付けて起動した。

シリルは動けなくなり倒れた。


ゼノアも地面に腰を下ろし、シリルを見つめた。


「ふう、こんなに体を削られたのは、いつぶりかしら。さすがに疲れたわ」




ゼノアがシリルを抱えて、トーマンたちの元へ戻ると、ガニマが捕まっていた。

トーマンたちが隠れていた場所に、ガニマが逃げ込んできたのだ。

マタル商会から「従魔の印」をガニマが略奪したことを聞いていたので、すぐにガニマを取り押さえたという訳だった。

シリルは「隷属の首輪」から無事解放され、ガニマとザロフは警備隊に引き渡された。


ワイバーンの大群襲来という大惨事だったが、死者は数名ですんだ。




一週間後、ゼノア一行は迷宮都市ザーランドに向けて出立した。


シリルは、大きなクレータになった戦いの跡を見て、俯いてしまった。

「隷属の首輪」で操られていても意識はしっかりしていて、すべて覚えていたのだ。


「ゼノア姉ちゃん、ごめんなさい」

「あなたのせいじゃないわ。気にしなくてもいいのよ」

「でも、姉ちゃんに、あんなひどい事を……」

「暴走したら、あんな事になるの。だから暴走しないように気を付けてね」

「うん、分かった」


これから少しでも暴走しなくなれば、良い教訓になったかなと思いながら、ゼノアはシリルの頭を撫でていた。

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