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まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
一章 美少女は望まない
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第三十二話 夜の始まり

遅筆ゴリラに人権なし




神に祈りを捧げる空間でイチャイチャするな、なんて言われて放り出されてしまった。



……レイル達だってイチャイチャするくせに。




「全く……浮き足立ってるからって扱いが雑なんだけど、アイツ…」




「え?あれで浮かれてたの?」





「レイルがわざわざ姿を現した時点で相当ね。」





二人揃って立ち上がり、ナオの言葉に瞳を見開いた。……レイルはツンデレ。覚えておこう。


二人で祈るなんてはじめてで…時計を見ると結構時間が経っていた。普段の1.5倍くらいお祈りしてたぐらいか。




「殿下、就寝の準備は整ってます。」



「レン、お前もそろそろ休め。明日はもっと厳しく行くからな。」




「……なんで残ってるの?アヴィリオ。…リムネルも。」




お祈りをしてる間に帰る、なんて言ってた二人は何故か居る。なんなら寝間着だ。…リムネルはなんかシルクだろうツヤツヤしたパジャマで…アヴィリオは、なんかこう…古代の王様とかが着てそうな、ゆったりした布。

……魔術師なのになんでそんなに腹筋ばきばきなんですかね??


目の保養だけど、ちょっと何処に向けたらいいか分からなくて視界からシャットアウト。下もヒラヒラしてて捲ったら面白そ……じゃなくて、見せられないような光景が広がるだろうから想像するのは止めておく。自重って大事。




「なんでってお前、一々ギルドから通うの面倒だしな。流石に部屋の主人無しに勝手に入るのは憚られたから待っててやったんだろう。」




「アタシはフロウの修行を任されたのよ。本来なら親が教えるものだけど……ま、アタシも従魔術少しは使えるから。代役ってところ。アタシは倉庫を少し片して新しく部屋を作ったからそこに居るわ。」




「あ、そうなの?倉庫片すの大変だったでしょ…神父様の資料とか、食料とか…」




「一人くらいならなんとかなるから大丈夫よぉ。倉庫も結構な広さだったし。」





備蓄にも抜かりない神父様。災害などが起きてもいいように一週間分の水やら非常食は勿論、大きな毛布なども倉庫にしまってある。

定期的に掃除や洗濯はしてるけど……それより、神父様宛の手紙やら書類やらが適当に散らばってたりするから、きっと神父様も掃除を手伝ったのだろう。


確かに、片付ければ一人分の小さな部屋くらいなら確保できるけど……





「アヴィリオは?神父様と寝るの?」




「野郎と寝るなんて大金を積まれてもお断りだ。……さっき言ったろ。部屋の主人なしに勝手に入るのは憚られたって。」




「……私の部屋?」




にまにまと愉しげなアヴィリオ。正解だと言わずとも分かって、眉を寄せる。

…………他人と寝るのは苦手なんだよなぁ…リムネルと一緒に寝ればいいのに。仲良しなんだから。




「……私の部屋譲るから、ナオと寝る。」




「それは駄目だ。保護者達から禁止令が出されてる。……破ると暫く会わせないってさ。」




「む、ぅ……じゃあ、私が神父様のところで寝るか、アヴィリオがそっち行って。」




ナオに引っ付いて嫌だとアピールしてみるも、そもそも神父様の部屋は本と書類で溢れてるのであんまり他人が入るのも、自分が入るのも躊躇われる。……あと、私の部屋には大きなフカフカのクッションがある。大人が丸まって寝転ぶと若干余るくらいの、貰い物のクッション。

ふかふかで、よくベッドじゃなくてそっちで寝てる。…ベッドも中々なサイズだし、唯一、この家で二人で寝れる部屋だろう。




「……レンと同室か…」




「羨ましいだろ?」




噛み締めるように呟いたナオに自信たっぷりにどや顔するアヴィリオ。なんか張り合ってるみたいで微笑ましくはある……が、アヴィリオはいい歳の大人なんだから、子供にムキになりすぎでは?



いやまぁ、こっちも精神年齢同じくらいかこっちが高いくらいなんだろうけどさ。




「別に、今まで何回だって一緒に寝てたし、将来もそうなるつもりだからいいんだけど……レンが心配。」




「俺が襲うとでも?」




鼻で笑ったアヴィリオをナオが鼻で笑い返す。ぎゅう、と抱き締められて腕の中に閉じ込められてしまった…苦しい。苦しいけど……ナオの匂いがする。好きな匂いだ。




「下半身と脳が直結し過ぎじゃない?ロリコン。……僕が心配してるのは、レンは神経質だから寝れるかなってこと。繊細で優しい子だからね。僕の可愛いレンは。」




「ナオ……照れる、困っちゃう。」




「このクソガキ……!!」





ぎゅむぎゅむ、ぎゅー。優しく、強く。抱き締められて居るとそれだけで嬉しくて幸せで……ぽかぽかした心地に頬が緩んじゃう。




「はぁ…尊い……じゃなくて、殿下。流石に今の顔見られたら引かれますよ。」



「レンには向けないからいいの。……それより、レーベ、毛布少し貸してくれる?」



「どうぞ。」




なんだろうと顔を上げると、肩に毛布が掛けられ、柔らかい生地が全身を包む。…さては持ってきたやつだな?こんなにもふふわな毛布はうちになかったもん。


連れられるまま椅子に座って、肩にぽす、と顎を乗せて……されるがままになっていれば……ゆっくりと、左右に身体が揺らされる。


風に揺れる花のように、ゆっくり、ゆっくり……




「……ねむ、い。」



「うん。そのままお休み。僕の可愛い人。」




落ち着いた声が鼓膜を震わせ…はふ、と溜め息とも吐息とも区別がつかない息が勝手に溢れて……ここで寝ちゃ駄目なのは分かってるのに抗えない。


今日は修行頑張ったんだから、そのせいで眠いんだ。



なんだか周りの声も何も段々聞こえなくなってきて……そのまま、沈むように意識を手放した。





だがバナナはある。

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