part10 暗闇での遭遇
今回は短いです。
「うわっ?!」
目の前に現れた人型のモノに驚きながら、2、3歩後ろに下がる。これもうSANチェックしてもいいよね……発狂する自信あるけど!
人型のそれをもう一度見る。
見ると、人に似た化け物とかではなく、普通の人間であるということがわかった。
見た目は女の人。恐らく俺よりいくつか年上だろうと判断できる。巫女服を着ており、舟八口神社の人だろうと容易に想像できた。
それらを確認したところで、ようやく俺の気持ちが収まってきた。
この間いくらか時間があったが、女の人はピクりとも動いていない。とりあえず話かけてみるべきだろうか。
と、そう思ったときには女の人の口が開いていた。
「あなた達は一体ここに何をしに来たの?」
スマホのライトが、女の人の不気味な笑みを照らした。
「……この近くの神社に用があって来たんだが……」
少し間が開いたあとそう答えた。
「そう。神社ねぇ。なんとなくそうだろうとは思ってたけど」
そしてまた少しの間が開く。
どうしようこの空間。とても居づらい。なんというか謎のオーラがこの女の人からミシミシと伝わって来る!
「あなたは神社の人ですか?」
俺が謎のオーラをミシミシと受け取っていると、芽夕が女の人にそう聞いた。というか、今まで芽夕という存在を忘れていた。存在感がなくて。
「えぇ。まあそうなるわ」
「じゃ、じゃあ神社の場所とかは……?」
俺のターンなので今度は俺がそう聞いた。
「あら、こんな時間になっても神社に行きたいの?」
そして、間を開けずこう言った。
「呪いでしょ」
「……な?!」
思わぬ言葉に言葉をこぼした。
「しかも、あなた達は呪いをかける方じゃなくて解く方でしょ」
なぜそこまでわかるのか、と言うのを俺だけじゃなく恐らく芽夕も思っただろう。
すると女の人はそれを見透かしたかのように答える。
「私はここの化身だからね」
……化身?身に纏ったりしてキック力が上がったりするあれの事だろうか。
「それがなんの事か分からないけど、要は神と思っててくれてればいいわ」
今判った事二つ。この女の人は神である。そして心を読んでくる。
ここで訳が分からなくなってきたので芽夕に聞いてみる。
「なあ芽夕。何の事かわかるか?」
「いえ、全く理解できないわ。……ただ、この人は確実に私の心を読んでいるわね」
「ああ……確かにな。あれ、でもお前、たまに俺の心読んでたりしないか?」
「あれは単にあなたの感情が表情に出やすいだけよ」
そうだったのか……俺は結構顔に出やすいタイプだったのか……ババ抜きで敢えて違う反応とかしても負けるのは結局顔に出てるからなのかもしれねえ。
「さて、確か呪いを解きたいんだっけ?」
恐らく芽夕の心を読んだのだろう。そのまま女の人が話を続ける。
「私がソレについて教えてあげるわ」
また更新しますで見捨てないで!