06 コルメゾ
コルメゾ村で、ふたりが戻ってくるのを待つ日々。
採取をしたり、狩りをしたり、村の人たちのお願いごとを聞いたり。
採取は、まあ、いつも通り。
マーリエラ先生が不在なので、手慣れた依頼以外には手を出さないようにしております。
狩りの方は、修行中、かな。
最近は討伐依頼も始めましたので、流石に素手のままじゃあかん、
てことで、短槍を使っております。
ニチアサ大うさぎの時に徒手格闘だったのは、"スイッチ"が入った状態の裏モードの俺の判断。
付け焼き刃の短槍よりも手慣れた徒手格闘ってことだったんだろうね。
で、短槍ですが、やっぱり難しいですわ、武器の扱い。
マーリエラさんからも教わったけど、
変なクセが付く前に、しっかりとした流派を構えている師範から教わるべきですよ、ですって。
でも、俺の短槍修行のためだけに旅の足を止めるわけにもいかんのです。
村の人たちのお願いごとは、主に子守り。
例によって子供たちに懐かれちゃいました。
この村の子たちは、楽しめるよう工夫しながら仕事のお手伝いを頑張るって感じですね。
男の子たちは荷運びの量やスピードで勝負したり、
女の子たちは収穫物の仕分けの速さや丁寧さで競い合ったり。
で、最下位の人は罰ゲームなのですが、
当然、不慣れな俺がそうなっちゃうわけで。
いや、確かに罰ゲームの人は一番の人の言うことを聞くって約束だけど、
婚約はマズいでしょ、ちっちゃなお嬢ちゃん。
あそこで笑ってる、歳の離れたお姉さんがめっちゃ綺麗だから将来性バッチシだけどさ。
俺はマーリエラさんひと筋だから、ハーレム展開はNGなの。
「子供たちに変な言葉を教えてはいけませんよ」
おっと、おかえりなさい、マーリエラさん。
アンチさんもお疲れさま。
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おみやげの"エルサニア王都銘菓詰め合わせ"は村の各家庭にひと箱ずつという大盤振る舞いに、大歓声を上げる子供たち。
お駄賃のマーリエラさんお手製クッキーをもぐもぐさせながら、
臨時のおみやげ配達部隊となった子供たちは、めっちゃ元気良く各家庭へと向かいました。
えーと、アレって普通のクッキーですよね、たぶん。
「何か?」
何でもございません……
ところで、おみやげ配達を子供たちにお任せしたってことは、
もしかして今すぐ出立ですか?
「はい、村長さんへのご挨拶と宿の手続きは済ませましたので、すぐにでも」