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バケモノはまるで蛇の姿になり、必死で追いかけてくる。


「ヒーーノーーターー‼︎ まてぇぇぇぇぇ‼︎」


藁人形は主に手で木の枝を掴みながら、ゴリラのように高速で移動する。

ヒノタは片足になった藁人形に乗りながら、余裕で煽った。


「ははっ! お前の敗因は、僕と藁人形くんを舐め過ぎたことだよ!」


鬼は赤い目をぎらつかせながら叫ぶ。


「生意気な‼︎ 捕まえたら今度こそその人形を破壊して! お前もひどい目にあわせてやる!」


ヒノタはチッチっと顔の前で指を振った。


「無理だね。忘れた? かくれんぼの約束は……」


そう、1時間逃げ切ればヒノタの勝ちである。


「あと10秒で1時間だよ!」


バケモノは恐ろしい雄叫びをあげ、猛スピードで迫ってくる。


「クソガキィィィィィィ!!!」


ヒノタはじっと腕時計を見つめる。


「5…… 4…… 3……」


豆粒のようだったバケモノがグングンと迫ってくるが、ヒノタは余裕でその様子を見つめる。


「マテェェェェェェェェ‼︎」


「……2 僕たちの勝ちだ!」


そして、ヒノタは舌を出してバケモノにアカンベェをした。


「グェェェェェェェ‼︎」


呪により、約定に敗れ、バケモノは光の粒子のように散っていった。


藁人形は止まり、ヒノタはその場で足を震わせる。

バケモノを、なんとか悔しがらせてやった。


「ありがとう、藁人形くん」


そして、ヒノタは藁人形の頭を軽く叩いた。







 



呪道はペンダントを掴み、バケモノの敗北を察知する。


「おっ。ヒノタがやったようだな」


山下も時計に目をやり、ホッとした。


「ちょうど1時間か……」


「ヒノタ……」


「隠れ鬼は得意のかくれんぼで子どもに負けてしばらく動けねえ。さあ、ゆっくり本体を探して調伏するぞ」



そして、しばらく手分けをして辺りを探していると山下が声を上げた。


「おおい! 呪道、これじゃないか?」


見るととりわけ立派な小さな石像だけが、小さな社に囲われ保存状態がよかった。

呪道もこれを見て頷く。


「これっぽいな」


そして、呪道は懐から小さな石仏を取り出し、手を合わすと目を閉じて念じ始めた。


「まつろわぬ神よ。人の世に害を成すのはやめたまえ。今からこの石仏に御魂をうつし、奉ることを約束しよう」


あの隠れ鬼は、まつろわぬ、忘れられた神が妖怪となった姿だった。

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