第26話 少年ダン
ボルダイン王国の北東の辺境の森。
少年ダンは、いつものように父と一緒に罠を見回りに来ていた。ダンは銀色の髪と青い瞳の男の子で、12歳だが俊敏で、父の狩りの手伝いをしていた。
「ここもダメか。ダン、次の罠に行こう」
父の声が、静かな森に響いた。
いつもなら、何かしらの獲物がかかっているのに、今日は全くかかっていない。
これが普通じゃないことは、ダンにもすぐに理解できた。
「なんで獲物がいないんだろう?」
「父さんにも分からない。この辺りはいつも獲物が豊富なのに」
父は考え込むように言った。
最後の罠に近づくと、二人は驚いた。
そこには獲物の脚だけが残されていた。
まるで何者かが、獲物を引きちぎって持っていったみたいだ。
父親はその場にしゃがみ込み、血の跡をじっと見つめていた。
「これは急いで追って、何が起こったのか、調べる必要がある」
二人は血の跡を追い始めた。
進むにつれて、森の奥深くへと入っていく。
遠くに洞窟が見え、入口には魔物がいるのに気がついた。
「父さん、あれは……?」
「マッドモンキー? いつの間にやってきたんだ? 音を立てるな、ダン」
彼は低く小さな声で警告した。
洞窟の中から、奇妙な叫び声が響いてくる。
ダンは恐怖で体が固まった。
彼はダンの肩に手を置いて、真剣な表情で言った。
「村に戻ろう。皆に知らせなければ」
洞窟からかなり離れてひと安心した時、急に後ろから何かが近づいてくる音が聞こえた。
振り返ると、マッドモンキーが飛びかかってきた。
「逃げろ、ダン!」
ダンの父は叫びながら、ダンを庇うように前に出た。
その瞬間、マッドモンキーが父を襲った。
「父さん!」
ダンは叫びながら、必死に逃げた。
どれだけ逃げたか分からなかったが、途中で足を滑らせて滝から落ちてしまった。
「父さん……無事でいて……」
ダンは心の中で祈ったが、すぐに意識を失ってしまった。
「ゼノア姉ちゃん、この子、息があるよ」
「よかった。シリル、女神の癒しをかけてあげて」
女性の声がする?ダンは目を覚ました。
一人は長い黒髪に金色の瞳、全身黒づくめの服を着た美女、もう一人は短い金髪に翠色の瞳の白い服を着た美少女だった。
二人の女性は、微笑みながら、こちらを見つめていた。




