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取り戻した日常

「へえ じゃあアーニャはラウリア以外から来たんだね」

「はい 通常貴族の家系から奴隷が生まれることはないはずだったのですが、どういうわけか私は奴隷として生まれてきてしまったのです」

「なるほど、外聞が悪くなる前に奴隷商に売り渡されてきたってことか… んっ? でも自分の職業は他人には見れないよな?」

「いえ、そうとは限りません 【鑑定士】という職業の人ならば他人の職業や物品が本物かどうかまで知ることができます ちなみに【商人】は物品の価値が分かります 先日の奴隷商人は私を商品として見ていたので私が貴族の出であることを見抜いていました」

アーニャから色々聞いているうちにギルドにたどり着いた。

先日の受付嬢モリスさんに話しかける。

「ユートさん! いったいなにをしていたんですか!薬草の納品に失敗するなんて前代未聞ですよ」

「すみません…」

「まあ 無事だっただけよかったですけど」

モリスさんとの会話の途中近くのテーブルから笑い声が上がった。

「おい 聞いたか?薬草の納品に失敗だってよ」

「ハハハ この仕事向いてねぇよな」

「使えねぇやつはさっさと辞めちまえよ」

さんざんな言われようだが、実際にその通りなので言い返せずにいると

「アンタたちにユートの何がわかるのよ!!」

隣にいたアーニャがテーブルの男三人組の挑発に乗ってしまった。

「ハッハッハ 女の子に守ってもらって情けねえな」

「かわいい顔してんじゃん俺達とパーティ組もうぜ」

そう言いつつアーニャの手首を掴んだ男の一人が宙に舞った。と同時に残りの二人が一斉に襲いかかる…が、二人共アーニャに殴り飛ばされ気を失った。

「二度と関わってこないでよね」

たぶん彼らには聞こえていないだろうが、満足げにアーニャが帰ってきた。そして、この世界で職業がいかに重要かを再確認した。

「えーと モリスさんもう一度 薬草採取のクエスト受けてもいいですか?今回は彼女も一緒なので」

「まっまあ 彼女がいるなら大丈夫でしょう それでは行ってらっしゃい」

「「行ってきます」」

今度こそクエストクリアしないとカワセミ亭のツケを払うことができなくなってしまうので、なんとしてでも日銭を稼ぎたいところだが…

「ユートッ 薬草見つけた!」

「いや 何回目だよ それは薬草じゃないだろ」

「えー もうこれでいいじゃん」

「よくないわッッ」

思わず突っ込んでしまったが、アーニャは戦闘面ではピカイチだが、どうやら物を覚えるのは苦手なようだ。

そうこうしているうちに四本集まり前回の六本と合わせてノルマを達成できた。すぐにギルドに戻りモリスさんに手渡す。

「ずいぶんと早いですね」

「前回六本集めておいたので簡単にノルマまでいきました」

「こちら報酬となります」

カワセミ亭のツケを払っても余りある金額を貰い、少し困惑する。

「少し…多くないですか?」

「そんなことないですよ 薬草採取はプライドの高い冒険者はやりたがらないですし、一般人をモンスターのいる森に送り込むこともできないので需要に対して供給が追いついていないんですよ」

「そうだったんですか」

アーニャが話しに割って入る。

「ユートッ 遊びに行こうよ!」

「いやっ お金が勿体ないでしょ」

「いいじゃないですかユートさん 今後のためにも町は見ておいた方がいいですよ」

「やったー!」

アーニャは飛び跳ねて喜んでいる。まあ、奴隷生活から解放されたアーニャにとっても、ここに来て数日の自分にとっても町を見学することはいいことだろう。

「そうと決まればさっそく行こう アーニャ!!」

「行こう! ユートッ」

「ふふっ 行ってらっしゃい」

僕はアーニャと共に晴々とした気分でギルドを後にした。

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