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09 行軍


 ヴラウペンの西門の前で入国審査待ちの列に並んでいた俺たちに声を掛けてきたイケボなお方は、


 ビシッと決まった正装騎士姿も凛々しい、渋カッコいいことこの上無いイケおじ。



 お久しぶりです、ベラルタ騎士団長!


 ご無沙汰しております。


 お元気そうで何よりです。



「ノアル殿も壮健そうで何より」

「恥ずかしながら、奥方の磨きがかかった美しさに若い兵たちが騒いだことで気付いた次第」

「後ほど全員再訓練せねば……」


 あー、妻が照れますので、お手柔らかに……



「再会出来たことは喜ばしいのですが、我が国への入国はあの頃以上におすすめ出来かねる状況なのです」

「そちらの可憐なお嬢さんを厄介事に巻き込まぬよう、慎重な行動を……」



 おっと、アンチさんまでもが照れ照れの真っ赤っかに。


 駄目ですよ団長、再会して早々、うちの子を口説いては。



 ---



 ベラルタ騎士団長は、肩書きこそ未だ一兵卒だそうですが、


 今ではブラウペン駐留部隊の実質的なリーダー。


 それどころか、国中から団長を慕って教えを請いに来る人が後を立たず。



 実力・人望など、本人の資質が招いた追い風が強ければ、


 左遷程度の逆風なんてものともしないってことですね。


 それでは、俺たちも追い風に乗っちゃってもよろしいでしょうか。



 ---



 ベラルタ騎士団長が変わらずに信頼出来る方でいてくれたことに感謝。


 マーリエラさんたちに相談してから、事情を打ち明けて協力を仰ぎました。


 そして、衛兵詰め所に案内されて、お互いの情報を交換。



「まさか、あのモリリオネ商会のご主人が召喚者だったとは」

「灯台下暗しとはまさにこの事」

「よくぞ今までご無事で……」


 はい、というわけで、ベラルタ騎士団長にもご助力賜りたく。



「この街には、"王家の犬"と呼ばれる密偵があちらこちらに潜んでおります」

「連中の目的は、召喚者探索、並びに私や部隊全般の監視」

「下手に騒ぎを起こすと、いたずらに王家を刺激するやもしれません」


 もし団長が部隊を率いて動けば……



「私の動向を逐一報告する責務がある"犬"たちの目は、部隊に釘付けでしょう」

「……私の助力とは、もしやそれが目的」


 まさに然り、です。


 再会して早々、こんなことをお願いするのもアレなのですが……



「両国のためと長年尽力なされてきた御仁の初孫、これぞまさに一大慶事」

「本来は国を挙げて恩に報いるべきであろうに、王家の所業が足枷となるとは……」




「全員傾注!」

「ヴラウペン駐留小隊は、これよりエルシニア王都への行軍訓練を開始する」

「第三班・第四班は、引き続きブラウペンでの通常任務」

「他の班は遠征装備にて東門前広場に集合、点呼確認完了次第即時出発」

「帰投予定は1週間後、今日の野営での所持品確認で準備不十分と判断された者は、私が直接指導するので覚悟するように」

「以上、行動開始!」



 ---



 ……行っちゃったね。



 凄いな、ベラルタ騎士団長と駐留部隊の皆さん。


 電光石火にして一糸乱れずとは、まさにあの行軍。



 ベラルタ隊の突然の王都への行軍、


 王家から団長の監視任務させられてるわんちゃんたち、


 大慌てで対応中だろうな。



 陽動作戦、ありがとうございます、団長。



 それでは俺たちは、速やかにスーリオラ村を目指しましょうか。



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