帰ろう
「ツキーーーーー!!!」
大声で部下の名前を呼ぶ
すると向こうの方からカサッと音が鳴った
その方向に耳を傾けたがそれ以上音がすることがなかった
だが私にはわかる
きっとあれはツキだ
こういう時の私の勘はよく当たる
大好きな“今の”仲間を、家族を間違えるはずはない
私は音のした木の下に行ってわざと独り言のように呟いた
ツキに聞いてもらいたいから
「…ツキ、なんでいなくなっちゃったの?私のこと心配して?私は大丈夫だから…だから、戻ってきてよ、誰もツキを責めてなんかないよ…私は死ぬのなんて怖くない…むしろツキやみんながいなくなる方がずっと怖いよ…」
だが掠る音一つしない
「ここら辺にいるんでしょ…?ねぇ出てきてよ…」
それだけ言うと一瞬で目の前の景色が葉っぱと枝だらけのところへと変わった
えっ⁉︎と戸惑ってると耳元で狼…と囁かれた
下を見る限り狼の姿はどこにもないが100m先のところにいるのを見つけた
あんな遠くなのに…と思った
でもきっとツキにとっては不安で不安仕方なかったんだよね
背中の方からお腹の方に手が回されて後ろから抱きつかれる
ふわふわの毛が私の頬にあたってこそばゆい
小さく震えてて寒いんだというのが伝わってくる
「ツキ…?」
「………ごめん」
やっと聞けた部下の声はどこか少し震えてて、ズズッと鼻をすする音が聞こえてきて泣いてるんだなとわかった
「…ツキ帰ろう」
「……」
ただ無言で首を左右に譲り背中に頭をグリグリと押し付けてくる
「……私の生きてる意味って何…?死ぬって何なん?」
「…」
「怖かった…普段泣かないゴットが泣いて、普段元気なこくおーが全く動かんくて…こうなったんは…私のッ…私のせいやから…私が、いると…きっとみんなが不幸になる…」
「…」
「大好きな人が死ぬのは…辛い…怖い…胸がギュって…めっちゃ苦しくなって…見たくないんよ…」
私は後ろに寄っ掛かり下からツキの顔を覗き込んでほっぺを両手でムニッと挟み撃ちにする
「泣くな!ツキらしくない!」
「…‼︎」
「ツキの思ってることはすごいわかる。痛いほどわかる。でもここで泣いてちゃこれから先どうやって生きてくの?生きる意味がわからないのならこれから一緒に探していこうよ!死ぬっていうのは死ぬってことなんだよ。いつかは消えてなくやっちゃうものなんだよ。」
「…」
「答えをみんなで探そう?辛いのなら、怖いのなら、私達にぶつけてこい!仲間ってなんのためにいるの?」
「…」
「ねぇ、ツキ、帰ろう」
ツキの目から溢れる水を手で拭ってほっぺをぷにっと引っ張ってニカっと笑えばようやく見たかった笑顔が返ってくる
生きる意味なんてこれからゆっくり探していけばいいよ
ツキがいて誰かが不幸になるなんてそんなことない
ほら、今はすごい笑顔じゃん。今までにないくらい
ツキにはそれが似合うんだからもう出て行くなんて、不幸にするなんて言わないで
二十二時に間に合わなかった…(・ω・`)
そして慌てたせいで何言ってるか分からん…(・ω・`)




