01 ピンチ
時系列的にはリヴァイス01のほんの数年前。
『リヴァイス 87 おっさん召喚者と諸々読めないプチ世直し旅』の続きで、
召喚者ノアルのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
はい、ノアルです。
今は、必死こいて木登りなんてしてますよ。
それというのも眼下に見えるは、そのハンパ無い危険性でベテラン冒険者からも恐れられる魔物、
"ニルヴァーナ チート アサシン 大うさぎ"
自慢じゃないけど戦闘力の低さは折り紙付きの俺が避難先に選んだのが、ここ。
つまり、うさぎがジャンプしても届かないであろう木の上。
何故、こんな羽目になっているのか、
理由は後述。
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旅家族な俺たちの冒険者パーティー『コレクショニア』
リーダーで家長な召喚者の俺、ノアル。
特務司法官で俺の嫁、マーリエラさん。
『メタルっぽいスライム』と融合中のゴーレムコア、アンチさん。
『メタルっぽいスライム』でアンチさんの分体、スーちゃん。
この異世界で召喚者が巻き起こしたり巻き込まれたりしてる事件を解決する旅をしている俺たちですが、
今は訳あって別行動中。
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俺たちが居るエルサニア王国の南東に接する隣国、ガルグリスタ王国。
いろいろと問題を抱えていたその国の王家が、ついにやらかしました。
エルサニアの先代統治者ハルシェリカ女王に心酔していたガルグリスタ王家の方々が、
女王失脚の報を聞いて、ブッ壊れちゃったそうで。
『ハルシェリカ女王の偉業を後世まで伝えるのが我々の果たすべき務め』とか言い出して、
ガルグリスタの伝統をなんもかんもうっちゃってエルサニア様式に強制衣替え。
要は、やりたい放題。
ついには国名まで"エルシニア王国"なんてのに変えちゃう暴挙。
まあ正直、俺たちには1ミリも関係無いことなのですが、
ガルグリスタ在住のエルサニア召喚者が巻き込まれそうとなると話しは別。
あそこの王家のエルサニア大好き熱はホント尋常じゃないそうで、
エルサニアに関することなら何でも真似するし、何だって欲しがっちゃう。
もちろん、エルサニア特産品とも言える召喚者は格好のターゲット。
俺も以前、ガルグリスタ王国には近付かないほうがいいよって、
イケおじ騎士さまから忠告されたっけ。
ただ、曲がりなりにも同盟国。
これほど拗れる前は、物流も人の行き来も普通に盛んだったとか。
エルサニア国内での居場所探しを諦めて、あの国に流れ着いた召喚者がいてもおかしくは無いのです。
で、身元を隠して平穏に暮らしているその召喚者を、
大事になる前に国外に連れ出してほしいという依頼がありました。
それは、巡回司法省エルサニア王都本部から凄腕特務司法官マーリエラさんをご指名の、何やら断り辛い筋からのものだとか。
そうした経緯で、今回の任務に必要な諸々を受け取る必要があり、
マーリエラさんは、お馬さんモードのアンチさんに乗ってエルサニア王都へと急行。
俺とスーちゃんは、エルサニア南東部にあるコルメゾという村で待機中。
以上が、別行動となっている理由。
木登りしている理由は……