表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

11 隠れ鬼との再戦

 ヒノタは文句をぶつくさ言いながらも、三日間鬼ごっこ大会やパルクールの映像を見続けた。


「まったく…… あのおじさんは…… 3日で何が変わるってのさ」


 しかし、友達を助けると決断した彼は今までと違い自分を奮い立たせ、頑張った。

 そして、3日という余りにも短い時が過ぎた。




 今日はあの場所へと向かう計画の日である。

 途中までヒノタを送った呪道は肩を叩きながら彼を送り出す。


「大丈夫か? ヒノタくん。本当に申し訳ないが、おじさんはここまでだ。ヤツは大人がいると現れないんでな」


 ヒノタは笑顔を作り、空元気で答える。


「大丈夫。今ならパルクールで優勝出来そうだよ」


「そうか、頼んだぞ」


 危険ではあるが、呪道たちとしては早いところ、子どもたちを取り返さなくてはならず、ヒノタすらバケモノの退治計画に組み込むしかなかった。


 ヒノタはリュックを背負い、あの日友人が鬼に連れ去られた秘密基地にやってきた。


「ここか…… ここでゴリアンたちを」


 辺りを見回し、ヒノタはグッと恐怖を飲み込み大声で叫んだ。


「おーーーい!!! バケモノ! 出てこーーい! ゴリアンと! キザオと! シズキちゃんをかえせ!!」


 これも呪道の指示通りの行動である。


 すると、ヒタヒタと不気味な足音とともに黒い霧が辺りに現れる。

 ヒノタは息を呑み、恐怖を堪えた。


 やがてひょこと、木の影から、あの女の子が現れてヒノタを見ると屈託なく笑った。


「あら、逢いにきてくれたの? ヒノタくん? うれしいな!」


 こうしてみると、普通の女の子にしか見えないのが、より恐ろしかった。

 ヒノタは勇気を振り絞り、大声で叫ぶ。


「……バケモノ! 1時間だ! 僕がかくれんぼでお前から1時間逃げ切ったら、ゴリアンとキザオとシズキちゃんを返せ!」


 女の子はニタァと笑いながら嬉しそうに手を叩いた。


「うふふふふ! いいわよ? 逃げられたら、ね!」






 ◇





 呪道はペンダントを握り、呪力を探知し、ヒノタと鬼の隠れ鬼が始まったことを察知する。


「よし、かくれんぼが始まったみたいだ。おい! 急いで探さないと!」


 作戦の概要としては、ヒノタが鬼を引きつけている間に鬼の本体を見つけ、調伏するというものだ。

「鬼ごっこ」をしている間は、鬼は遊びを中断してこちらに来ることも出来ない。

 また、子どもに危害を加えることも出来ない。


 呪道たちは被害区域の同心円上の中心と、その辺りの伝承を元に、隠れ鬼の本体の場所の見当を付けていた。

 呪道、山下、裕子の3人は、鬼の今いる場所から三つも超えた山の中にいた。


「ヒノタ…… 早くいかないと!」


 心配そうな裕子だが、既に息が上がっている。

 嗜めるように呪道は裕子に歯を見せ笑う。


「わーってるよ。焦るな。おい、お嬢ちゃんももたついてたら置いてくぞ。悪いが人の命がかかってるんでね」


 裕子はムッとしながらも必死でついて行く。


「……わかってますよ! ヒノタやその友達を取り返したい気持ちは私が1番ですから!」


 山下警部はやれやれと思いながらも、裕子の背中を押した。


「よし、その意気だ。カクレオニの本体を探すぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ