part2 どうやら殺されても物語は続くらしかった....!
一日ぶりですね!
──口に血の味がする。
そう思ったと同時に俺は起き上がる。
起き上がるということはそれまで気を失っていたということも感じた。場所は部屋。しかしそれは自分の部屋ではない。
問題は一つ。いや、二つと言って良いだろう。
一つは体に感じる物凄い疲労感。高熱の時に目が覚めた時の感じと言った所だろうか。
目の前に俺がいる。いや、正確には俺に似た人と言った方がいいのかもしれないが。
何といっても顔が俺と似すぎているのに古臭い感じがする。そしてシャツ一枚にダボダボのズボンというのは確実に俺ではないと断言出来た。
「ほう、死んでるな」
「....」
起き上がったもののどうやらよ俺の体は声も出せない程弱っているようだった──
─ゴスッ!!
鈍い音と共に俺の腹に正拳突きが刺さる。
「お前はもう死んでいる。」
「さっきと言い方変わっただけじゃねえか...死んだらどうするんだよ...」
「だからすでに死んでいると言ってるじゃろうが...」
「....は?」
「さっきまでお主が何をしていたか思い出してみい」
...確か散歩の帰りに...ブスっと訳もわからず...
「思い出したか。さて、警察に被害届でも出しに行くか?......まあ、その傷じゃあペンキを塗ったと思われるかもしれんがな」
.......ん?傷....?あれ、跡すらねぇぞ....しかも痛くねぇ。
脇腹を抑えて確認したものの付くのは自分の血のみだった。
すると目の前の俺(実際には違うと思うが...)が笑い出す。
「久しぶりに見たがやはり死ねないというのは大変じゃな」
ん?.....死ねない?
「なんでそんな顔をしているんだ?まさか自分が不死身の体とはわかってないのか?」
不死身?
「あれ、俺って一回死んだんじゃねえの?」
ここは死後の世界で異世界に転生させてくれるとかそういうのんじゃないのん?
「確かに死んだが実際には生きてるじゃろうが....判らないのならもう一度言うが、不死身なんじゃよ」
なるほど、判らん。
「ほう....まだ判らんというのか。ならばもう一度死にたいという訳じゃな....?」
そう言うと拳を構える素振りをする。
「おーけーおーけー。不死身だと理解したから!」
ただまあ、これが異世界転生のフラグだったらなぁ....とか?新しいストーリーの幕開けとか?
そういうのを期待してたとかという訳も無くは無い訳で。
ついでに言っちゃうと不死身とかいう妙なステータスを知ったと言う位で。
「どうしたんだ?そんな顔して。死ねないのがそんなに嬉しいのか?」
どうやら俺は飽くまで日常生活を過ごすしかないようだ。
.......いや待て、いきなり殺されて日常生活を名乗る阿呆がどこにいるんだ!
主人公「ところでお前誰?」
主人公似のジジイ「え、いまさら?」