出会いと覚醒
見れば見るほどいい町だ。しかし…
「キャッ!!」
「さっさと働け!このノロマ!」
可哀想にまだ幼い少女まで奴隷として生まれたばかりに強制労働させられている。
「おい」
「ああん?」
「あんまりいじめないでやれよ」
「うるせえ!たまぁにいるんだよな こういう正義漢ぶってるやつ だったらお前が代わりにやってくれるんだよな?」
この世界に蔓延る闇を転生早々見せつけられた。結局僕は何も言い返せずトボトボとそこから離れた。
「ねぇ」
いきなり声をかけられた。
「なんですか?」
「今夜の宿は決まってる?」
なるほど宿の勧誘か。だが、生憎この世界に来たばかりの自分は無一文であり、今夜は野宿の予定だった。
「今は持ち合わせがないんだ」
「ツケでいいよ」
即答かよ。仕方ないお言葉に甘えるとするか。
「じゃあ よろしくお願いするよ」
「任せて!!」
その後、彼女から生まれつきの職業は決まっているが【冒険者】には奴隷や貴族といった特別な職業以外の人なら誰でもなれるということを聞き、日銭を稼ぐ為にもさっそく明日にでも登録しにいくことを決心し床についた。
翌日、冒険者ギルドにて登録を済ませた僕はひとつのクエストを受注した。
[薬草10本の納品]
新人は必ず通る道だと受付嬢が言っていた。
さっそく町から出て薬草を探しに行く。
「ウワアアアア!!」
なんとか6本採取し終えた頃、少し遠くで悲鳴が上がった。すぐに駆けつけると先日の奴隷商人がゴブリン七匹に襲われていた。
「来るな 来るなァァァ」
すると彼は醜い顔を笑みで歪ませたかと思うと怪物の群れの前になにかを投げた。それは少女だった。
「キャッ!!」
「命令だ 私が逃げ切るまで相手をしておけ」
それだけ言うと馬車で走り去って行った。
「いや やめて」
命令により彼女は動けずにいた。そして、気がつけば僕はいつの間にか彼女を守るように抱きしめていた。
「なあ 命令は無視できないのか?」
「出来ません 早く逃げてください!!」
「それは出来ない」
「なんで」
「前回は君を助けられなかったからさ」
彼女は泣きながらつぶやいた
「強さがあれば あなたを助けて 自由に生きられたのに 悔しい…悔しい…悔しい!」
次の瞬間彼女の体が輝き出すと同時に脳内に声が響いた。
「職業適性100% アーニャ-ヘイストンの職業を
【奴隷】から【拳闘士】に変更します。」