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まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
一章 美少女は望まない
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第五話 親心と好奇心

実際王族やら貴族やらは自分には絶対無理なので、ピクニックとかできる来世でありたいと思う今日この頃。




「初めまして、お嬢さん。私はブランシュナ・ベスティード。此方が妻のフィオルナだ。」




わざわざ椅子から立ち上がり、目の前に膝をついた国王陛下に畏縮してしまう。無意識だが尻尾が足の隙間に入り込んでしまったのを見たからか、困ったような苦笑を浮かべている……どことなくナオにその表情は似ていた。



ベスティード王国の国王と云えば、お祈りに来た人の噂程度でしかないが大変勇ましく、厳格な方だと聞いた。勇気と力に溢れた獅子の子だと言っていたのはどこのおばあちゃんだっけか……




「レン、大丈夫だよ。国王様も女王様もとてもお優しい方々だ……だからそう怯えずに。」




「神父様………その、私は怖いというより…」




神父様に未だ隠れるようにしているのには訳がある。



ナオを見てほしい。私の大好きな人だからそれは勿論かっこよくて当たり前だ。

そんなかっこよくて素敵な人の此方でのご両親だ、それに王族とくれば………緊張でお腹が痛くなってくる。

おまけに総じて顔がいい。眩しいくらいだ……神父様の気遣う優しい顔が心に沁みる。怯えてる訳じゃないんです、ほんと。



恥ずかしがってると捉えたのだろう、微笑ましげに見詰められれば余計に居心地が悪くなる。……顔がいい人達は遠目に見るに限る。




「父上も、母上も何故ここに…?」




「最近、護衛達からよくお前を見失うと共に、町外れの教会へ入り浸ってると報告を受けてな。何かあるのかと来てみた。」




「……父上自ら?」




ナオがじとりと国王陛下を見詰めれば、さっきまでの和やかな表情を引き締め、腰を上げるとナオを見下ろした。

その表情こそ、国王としての顔なのだろうと直感で理解した。……ちょっとびっくりして、尻尾が膨らんでしまったのは見逃してほしい。




「…元老院の者達に報告が行ってないから良いものの、王家の者が入り浸ってるのを知れば彼らの生活が脅かされる。しかも理由が彼女とくれば、………賢いお前なら、皆まで言わずとも意味が分かるだろう?」



八歳へ向けるには、些か厳しすぎる声色に此方が怯えてしまいそうで……肉体に精神が引き摺られてるのかもしれない。神父様が抱き上げてくれたのを甘受し、その手をつかむ。



ただナオはそれでも怯みはせず、一度心配そうに此方を見ては、強い意思を称えたまま金色の瞳で父親を睨む。




「だから、護衛さえ撒いて彼女に会いに来るんです。僕と同じで彼女は賢い。人目が無い帰り道を教えてくれる。……それよりも、こうして国王陛下と女王陛下が揃ってくるほうがよっぽど元老院の者達に目をつけられると思いますが?」



キリッと引き締めた顔は、私の知ってる顔じゃなくて……第二王子としての、顔だった。


大切な話をしているのに、胸が高鳴って仕方ない。

格好いい。格好いい。素敵、愛しい。そんな想いがぐるぐるぐるぐると回って今すぐ抱き付きたいのを我慢する……危険なのに会いに来てくれるなんて、きゅぅぅう、って胸が締め付けられた。




「……レン、レン。嬉しいのは分かるが、尻尾下げて貰ってもいいか?」



「あ………ごめんなさい神父様…」




獣人というのは中々感情を制御するのが難しい。勝手に尻尾に出てしまう。きゅ、と自分で尻尾を抱き締めて神父様の顔にぶつからないようにカバーする。


真面目な話をしているのにこれではいけないと、頑張って表情も引き締めた。





「いい眼をする。………ところで話は変わるが、あの子、可愛いな。いくつになるんだ?」



「……は?」



「お前と数個違いか?フィオの色彩とは真逆なのがまた愛らしい。…どう思うフィオ。」



「ふふ、そうねぇ……さっきからナオへ大好きって感情を素直に向けてて大変可愛らしいわ。娘が増えるのは大歓迎よ。」




空気が、緩んだ。



ぽかん、と開いた口が塞がらない。…ナオもぽかん、としてる。…あれ?さっきまで真面目な話をしてたんだよな?神父様を見上げても眉間を押さえて溜め息を洩らすだけ。……耳に当たってくすぐったかった。



にこにこと穏やかな女王陛下の視線には気付いていた。深い深い海底の様な美しい瞳を意識してしまえば余計固まる自信があったので見ないようにしてたんだけど……そこに緩んだ金色も加わって余計恥ずかしい。



ほんの数秒前まで、王としての威厳に溢れていた国王陛下は、また此方へ膝を着くと顔を近付けてきた。……神父様に抱き付いてしまったのは許してほしい。圧が、圧がすごいんだ。とても。




「うちの息子と仲良くしてくれてありがとう、名前は?」




「れ、レン…ですっ。」




「そうかそうか、良い名前だ。齢は?ナオより下に見えるが……」




「ご、五歳、……に、なりました。」




ビクビクしてしまう。だって相手は王族だ。迂闊に不敬な行動を取れば首が胴体とおさらばする。

……穏やかに見ているだけの女王陛下で良かった、加わったら顔のよさにやられる。




「っ…父上!顔が!近いですっ!レンが怯えるので離れてください!」



「おっと。……一丁前に嫉妬か?」



神父様の膝に座ってるから逃げ場はないのが分かってか、間にナオが入ってくれ距離が空いた。威嚇するように膨らんだ……ああ、ぼわぼわになって…あとでお手入れしなきゃ。



半ば現実逃避していれば、再び溜め息が耳を掠め、名前を呼ばれた。




「すまない……国王様も、女王様も……無類の子供好きなんだ。そして可愛いもの好きでもある。」



「……うん?」




「小さいものは可愛らしい。子供は国の宝。……殿下を揶揄うのも含めて、気に入られたみたいでなぁ……。」




ぽか、と開いた口が塞がらなかった。


……とりあえず、首が胴体とおさらばする可能性が低くなったと認識しておこう。何だか面倒そうな気配を感じたので詮索したくない。




「レンのことより!…僕の問いに答えてください。何で二人が此処に?」




「んー……そりゃお前、大好きな息子が番を見付けたっぽいなんて報告を受ければ親として気になるだろう?結婚するなら安全に暮らせるよう手配したりしなくてはならないしな。」




「私は好奇心。レーヴェディアがそれはそれは興奮気味に貴方と黒猫の少女の事を話すんですもの。気になっちゃうわ。」




「………は?」





キッと睨む様に見ていたナオが脱力した。


片や親心。片や好奇心で国のトップが揃って様子を見に来たと言うのだ。……護衛を撒いてまで会いに来てくれるナオも大概だが、陛下達も大概だった………


すっかり緊張が抜け、きっとナオは荒れるんだろうなぁと、…窓の外をみつめた。




今日は良い天気だ、外でお昼寝がしたいなぁ。






ゆるふわ親子が王族でもいいじゃない、大変美味しい。

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