外交先
国王視点
責任者をアオに任せて佳奈姉と二人で外交に行く
途中で休憩をしながら目的地へ向かう
魔力の消費量がいつもより多いが大した程ではない、ただちょっといつもより多いなってだけ
「佳奈姉…大丈夫かな?」
「アオたちのこと?」
「うん、だってアオ初めてだし、不安って言ってたし」
「それでも選んだのはシオンじゃないの?」
「そうなんだけどやっぱ心配なんだよ」
そう言えば、大丈夫だよ。と一言だけ言って頭を撫でてくれる
優しくあったかくて本当のお姉ちゃんみたいだ
そうこうしているうちに目的地に到着した
事前に言われたパスワードで硬く閉じられた鉄製の扉がギシギシと重たい音を立ててゆっくりと開いた
早速中に入れば部屋の奥の席へ堂々と座る敵の王
「やぁ、遅かったじゃないか」
「たったの一分、どうってことないわ」
「はっはっは!そうかそうか、まぁいい。席へ座りたまえ」
随分と上から目線な王だ
そうやって弱者を潰してきたんだろうな。邪魔な物は切り捨てて、今あるべき物だけを、欲しいものを求めてる。ただそれだけで生きてきたんだろうね
「それで?何故私を呼び出したんです?」
私も堂々と座り左足に右足をかけ肘をつく。やってみたかったからやっただけだ。特に意味はない
「おたくの幹部さん。私の国に喧嘩売ってきたもんだから、まぁどういう教育をしているのかと思ってね」
「どういう教育?それは貴方も同じじゃなくて?スパイを派遣し、無理に目立つ侵入の仕方を幹部にやらせ捕まったと知った挙げ句、助けにもこない。そんな人が私の部下を侮辱しないでいただきたい」
「君は実に面白い。仲間を切り捨てて何が悪い。いや仲間か?私の部下だ、部下の使い方を見せてやっただけだ。宣戦布告というのはこういうことだ、とね?」
「貴方は部下をなんだと思ってるんですか?物ですか?それともただ自分に都合のいい道具ですか?」
「自分のためになる使い方をして何が悪い。それに元々あいつは幹部としてクビだ。そんな使い道のなくなったモノに自分という存在の意味、使い道を教えてあげて何が悪い」
流石の私も我慢の限界だった
自分のためになる使い方?それは効率のいい道具としてみている証拠
同じ人としてではなくただの道具とでしか思っていない証拠
部下の使い方?ぶざけんな、みんなお前のことを慕ってここまでやってきたんじゃないのか?
切り捨てる?何が切り捨てるだ、お前は何もわかっちゃいない
「貴方は何もわかっていない。何のために部下がいて何のために人が生きるのか。裕福な生活をして頭が狂ったのですか?昔の貴方はそんなではなかったのに」
「何が言いたい」
「貴方に王として国民を守る義務はない。平気で仲間を裏切り切り捨てるお前に、ただの都合のいい道具としか見てないお前に、王と名乗る資格はない!」
「はぁ、貴方って人は、話し合いでこの戦争を無かったことにしてあげようと思ったのに…」
無かったことにしてあげようと思った?
こいつは何も反省したいない。こいつだけは許さない。
私が席を立ち一発殴ろうとした時後ろに立っていた佳奈姉が手を上げた。と同時に敵の王の頰、首、腕、脚、横腹、に一瞬で切り傷をつけた。かすった程度で急所を避けてはいたが肌からは赤黒い血が垂れている
そのまま刺してしまえばよかったのに…
「王様、私達トラゲールは仲間を大切に扱ってきました。貴方とは真逆です。ですので少々話の噛み合わないところがあるでしょう、しかし、彼らも生き物です。そして貴方も。同じ生き物として見れない貴方に、自分のことだけを考え生にしがみついてきた貴方に仲間を持つ資格はありません。これだけ言ってもまだわからないのなら私達は貴方を殺します」
「…っは!バカな!私を殺したところで何になる!私の道具を私がどう扱うだろうがお前らには関係ない!…いいのか?このままでいれば必ず戦争になるぞ‼︎」
床に尻餅をつき、額からは汗が流れ血とともに床に落ち服に染みを作っている
「私達は構いません。戦争への準備は既にできています。それに勝ち目は既についてるんではないでしょうか?」
私達はそれだけ言い残し帰った
帰ったら三人にどう報告しようか?戦争が始まるというこの素晴らしいことを
またまた戦争が始まりますね!次はどんな戦争が始まるのかな…!
楽しみですね!




