表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
一章 美少女は望まない
33/122

第二十六話 少女と魔術訓練

怪我をしてても話はどんどん進んでいく。





「はい、これお薬。…一週間分あるから、足りなかったら言ってちょうだいね。レーヴェティアに運ばせるから。」




「ありがとうございます……あの、薬代は…」




「いいのよ。元はといえばあんな奴を元老院に居させてる私達が悪いもの。……また何かあったらすぐ連絡してね?一応今日から二人を泊まらせるけど……心配だわ。」




翌日、王妃様にまた怪我を見てもらって薬を貰った。頭と顔は大したこと無かったけど……お腹はやっぱりまだグロい。

昨日は結局ナオもレーヴェティアも城へ引き戻されたらしい。王様ともお話してきたらしく……謝罪のお手紙と、お金がぎっしり詰まった袋を頂いた。変な声が出るくらいの大金だったので丁重にお返ししておいた。……多少は将来のために取っときなさいと突き返されたけど。



そうだ、昨日といえばアヴィリオとリムネルも夕飯を一緒にしたんだけど…アヴィリオにデザートを取られた。それを見ていたリムネルに絞められてたけど。

アヴィリオは博識だった。色んな事を知ってて、旅の話とか教えてくれた。リムネルもそう。それだけじゃなくて、衣服や防具、武器も作れるらしくて……二人ともスペック高過ぎてちょっと引いた。当たり前なんだとしたらこの世界有能な人しか居ない。




「私はナオの訓練に戻るけど…レンちゃんは今日どうするの?」




「今日はアヴィリオに魔術と魔物について学びます、身体が大丈夫そうなら魔術の訓練も。」




「そう……無理しないでね。私達も顔を出すから、休憩の時にでもいらっしゃい。メイド達には話を通してあるから。」




ナオは近くにある別荘の方で訓練するらしい。……お昼とかに、覗いてみようかな。


王妃様を見送ると、入れ違うようにアヴィリオ達もやって来た。…二人は町から来てもらってるから、ちょっとだけ申し訳ない。




「おはよう。身体の調子はどう?」



「今王妃様に見てもらって、薬も飲んだから大丈夫。フロウはまだ寝てる。」



昨日潰して寝ちゃったからか、フロウは寝不足気味だったのでお留守番をお願いしてきた。ふわふわの毛並み、よかったなぁ……今度は潰さないよう気を付けなきゃ。


まだ早い時間なのもあって、部屋を出てくるときにはまた眠ってしまったのも可愛かった。




「とりあえず異常がないなら……そうだな。魔術について話ながら実際やってみるか。説明するより体感した方が早いしな。」



「分かった。…頑張る。」




こくこくと頷けば力強く撫でられた。……アヴィリオは案外人の頭を撫でるのが好きなのかもしれない。

リムネルは神父様と話すことや何か作業があるらしいので一旦別れ…教会裏手の森に入った。



裏庭でもいいけど、何かを壊したら大変なので森に来たのだが……森林破壊はいいのかな。所有者居ないしセーフ?




「まず魔術についての説明だな。俺達の身体には個人差はあれど魔力が流れている。従魔術使ったときにそれは感じ取れたな?……よし。それでいい。魔術を使う上で感じ取れなきゃ、そこからスタートになる。」




「そんなに難しいの?」




「お前の歳ぐらいならな。それから魔力が少ないやつも中々掴めないと聞く。…まぁ、お前は黒猫族だからその心配は無かったがな。

兎も角、魔力の流れが分かるなら次のステップだ。魔術として放出するには、その魔術のイメージが必要だ。

その補助として、呪文ってもんがある。…例えば……“風よ、集いて刃となれ”。」




近くの木にアヴィリオが片手を向ける。

かまいたちの様に、空気が揺れ……木が、倒れた。ドシンって大きな音に驚いて鳥たちが飛び去っていく。




「こんな感じだ。放出する魔力量に応じて強さも変化するし、慣れた魔術師なら、必要量に無駄がないから連発も出来る。……今のが初歩的な風の魔術。エア・ブレイド。あとは順に水、土、火、光、闇、って教えていくからな。」




「分かった。……今のは、どんなイメージでやったの?」



「教えん。」




「………え。」





地面にがりがりと棒で書きながら教えてくれていたアヴィリオは突然にんまりと笑った。

……教えてくれないのは困る。今までのはなんとか理解できていたけど、上手くいくか分からない。




「何でもかんでも俺が教えてたら将来困るだろ。お前のイメージでやってみろ。この魔術が出来るようになったら次を教えてやる。」




「……分かった。」




「とりあえず……あの細い木を一発で倒せるくらいになったら課題終了。今日出来なかったら明日だ。…俺の修行が終わるまで訓練所には出さないつもりだから頑張れよ。」




「っ…そんなの聞いてない……!」




訓練所行かなきゃ冒険者になれない。即ち、ナオの隣に居られない。

そんなの嫌だ。キッ、と睨むも額を弾かれてた。……地味に痛い。




「依頼人と話して決めたことだ。お前に教える魔術はもう話してあるし、お前が頑張れば次の募集までには間に合うだろうよ。

……訓練所に集まるのは冒険者の息子、娘。稀に貴族もだ。それを踏まえて訓練所はカリキュラムを作るし…大体がある程度親とかに教わってるのに対し、お前は無知。そんな状態で行ったって他の者と同じように訓練終了出来るかなんて……賢いお前なら分かるな?」



「……分かる。」




「ただでさえ、身体が強くないのにそんな状態で行くのは無謀極まりない。…よって、俺が良しと判断するまでお前は此処で訓練だ。」




アヴィリオの言うことはごもっともなので、言い返せない。

……確かに、魔術だけじゃなくて、この世界の色んなことにも無知で……例え冒険者になったとしても、分からないことばかりになってしまう。


これで魔物に負けて、死ぬようならそれこそ本末転倒。……この世界に復活の呪文も復活の薬草も存在なんてしないのだから、慎重で居なくてはならない。




「……身体、弱くないもん。」




「はっ。だったら雨ごときで頭痛を起こさないようにするんだな。」




理解は出来たが…やっぱり不服なので細やかな反抗。……偏頭痛持ちじゃなきゃあの痛みは分からない。



ぷくぅ、と両頬を膨らまして不満を露にしても両手で潰され、…何故かアヴィリオは近くの木に寝そべってしまった。……サボる気だな?




「お昼ぐらいに起きるわ。……それまでに出来るようになったら起こしてもいいぞ?出来たらな。」




「……上等。」




暗に出来ないと言われれば……絶対お昼までに叩き起こしたくなる。

鼻で笑い、目を閉ざしてしまったアヴィリオに背を向けて、細い若木に手を向ける。



時間はまだある、落ち着いて一つずつやれば問題ない。



まず身体に流れる魔力を認識……これはもう大丈夫。ステータスを開くときも丁寧にやってたから、前より早く、強く認識出来る。




次に魔力放出。従魔術とは訳が違う。相手を攻撃する魔術。……使い方を誤れば、誰かが怪我をする。

だから、まずは少しずつ放出する。



放出する時のイメージは、さっきかまいたちみたく見えたからソレで。…加えて、風の見えない剣で木を凪ぎ払うイメージ。



集中して………




「“風よ、集いて刃となれ。”」




手の先から空気が圧縮され、刃の様に鋭く変形していくのが分かる。そのまま的に向かって一直線………と、いけば完璧だったのだが、的に当たる前に霧散して溶けていった。


すっかり距離の事を忘れていた。……近くでやってもダメってことはないだろうけど……なんか負けた気がするからこのまま行こう。



遠くに的があればあるほど、きっと魔力の量も多くなる。長距離射程で高火力なのがベストなんだけど……そうなってくると初歩の魔術じゃないんだろうなぁ。




とりあえず、さっき空気に溶けた辺りに木で地面に印を付け、元の位置に戻ってもう一度的目掛けて魔術を放つ。

さっきよりも倍くらい魔力を込めて……放つ。



バシッ!と木に当たる音がした。……しかし的とは別の木。距離は出たがコントロールが悪いようじゃまだまだだ。



大丈夫。お昼までは沢山時間があるんだ。習得して見せる。





魔術訓練開始。使えるなら何を使ってみたい?自分は確実に従魔術。モフモフパラダイスの実現を夢見て

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ