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まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
二章 最強も望まない
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第五十二節 従魔契約1

新たな小説もこっちも滞りなく進めてく、予定




さて、ここからはリムネルと従魔術の訓練。従魔術師は従魔に戦わせるだけじゃなくて、従魔のサポートだったり共闘、戦闘向きじゃないなら偵察だったりもあるので従魔術師も中々パーティ等に居ると役立つそう。


存在が珍しい訳ではないけど、本人の資質で決まるから従魔術師の多くが貴族らしい。平民にだって居るには居るが、その場合はギルドがパーティに派遣したりするらしい…一つのパーティが独占するとバランスが悪いとかなんとか。


まぁ、私が行くのは貴族が殆どの訓練所だし、これで冒険者ギルドに従魔術師が増えるのはいいことらしいけど。




「今日は…そうねぇ、貴女とフロウは相性がいいのは分かってるし、感覚共有もそこそこ出来るようになったし……あ!そうだわ、従魔を増やしましょう!」



「従魔って一人だけじゃないの?」



「いえ、4~6、多い人なら数百、数千も従魔を従えてますよ。従魔術師は他の魔術の適正がない人も居ますし、魔獣で戦うのが基本ですから。」




数百。普通に軍隊みたいだ…スライムとかいっぱい契約したら凄そう。スキルレベル1でも契約できるらしいし…あ、でも契約し過ぎると必要レベル変わってくるのかな?あくまでレベルって目安でしかないし……


頭を悩ませているとアヴィリオの手が頭に乗っかった。…そういえばアヴィリオとアルトゥールは従魔術使えないらしい。ちょっと意外だった。




「ま、お前なら新しく契約しても問題ないだろ。元々アースフォクスを従えてるだけで充分だが……連絡用に、鳥の従魔とかいいんじゃないか?」



「確かに…偵察とかもいいかも。護衛の時、空に飛ばしておけば視覚共有で探査出来るし…何かあったら役立つかも。」



「あら、アンタにしてはいいじゃない…なら、ペイルウィングって渡り鳥みたいな魔獣がこの地域に居るの。少し離れてるけど、湖の近くに巣が有るわ。羽全体が優雅でね、速いし囀ずりも綺麗で愛好家が多いわ。

ただ…温厚だけど強くてね、しかも賢いから自分で主人を選ぶのよ。気に入らなかったら契約させてくれないし、無理矢理やろうとすれば群れで襲われるわよ。」




従魔術を教えてるだけあって、リムネルは魔獣に詳しい。私は残念ながらフロウ…アースフォクスのことと、リムネルの従魔、アルベルベアのベトのことしか知らない。名前だけならスライムも知ってるけど…基本的に結界内でしか生活してないから魔獣とかに会わないんだよね…



因みにスライムとか獣の姿じゃないものを魔物、獣の姿をしたものを魔獣って呼ぶらしい。まとめて魔物でも通じるらしいけど…使い分けられるようにしておかねば。


でも鳥の従魔かぁ……確かに、いいかも。寮に住むことになるだろうし、神父様達と連絡とれないのは困るし……



「…うん、契約しに行っ………フロウ?」



のそ、と大きな体が引っ付いてきた。今まで近くに寝そべってたのにどうしたんだろう。


赤い瞳は何かを言いたげで……言葉ではないけど、従魔術の特性としてフロウから伝わってきた感情は不安とヤキモチ。 鼻先を此方へ押し付けては、行かないで、という感情を訴えてくる。……可愛い。


突然言葉を切ったからか、アルトゥールとアヴィリオは不思議そうにしてるけど、リムネルは気付いたらしくケラケラと笑っていた。




「ふふ!刷り込みなだけあって執着がスゴいわねぇ…レンはこの子の感情しっかり感じ取れてるでしょう?」



「うん、何時もはそうでもないんだけど……大丈夫だよフロウ。別にね、フロウを置いてったりしないし、フロウは一番の従魔なんだから、特別!」




ぎゅー、とふかふかの身体に抱き着いて、ちょっと草花の匂いが混じった毛並みに顔を埋める。

フロウは大きくなった。狼よりも猪よりも、ずっとずっと。…サイズ調整も出来るから普段はちょっと大きい狼くらいだけど…本当はそれの二倍くらい大きい。

でもそうすると私と一緒に寝れないのと、本人が小さいほうを好んでるので小さくなって貰ってるだけ。



あれだけ小さかったから、もう大人になったんだなぁ、なんて思ってたけど……まだお子様なんだなぁ。




「……フォ。」




「魔獣の刷り込みというのは不思議ですね……特に貴女は愛情をめいっぱい掛けて育てたのだから、余計本能的に守ろうとしてるのでしょう。…従魔にとって主は絶対。勿論、意思ある生き物なのですから反発することもありますけど…掛けた愛情は愛情で返ってくる。 ……見ていると、私まで従魔が欲しくなってきますね。」



落ち着いたのか少し身体を縮めて横につくフロウを愛でていれば、アルトゥールの手が自分とフロウに乗った。……さてはフロウも子供認定してるね?



アースフォクスは人懐っこい訳ではない。というか寧ろ上位種なだけあってレベルの足りてる従魔術師でも調伏は難しいらしい…従魔術って本当に高度な魔術なんだとリムネルに教えて貰ったのは随分前だったかな。神父様の無茶ぶりだったと知って暫く膨れてたら素直に謝られた。

レベルは本当にあくまで目安。従魔術はさらに魔物、魔獣との相性も加わってくるので従魔を完全に従えるには相応の努力や対話が必要なんだとか。…知能が物凄く高い魔獣だったり人型の魔物なんかは喋ったりも出来るそう…中々奥が深い。




「アルトゥールは従魔術使えそうなのにね。」




「私やアヴィリオは人を支えること、教え導くことに特化していると身内にも言われてますし…リムネルも本当は使えない筈だったんですが…ほら、彼は独自の価値観を持っているでしょう?他者と違う視点を抱くものにも稀に従魔術の適性がある場合が見付かるんです。


独自の価値観、すなわち彼は自分自身の世界を構築できる。…それってある意味王の素質なのでは?なんて彼のご両親が頭を抱えてましたよ。まぁ、私達も何が基準で魔術適性があるかは正確には判明してないので…早々に探るのを止めましたけどね。」





こそこそと教えて貰い、頷いた。私も従魔術の適性とかよくわかってない。ノーチェに昔日陰の王云々みたいなことを言われた気もしないではないけど…全然覚えてない。何しろその後色々起きたし。


因みに魔術適性というのは訓練してるうちに何となく自分自身で分かってくるものだ。魔力さえあれば初級の魔術は私は全てできるけど…中級以上になってくると、火と光の魔術は威力が下がったり不発に終わったりすることがある。勿論、優秀な魔術師は自分で魔術を作るって教わったから初級を合わせて色んな魔術を作っては見たけど……うん、それでも火と光は酷かった。初めは獣は火が苦手だからかな?とか思ったけど、どうもそこら辺は関係ないらしい。




獣人だって火を得意とする者だっているし、別に虎の獣人が猫の獣人の上位互換というわけでもない。あくまで獣人は獣人、総じて人間よりも優れてるということに過ぎない。





「そうね……貴女の実力ならペイルウィングに襲われても問題はないし、一人で行ってみる?距離は少し離れてるけど、フロウに乗ればすぐよ。」




「え…いいの?」




中々種族も奥が深いとか考えてる場合じゃなかった。…私はあまり一人で出歩いたことはない。せいぜい木の実を取りに行くくらいで…それ以外は必ずアヴィリオ達の誰かが居る。


大騒ぎになったから、心配してるのかなぁとか、アースフォクスの様な上位種も居るから不安なのかなぁ、とか思ったので黙っていたけど…リムネルからお許しが出た。

恐る恐る二人の師匠の顔色を窺うと…どこか不安そうにしながらも、頷いてくれた。





「うんっ、一人で行く…!!」




「…知りませんよ、リムネル。神父殿に怒られても。」




「いいのよ!アンタ達は過保護過ぎ!可愛い子には旅をさせよって言うじゃない!…それに、鬱陶しい男は嫌われるわよ、そろそろ子離れなさい!」




「別に過保護じゃ…!!」




「お黙り!寧ろアンタが一番過保護なのよ!!」




リムネルの喝に身を縮めるエルフ兄弟。…二人とも身に覚えがあるのか反論しないし、視線を泳がせている。


特にアヴィリオは物凄く過保護だった。私の勘違いじゃなくて良かった。


例えば、さっきも言ったとおり私は教会の周辺にしか出歩けない。…別に規制されてるとかではないけど、心配を掛けたことが一度だけあり、それ以来アヴィリオがしつこ……鬱陶し……いや、物凄く心配するようになったのだ。




たまたま虫系の、しかも大きい魔物と出会ったせいで魔術を暴発させた自分が悪いんだけどね。うん。……でも転生しても耐えられるものと耐えられないものってあるから、仕方のないことだと思う。咄嗟に焼き付くしてしまったけど、あと数歩近付かれてたら情けない悲鳴を上げてたと思う。


兎も角、その魔術の暴発のせいで飛んできた木の枝に腕をさっくりいかれ…治癒ができないから大人しく帰ってきたら、たまたま一番にアヴィリオに見付かり、それはもう大慌てでアルトゥールを呼びに行ったくらいだ…結論。ツンデレ兄貴、過保護すぎる。





「確かに…初弟子だから余計大切にしたいのでしょうね。しかも貴女は騒ぎを起こしがちですし。」




「そんなに起こしてないもん。ただちょっと、問題の規模が大きかっただけだもん。」




「だから余計心配なんだろうが……いいか、お前はあんまり町へ降りないだろうから教えてやるけど、今の世は荒れに荒れてる。


加護持ちの知恵と力を独占しようと躍起になってる奴等も居れば、魔王さえ加護持ちを保護しようと苦労してるらしい。勿論、魔王は本当の意味で保護をしようとしてるが…それ以外のやつらは力を独占しようとしてる方が多い。

勿論、誰が加護持ちかは分からないから…今、各国で誘拐が多発してる。この辺りもちょっと物騒になってきてる…お前は襲われても対処できるだろうが、そこじゃない。



お前の場合、前にしでかしてるからもう一度注目を浴びるとなると狙われる可能性が出てくる。

賢いもの、力あるものはいつの時代も狙われてきたし……それがあまりにも顕著に現れてるのが今だ。


訓練所で目立つ分には別にいい。教師は信頼できる奴にしろってレーヴェティアに言ってあるからな。」




既に根回しされてた。…皆過保護だなぁ……



視線だけで言いたいことが分かったのか、ガシッ!とアヴィリオに頭を引っ掴まれ、綺麗な顔が近付いてきた。アヴィリオっていじめっこの顔してるけど顔がいいんだよなぁ




「お前が危なっかしいんだよ…!!」




「別にそんなことないもん。何年前の話?」




エルフと私達では時間の感覚が違う。だからアヴィリオにとってはつい最近に感じてるのかもしれないけど……でも私は成長した。何の力もない子供でもないし、自分のことぐらい自分で管理も出来る。



ムッとした顔をしてたからか、アヴィリオが眉を寄せた。





「お前が餓鬼なのに変わりはないだろ。」




「アヴィリオ達が不安がるほど馬鹿じゃないし、自分の事ぐらい何とかできる。」




「……だったら、ペイルウィングともう一匹、湖に住んでるリュエールという魚の魔物とも契約してこい。契約できなかったら今後も誰かを護衛につけるし、訓練のレベルも引き下げる。」




「上等、アヴィリオが思ってるよりずっとずっと私は強いし賢い。…フロウ!」




ちょーっと、頭に来て、詳細なんて聞かないままフロウの背に乗った。子供じゃないのだから、過保護だってことを示してみせる…なんだかリムネルとアルトゥールの声が聞こえた気もするけど、ぐんぐん森のなかを抜けていく。



ペイルウィングとリュエール。両方とも私の従魔にしてみせる。







アヴィリオと喧嘩

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