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まぁ、転生したからといって美少女になりたいとは限らない  作者: ゴリラの華
一章 美少女は望まない
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第十五話 城下の服

馬車の人にもムムをおすそ分け。まだまだ馬車の容量はたくさん。




日用品を買うお店、名前はルドラの商店。



何だかゲームの雑貨屋みたいで広くて楽しい。薬草や食糧、衣服に至るまで階層を分けて陳列しているらしい。なんだかデパートか何かみたいだ。



平日の昼時だから、そんなに人が居ない……それでも充分賑わってるけどね。




「何から買うの?」



「ふむ……食糧は最後でいいとして…教会中で足りてないものはあったか?」



「ちょっと待って。……ん………トイレの紙は人数増えるならストック合ってもいいかも。あと調理油と蝋燭の油切れかかってた。」



「そういえばそうだな……シャンプー類はどうする?」



「ナオのなら兎も角、王妃様がなに使ってるか分からないから……足りてるし止めておいた方がいいと思う。きっとメイドさん達も来るだろうから、持ってくるんじゃないかな?」




繋いだ手をゆらゆらしながら応えれば、褒めるように何度か握られた。

きっと高いシャンプーでも神父様は買えるだろうけど……固定のしか使わないって人も居るし、止めておいた方が懸命だろう。


不思議なのが、教会は勿論お布施もいくらか貰っているけど……教会の補修やらにしか神父様使わないから、普段の買い物のお金がどこから出てくるのかが不思議で不思議で仕方ない。

レーヴェディアから神父様は昔は冒険者をやっていたことがあると聞いていたから…その貯金かもしれない。結構大胆に使うときは使うので、心配になってしまう。




でも直接聞くのもなんだか失礼な気がして、神父様から視線を外した。




「そうだ。折角お前さんが初めて町へ降りたんだ……いつも私が選んできた服ばかりだからな、自分で選んでみるといい。」




「え……神父様が選んでくれる服、可愛くて充分あるよ?」



神父様が選ぶのは殆どがワンピースタイプやら着物のような服だが、可愛いしサイズもあってる。


元々対してお洒落に興味はないし…ある程度機能性があって、許容範囲のデザインならそれでいいのに。……でも神父様に背中を押され、大人しく手を離して服の合間を歩く。




あからさまに子供っぽいのは勘弁だ。


まぁ、前世よりもどこか中世に似たこの世界は、くまの大きなプリントとかないし、比較的シンプルで可愛いものが多いが。




「………どうしよ。」




とひあえず一、二着持っていけばいいんだろうか。静かに他のお客さんの間を縫って服を物色する。



他の小さな子も、勿論居るのでなるべく騒がず目立たず。いかにある程度防音して貰ったとはいえ、間近であの甲高い声を上げられると耳と頭が死ぬ。結構本気で。


身長にあった服を適当に取っては、デザインを見て戻す。ギラギラと目に痛い色は苦手だし、逆に真っ白とかでもなんだか締まりがない。好きではあるけど、なんだか白いワンピースといえば夏、というイメージがあって中々着なくなりそうな予感がした。



それを繰り返すこと大体十着目。



軍服の様なベストとセットアップの白いワンピースを見付けた。裾に波形に一本入ってるのがまた可愛い。

そしてその隣。首もとから肩に掛けては黒のフリルで編まれ、チャイナトップスに白の短いボトムス。ふんわりと膨らんでいて、普段からブーツを履いてるし、小さい方だから丈も丁度いいくらいだろう。



この二つは群を抜いて可愛い。前世もこんな服が着たかったが……似合う似合わないがあるから、止めておいた。

でも今は幼いから、何だって許されるはず。


あとは値段を見て……と、値札を確認しようとしたら、ヌッと伸びてきた手に両方取られた。



「ふむ、この二点だけでいいのか?」



「神父様。……まだ値札を見てないです。」



「戯け。子供が金の心配なぞするでないわ。お前さんが毎日贅沢をしたとしても、死ぬまで面倒見きれるくらいの貯蓄もツテもある。」




貯金がある方だとは思っていたけど……まさかそれほどとは。贅沢したがりじゃないけど、そう言われると何だかもう少し甘えたくなる……うーん、稼げるようになったらいっぱい神父様にプレゼント上げよう。




「じゃあ……あれ、あれもほしい。寝間着にする。」




「…………お前さんも相当可愛いもの好きだったんだな。」




普段着が並ぶスペースから少し離れた場所。子供用の寝間着が並ぶ中にあからさまに不自然なものが一着。それは。



ジンベイザメの着ぐるみ。



………いや、しょうがない。可愛いもん、あの着ぐるみ。この世界でもジンベイザメって名前なのかは知らないけど。垂れた尻尾の部分の内側には、獣人用だろう穴も空いてるし……正直他の服はいらないから、あれだけでもいい。




「別に構わんが……ぬいぐるみをセットで買うとお得らしいがいるか?」




「いる、出来ればピンクのもほしい。」




キリッと表情を引き締めて見上げると、大きな手がぐしゃぐしゃと何度も撫でてきた。




「中々物を強請らん子だと思ったが……ああいうのが好みなのか?」



「可愛いものは何でも好き。ぬいぐるみはぎゅーってしてたいし、何かに抱き付いてないと安眠できない。」




「毛布を抱いて寝る癖はそれのせいか……買うのは構わんが、ぬいぐるみは自分で持てるな?」



「いいけど……一個しか、持てない。」



「………買ったら、一度馬車に置きにいくぞ。」




持つのが嫌なのだろうか?…そう思ったが、いい年齢の神父様が、ぬいぐるみを持ち歩いてるなんて…変な噂になっても嫌だろう。


あまり目立たないように紙袋に一つずつ入れて、ピンクのを自分で抱える……神父様は脇に抱えてるけど、頭から袋に突っ込んだせいで尻尾が垂れ下がってる。



それが何だか面白くてクスクスと笑みを洩らせば、ちょっとだけ神父様の口角も上がった。



一人でも置きにくらい行けるのに、一緒に行ってくれるなんて優しいなぁ。大人になったらいったい何を恩返しにできるだろうか。





ぬいぐるみも着ぐるみもいい文明。サメの着ぐるみは可愛いから全人類が一度は見るべき。

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