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18 成長


 孤児院のみんなからのあったかい歓迎に、おっさんの涙腺、大ピンチ。



 ティルハシエル院長さんは、相変わらず。


 優しさと厳しさと可愛らしさ溢れる、素敵なケモミミ老婦人。



 ヴォル君、いや、もうヴォルドルフさんだね。


 あの頃、得意げに街中案内してくれたやんちゃな少年は、


 今ではすっかり街の若者たちの頼れるリーダー。


 俺よりデッカくなっちゃったし。



「ご無沙汰しております、ノアルさん」


 やめてぇ、歳とったってへこんじゃうから、前みたいにおじさんって呼んでっ。



「母さんから世直し旅のこと、聞いてます」

「あの頃と変わらない真っ直ぐな志し、俺の憧れです」


 そんな真っ直ぐなまなざしを受け止められるほどの清廉紳士じゃないですって。


 助けて、リルちゃん、お兄さんがいじめるのっ。



 って、アンチさんとのガールズトークに夢中ですか。


 リルちゃんも、すっかりリルルリエルさん、だね。


 ちっちゃい頃も利発な子だったけど、


 今ではすっかり、聡明可憐なお歳頃乙女さん。


 いや、院長さん似の落ち着きで、年齢以上にお姉さんしてるよね。



 この孤児院は、15歳で成人を迎えた子から巣立っていくそうだけど、


 今年成人を迎えたヴォル君は、子供たちの兄貴分としてもうしばらくここで暮らすそうです。




 あー、またですよ。


 孤児院にきたばかりのちっちゃな子たちから懐かれまくって、おっさん物理的にピンチ。


 いや、絵面的には子供たちがピンチなのかも……



 ---



 みんなでお茶しながらの積もる話し。


 オーバンの街は平和そのものだそうですが、


 キルヴァニア王国との関係は、正直よろしくないようです。



 あちらからの物流や人の流れも、上からのお達しとやらで交流を制限する動きがあるのだとか。


 やはり、あちらの王家に問題アリ、なのでしょうね。



 これまでそれなりに上手くいってた、河向こうのエヴェルシュの街ともギクシャクしているそうです。


 街を治める立場の人たちが、最近総入れ替えされたそうで、


 それ以降、何かにつけてトラブル頻発。


 あっちの若い衆のリーダー格が、リルちゃんにちょっかい出してきたりとか。


 えーと、それは昔から、ですか。




 残念ながら王家絡みとなると、俺なんかの出る幕無し。


 むしろ以前みたいに変に関わると、国を巻き込む問題になりそうなので、


 申し訳ないけど大人しくせざるを得ないのです。



「いえ、この街の問題は、俺たちで解決してみせます」


 頼んだよ、ヴォル君。


 でも、無茶してリルちゃんや院長さんに心配掛けちゃ駄目だよ。



「兄さんだけじゃないですよね」

「ノアルおじさんも、マーリエラ姉さんたちに心配掛けたら駄目ですよ」



『ホント、すぐ無茶するんだから』

『今度ケガなんてしたら、パーカーモードで一生離れないからっ』




 涙もろくなったのは、歳のせいだけでは無い、はず……



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