05 速達鳥
この世界での郵便配達業、"速達鳥"
伝書鳩っぽいネーミングですが、正確には使い魔。
鳥さんタイプ以外にも、様々な種類の使い魔が配達要員として使役されているのだとか。
インターセプト防止のための強固な防御魔法で守られた使い魔は、
『高速飛翔』や『短距離転送』など、それぞれの特性を駆使して、
配達先への安全で快速な配送を目指すのだそうです。
元々は、小型の使い魔しか使役出来ないテイマーたちが、
安定した職を得るためにと考えた候補のひとつ、
それが、使い魔による配送業。
配達速度や配送中の使い魔の安全性の向上など、
様々な試行錯誤の末にシステムとして確立したのが、
現在の"速達鳥"制度。
今では各ギルドに窓口を持つ、人々の暮らしになくてはならない一大事業。
"速達鳥"システムの根幹を設計したのは召喚者、との噂もあり、
その召喚者は巨万の富を築いたとも、一切の報酬を受け取らなかったとも。
いずれにせよ、真偽は不明。
ちなみに、大型使い魔を使役出来るテイマーが優遇されがちなテイマーギルドとは、
あまり良い関係では無いそうです。
皆さん、普通に利用しておりますが、
実は"速達鳥"システム利用者には、とても厳しい制約が課せられます。
請け負う側の、配達物に関する守秘義務はもちろん、
利用者側には配達物にまつわる全責任も。
規約違反の配達物を"速達鳥"受け付け窓口に持ち込むだけで、極刑を含む厳罰に処せられるのです。
必ず配送先に届くということは、もし悪用されたら一大事。
何せ異世界ですから、カミソリの刃やチャチな爆発物や炭疽菌どころではないトンデモ郵便物だってあり得るのです。
開封時発動式殲滅魔法やら即死系滅殺呪具やら、そんなの配達してテロの片棒担がされたらシャレならんですし。
何にせよ、子供がお小遣いを貯めれば利用できるくらいの料金で、
配送率100%を目指して日夜頑張っている皆さん、
"速達鳥"に携わっているすべての人に感謝、ですね。