04 しっぽ
……俺、生きてるよ。
気付いたら、地面に仰向けに寝っ転がってて、
お腹の上でスーちゃんが心配そうにプルプルしてた。
身体は……何とも無いね。
手の甲がちょっとヒリヒリするくらい、かな。
ありがと、スーちゃん。
俺を守ってくれてたんだね。
って、そういえば、アイツどこ行った?
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以下は、スーちゃんから聞いた経緯。
"スイッチ"を入れた俺とニチアサ大うさぎの闘いは、まさに静かなる激闘だったそうです。
むやみに動き回らず、無駄に飛びかからず、小細工無しの全力ダッシュでの一撃必殺を狙うニチアサ大うさぎ。
超速で襲いかかるハンパ無い鋭さの歯と爪を、手の甲のみで捌き続ける俺。
相対した時間こそ長かったが、交差したのはわずか数回、ほんの一瞬。
まさに命を削り合うような死闘だったとか。
そしてニチアサ大うさぎは、
自らのしっぽを噛み落とすと、静かに去っていったそうです。
おっと、俺、手で握りしめてたよ、魔うさぎのしっぽ。
へえ、ニチアサ大うさぎのしっぽって、まん丸じゃ無いんだね。
まあ、俺のうさぎしっぽ知識なんて、会社の宴会にお呼ばれされてきたコンパニオンのバニーちゃんのお尻くらいなんだけどさ。
……もしかしてアイツ、ライバルって認めてくれたのかな。
なんか、誇らしいよ。
最強種と死闘を繰り広げた末のライバル認定って、
めっちゃ少年マンガっぽいよね、それ。
って、何このしっぽの触り心地っ。
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コルメゾ村に戻ったら、まずは仮設ギルドへ。
ニチアサ大うさぎと接触したことを報告しても、ギルド職員たちは半信半疑。
無事に逃げることが出来たということをどうしても信じてもらえず、
やむなく証拠のしっぽを提出。
念入りな『鑑定』の末、ようやく信じてもらえました。
しっぽの返却を渋るギルド長に、
すでに納入先は決定していることを説明。
お届け先がどこかを聞いた途端、観念したギルド長。
もちろん何の問題も無く返してもらえましたとも。
それから、毛皮加工職人さんのところへ。
流石に切り落とし状態のままじゃマズいでしょ、貴重な最強種のしっぽ。
クリーニングやら加工やらが全部終わると、可愛らしいお守りの出来上がり。
これなら一国のお姫様の誕生祝いにもアリだよね。
何たって"最強魔うさぎのしっぽ"の幸運のお守り。
その後は、村の仮設ギルドで速達鳥の手続き。
配達してもらえるのは手紙だけじゃなくて、
封筒に入るくらいの小物もOK。
もちろん手紙も書きましたよ。
まずは、ユイメイア姫ご生誕のお祝いの言葉、
これは最強種の魔うさぎのしっぽですからお守りとして効果抜群です、と一筆、
これからもご家族仲良く、アルセリアという優しい国が平和でありますように、で締め。
よし、こんなもんかな。
それじゃ、配達、お願いします。
あー、手紙だけじゃないから、割り増し料金なのね……