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まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
二章 最強も望まない
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第五十七節 従魔契約6

久しぶりの投稿で申し訳ない、なおゴリラは熱中症でバテ気味だゾ★





「リュエールはペイルウィングが生息する地点から少し西にズレた地点に居る。そのあたりは珍しい水草や薬草も豊富でね、ギルドにも採取依頼が来るが…まぁ、それなりに難易度は高く設定してある。


リュエールは警戒心が強くてね、近寄るだけで攻撃対象になるのさ…気を付けな。

アタシでも群れで来られたらてこずるし、実戦慣れしてないアンタならなおのこと。とりあえず…群れで行動してるなかからまずは一匹おびき寄せるところからだね。」




「分かった…でも群れで行動してるなら、難しそうじゃない?統率してる個体にバレたらまずい?」




「群れで行動してるとはいえ、あの湖はでかいからね。夜以外はあいつら固まって動かないのさ。……統率してる長個体も、日中は深く潜ってる事が多いらしいが…まぁ、警戒するに越したことはないさね。


リュエールは水の魔術を使うが、長個体は風の魔術も使う。どっちも土の魔術で防げるには防げるが……それなりの強度がなきゃ、一瞬で破壊されるよ。無理矢理強固なものを作っても、魔力不足になってアウト。」




地面にがりがりとリュエールの姿絵と説明を重ねてくれるヴェセルの隣に座り、同じように枝を走らせる。


流石にリュエールに無知は不味いと臨時の作戦会議を開いたのだけど……思ったより強敵かもしれない。

群れで行動してるなら、対一で契約するのはまず可能性が低いだろう。出来るとしたら、迷路のように各個体を区切るとかじゃなきゃ無理だし…それは現実的じゃない。


こう、上から見てたら上手く出来るんだろうけど、平面で見てやると必ず綻びが出るし、その壁も破壊されないとは限らない。…ペイルウィング達とはまだ感覚共有は無理だし、名前はつけたけど今回は不参加にしてもらうつもりでいる。……因みに、名前はクリスタルペイルウィングがクォーツ、その他五羽にウーノ、ドース、トゥーレ、クーア、スィーンと名を贈った。……安直とか言わないように。




「うーん……フロウ、リュエールの魔術防げそう?」




「フォン!」




「……よし。じゃあ、フロウが前衛。指示と攻撃は私がするから、とりあえず防ぐ事と足場に集中してほしい。水草が豊富なら、足を取られるかもしれないから、土の魔術で足場を作りながら戦おう。上にいた方が逃げるのも当てるのも楽になるからね。


私は後ろで攻撃とフォローするから、隙を見て攻撃してもいいよ。でも契約が目的だから殺すのは駄目。…とりあえず、実際どの程度か見ないと分からないからそれでいこう。状況によっては変更したり撤退するけど…ヴェセル、問題ない?」




フロウを抱き締めつつ、多めに魔力を譲渡しておく。…フロウの魔力が尽きる前に撤退はするつもりだけどね。

どれ程強力な魔術を使ってくるかは分からないけど、フロウとて上位種なのだから、私がうかつに壁を作るよりもフロウの方が硬いし早いはず。…高低差は私が指示を飛ばせばいいし。


兎も角、まず実物を見て判断するしかない。



ヴェセルにも確認を取れば少し考え込んだ後、頷いてくれた。




「あぁ、とりあえずは問題ないと思う。アンタ、実戦慣れしてないわりに、随分と確りした作戦を思い付くもんだね?」




「頭脳労働得意。…でも、これはあくまで理想と確認なだけだから、多分実際戦ったらこう上手くは行かないと思う。……ちゃんと怪我する前に撤退はするよ。今度こそ教会から出してもらえなくなっちゃうから。」




「ふは、なんだいアンタ、囚われの姫様状態だったのかい?」




「ヴェセルからも言って欲しい。エルフって皆過保護なの?これでも充分戦えるのに。」




お腹を抱えて喉を鳴らすように笑うヴェセルを見ながら言えば、耐えきれず、とばかりに吹き出して笑われた。……私には死活問題だったりするんだけどな。笑い事じゃないよ。




「いーや。そんなわけないね、あの二人が過保護だなんて聞いたことない。…つまり、それだけアンタの事を気に入ってるって事さ。あいつらの気持ちも汲んでやんな。」




「………善処する。」




ぐいぐいと雑に撫でてくる手は少しばかり硬かった。



可笑しそうに笑うヴェセルに溜め息で返し、席を立つ。…ずっとこうしてる訳にはいかない。陽もそろそろ傾き始める頃だろう。


軽く身体を解し、フロウに跨がる。ヴェセル達は離れた高台から見るらしく、私達が話してるうちに他の人らは身支度を整えていた。…リュエールとの戦闘は広範囲になることが多いらしい。リュエールだけじゃなくて他の魔物や立地にも気を付けなくてはいけない。……木に突き刺さるとか、考えただけで痛そう。




「じゃ、いってくる。」




「あぁ……無理はするんじゃないよ。」



さっきまで爆笑してた筈なのに表情を引き締めたヴェセルは普通に格好いい。…うーん、私には届かない領域だな。



軽やかに走るフロウに乗れば、ほんの数秒程で湖に出た。本当に速い子だと思う……基準が分からないけど、うちの子が一番だと胸を張って言いたい。


上空へ視線を逸らせば、ペイルウィング達が空を旋回している…万が一に備えて控えさせているけど、彼らを使わないことを祈るばかり。




「……あれかな。」




先程よりも西に出たからか、すぐさまリュエールと思わしき魔物の姿は見えた。水面から顔を出してる個体が三匹程。…きらきらと鱗に光が反射して物凄く綺麗だ。




とりあえず先手必勝。空中に水の塊を作り、鋭く変形。一匹へとターゲットを絞って……射出!


水の元は此処でも豊富だし、これで陸側に来てくれたら万々歳なんだけど……そう甘くはいかなかった。

元々水に住む魔物のせいか、ダメージはそう無かったよう…まぁ、それは予想の範囲内だったけど、それよりもその一匹を庇うように他二匹が攻撃を仕掛けてきた。



水のビームのような魔術。一方向にしか攻撃ができないから避けるの自体は難しくない。…ただ思っていたよりも向こうは長個体が居なくとも統率が取れているようだ……ちょっと大変そうだな。




左右に跳んで避け、今度は風の魔術で対抗する。

風の刃で水を裂き、フロウに足場を作って貰いながら接近を試みる。…澄んだ水底には蠢くように水草が生えているのが見える。足を踏み入れなくてよかった、確実に足を捕らえられていただろう。



追従する形でフロウも接近する。……というか、指示を出さずとも欲しいところに足場を作ってくれるとか、うちの子賢すぎない…?従魔契約のおかげだけじゃないでしょ、確実に。




でも相手が水中に居ると物理で殴ったところで威力は半減するし…水をコントロールするには範囲が大きすぎて無理。自分が生成したやつならまだしも、自然の水を操るのは中々に骨が折れるから……あの方法でいこう。




「フロウ、打ち上げて。出来たら足場もお願い!」




「バウ!」




フロウは水底の土を盛り上げるように足場を作っている。ならばリュエールの真下の土とて行けるはず…と期待半分で言ったら、流石うちの子。完璧にこなしてみせた。



一気に空まで持ち上がったリュエール。その土を瓦解しながら跳び上がり、踵落としで水底へ叩きつける。…身体強化をしていてもだいぶ鱗が硬かった。生半可な剣とか弓は弾かれそうだし…なるほど。確かにこれは初心者は挑まない方が賢い。



落ちる合間でさえ、もう片方のリュエールが果敢に攻撃をしてくるので風切り裂いたり、空気の塊を生成、己にぶつけて無理矢理移動して避ける。因みにこの魔術…空気砲みたいなのが知ってる限りこの世界には無かったので、新魔術といえば新魔術なのだが、攻撃にもサポートにもならないので師匠二人には首を傾げられた。


魔術=攻撃する手段、あるいは味方の能力向上や治癒が主らしい。



遊び程度の改良ならば子供でも出来るらしく…故に、水を生成するだけならば魔術師とは名乗らないそう。


中々奥が深い。…まぁ、この空気砲みたいなのも改良すれば立派に新魔術の一つになると思う。今も充分役立ってるし。




発想と工夫次第で魔術師は質が大幅に変わる。初歩の魔術しか使えずとも、場合によっては龍を落とせたり…とか。まぁ、そんか話は今のところ聞いたことないけど、窮地に至った未熟な魔術師が倍以上の魔力放出をしたこともあるらしいし、あり得ない話ではないと思う。





「あ…っ、ぶな……!」




なんて考え事をしていたら頬を水の槍が掠めた。



うん、無駄な考え事は後にしよう。普通に強い。……実戦重ねてたらもう少し違うのかもしれないけど。



誰しも魔術を使うとき、その流れが大気に出る。それでどの魔術か分かったり、来る方向が分かったりする。私の様に結界を張れるものは常時張ってたりする、近距離とかで撃たれても対処できるようにね。


ただ……一点集中のような魔術をぶつけられると、普通に割れる。つまり槍系統に弱い。




それが分かってるのか、水槍ばかり撃ってくるのだから逃げ回るしかない。二匹だけでも中々のコンビネーションである。


いや……負傷した一匹はだいぶ動きが遅くなってるし、一匹は諦めるかな…





「フロウ、上げて!」





もう一度地面をせり上げ、宙に浮かす。


向こうもやられまいと必死に抵抗してくるのを風の刃(エア・ブレイド)で水ごと鱗を切り裂く…吹き出る血を僅かに浴びてしまったけど、そのまま先程より強化した踵を振り下ろす。



大きく水柱が立ち、血も汗も流してくれた……ぷかぷかと抵抗なく浮いてる個体は完全に命を消したもの。


初めて、しっかりと討伐した。



僅かに残る血は…正直気持ち悪かった。解体とか、しなくちゃいけないんだろうか。……また浴びるのは嫌だな、ヴェセルにお願い出来るといいな。




垂れてきた髪を払い、砂埃と水飛沫が晴れるのを待てば……それを裂くように風の魔術が飛んできた。

風の魔術は一番感知しづらい。目に見えにくいというのもあるけど…なにより速度が速い。咄嗟に二重に結界を張って防ぐも、弾き飛ばされてしまった。…うーん、今のが槍じゃなくてよかったな。刃だから吹き飛ばされる程度で済んだ。




「フォウっ…!!」




「大丈夫、大丈夫…ちょっと吹き飛ばされただけ。まだ動ける。」





背中とか痛めた気がするけど、吹き飛ばされたと同時に痛覚は麻痺させておいた…痛いのは嫌だからね。

……にしても、風の魔術か…





「上位種は日中底の方に居るって聞いたんだけどね…」





殺気を向け、鮮やかな尾びれを揺らして浮いている魚。……なるほどあれが上位種。確かに一筋縄じゃいかなさそうだ。


でもさっきは居なかったのに何でここに…………あ。



吹き飛ばされたせいか、湖がよく見えたせいで気付いた。……物凄く、湖を荒らしてた。しかも二度も底へ叩き落としたんだから、鈍くなきゃ、そりゃ気づくというもの。



しかも群れの一匹を殺したとなれば…あの殺気になりもする。




まずったなぁ、と眉を寄せてしまうのも仕方ない。……さて、どう戦ったものかな。




月3~4話を頑張って上げたい

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