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雑思考帖 9月?日

今もこの世の中のどこかにあるだろうと予想する物語


テーマとストーリーは癒着するのか


そろそろ人物とか舞台に思考を移してもいいんじゃなかろうか


言葉で全部説明出来る話ならそもそも小説を書く必要はないんじゃないか

いや、全部説明されたとしてもどうしても説明出来ないところに小説の本体があるんじゃないか


そして全部説明されたとしても読み手が、そのあとでその作品を読んで登場人物を「本物」だと感じる体験を台無しにするということがない、というのがいいんじゃないか


言葉で話せる事は簡単でいいんじゃないか


シャーリア王国からとある秘密が隠された財宝が盗まれた(人に話せる)

隠された秘密とは?(話せるけど話しちゃ駄目)

誰が盗んだのか?(話せるけど話しちゃ駄目)

その財宝を取り戻すため、とある元貴族の盗賊と落ちぶれ騎士が手を組む(めっちゃめちゃ話せる)


うーんこういうことですかね


つうかこれで話書けよといま思ったんですが


話せる部分はありふれてていい

話せない部分は思考を巡らせてねって感じ


後はこの作品は現実にとって何を意味するのかって事ですかね


まあ僕は高尚なムエッスェーズィ(嫌味)を騙るつもりぁござんせんのでね

そんな偉い人間でもありません

へへっ


自分の意見をツラツラ言うより、自分が持ってる視点だけをパッと表現するような文章を書くことですかね

完全に教本みたいだなこれ


書くことを考えたらこうならざるを得ないんだろうか


でもまあいいか


ラブロマンスを描きたいと申す

でもラブロマンスは小説の表面上に過ぎないのではという気もしている

だから、小説の根底に属するラブロマンスってどんなだろうね

根底のラブロマンス


思考は答えを導き出すことではないのだ

理想の恋人に捧げられるものを思い浮かべるのに等しいのだ


ストーリーを着想して、それが結構固まってきても全く面白くないと思ったらチャンネルを切り換える


チャンネルという事でこんなTV番組、チャンネル群を妄想していく


1:息子夫婦に虐げられてきた老夫婦が孫を誘拐し、元いたマフィア組織をその孫がノリで再興する海外ドラマ


これは割と面白い

マフィアの女幹部が実は老夫婦の本当の娘で、娘はそれを知らず、老夫婦だけがそれを知っていて、それが組織に戻った理由だったというのが。


しかもそのラインと孫が成り上がるラインがパラレルにならないように結びつけるライバルの幹部がちゃんと存在している。

スリリングな展開、しかしこのドラマが強く描いているのは、家族の間でも私欲がその関係を引き裂いているという事実だ。


2:TV通販番組。

出し抜けに明るいBGMと番組タイトルが流れたあと、薄暗いスタジオが写し出される。

『ハンプティ轟木』とテロップが表示された売り手の男性が深刻ぶった顔を作ったかと思うと、口を一旦大きく開けてから喋りだす。

やけに脂の染みた顔である。


「えぁあ、売るものがっ…ごじゃいませ!本日へっ、この番組は、終了でぇい…」

耳の中に石が入ってきた。

その滑舌とは裏腹にゆっくりと丁寧に深々と頭が下がる。

このギャップがウケてると言えばいいのだろうか。その試みは販促に繋がるのだろうか。

どちらにしろ最終回なのだが。そもそも売るものがないらしいのだが。


テレビに目を戻すとまだダンプティ轟木は頭を下げていた。そのやや不気味で静かな映像の中で、ショパンがBGMとして流れていることに気づいた。


すると照明がつき、スタジオの後ろから誰かの声がした。

別れの曲を打ち砕く甲高さ。

この異様な雰囲気を打ち払うつもりが一切無さそうなのは確かだ。これは荷担する側の奴だ。

カメラが切り替わるとハンプティ轟木よりも背の高いやせ形の男がセットの陰から現れるのが見えた。


肘を直角に曲げたまま腕を上下に降り、キビキビとした動きが轟木の不気味さとは対照的だ。

不気味なことには変わりはないが。


轟木はカメラが外れている時にとっくに頭を上げており、男の方を見てわざとらしく驚いている。台本なのだろう。


スタジオの真ん中に設えてあるキッチンセットを迂回しながら正面にいるスタスタ轟木に近づいてくる。


そのタイミングで"ピョロリン"としか言い様のないサウンドエフェクトと同時に

『ダンプティ住良木』のテロップが現れる。

すめらぎと読むのだろう。


大体15秒くらいかけてこの一連の流れだ。


「とどちゃん!だぁめ!ちゃんと売るものあるんだから!」

子供をなだめるようにおどけた口調で轟木に住良木が語りかける。


その時轟木のまんまるに開いた目が少しカミソリのように一瞬鋭くなった。

「あああ!そうでぇしたね!ごめんねダンちゃん!」


とどちゃんと呼ばれてるのなら普通すめちゃんで返すだろう。

統一されてない違和感がある。


呼ばれ方でキャラクターが決まる部分があるというのに最終回までこうだったのか。


違和感を黙視しながら見守っていると二人一言二言交わしたあと、


「今日の商品は、こちら!」という掛け声と共に商品紹介の映像が流れる。

やっぱ売るものはあるよな、じゃああの最終回だとか売るものがないだとかいうのは何だったんだろうか。


紹介されていた商品は、まあなんというか普通だった。

電子を越えた電磁波辞書、投げても戻ってこないブーメラン、人間に反乱を起こしたドローンを撃墜する超高性能投槍器、嫌な客に用意する不味いお茶、嫌な客に座らせるための何かゴリゴリしたものが入ってる座布団

そういったものがない素晴らしい品揃えだった。

(なんかこれ以上面白くなる気がしないので一気に飛ばしますね)


それでもなんだかんだ面白い番組構成だった。

『スクワットマットくん』(スクワット時に足を開く位置が書いてあるマット、6,980円)はどう考えてもボッタクリだけど。

最初はその何の意図があるかわからない二人の振舞いを訝しい気持ちで見ていたのが、

自分達の商品に愛情と熱意を持っていることが伝わってきたのでその雰囲気も表現のひとつだと受け入れることができた。僕はハンプティ轟木とダンプティ住良木という、商品よりも自分達を売りたくてしかたがない人たちを忘れることは無いだろう。


商品が売れるのは、売る側の姿勢を買う側が信頼と理解をしたときだ。

その為にはこうしたTV番組を通したコミュニケーションの形でまず、自分達の姿勢を理解してもらう。

あの二人のわざとらしい演技もそのための計算なのだろう。

実はあの二人はああ見えてなかなかの人物かもしれない。


物を買う時に何故か感じる一抹の寂しさを中和しなければ消費社会に生きることは出来ない。

この番組と彼等はそれを教えてくれたのだ。

人に夢のこもった商品を作る。売る。

当たり前のように聞こえることが一番難しい、けどあきらめない姿勢。


この番組を見ることができてよかった。


しかし、取り上げた商品のダイジェストが流れ、8番目の『他人のお母さんが握った感じにならないおにぎり握り器』に差し掛かったところで僕は気づいた。

この番組今日は普通に商品を売っていたんだから最終回のはずはないと思うんだけど。

番組欄には(終)と書いてあるよな、どうしてだ?

多分改編かリニューアルかのどちらかだろうなと思っていると、番組は終わりに差し掛かった。


「それではみなさん、また来週!」

また?やはり続くのか…どういうことだ?


その疑問に答えが出る時が来た。


カメラがゆっくりと引いていく。

ハンプティ轟木とダンプティ住良木の二人が視聴者に向かい手を振って騒々しく別れを演出している。最終回ではなくいつもの終わり方のようにしか見えない。


ハンプティ轟木だけが振っていた両手をスッと降ろした。

顔は笑顔が失せていた。

ダンプティ住良木はそれを見て少し手の動きが鈍くなった。


轟木の滑舌の悪さと頭の回転の鈍さに、1回の視聴で愛嬌を感じていた僕は彼の別な強烈な何かを感じてしまう。


そしてそれは起こった。

轟木が上半身を思いっきり捻るように住良木の方、左側に振り返る、のではなかった。

それは、上半身に携えてられていた右腕、その先にある拳が住良木の顔面に突き刺さるまでの一連の動き、その予備動作だった。


突然の打撃を受けた住良木は膝を崩し、倒れ、そのままキッチンセットの陰になり、画面から姿を消した。


その光景を隠すようにすぐさまハンプティ轟木とダンプティ住良木を模したキャラクターのイラストが画面いっぱいに張り付いた。


まるで自分達の裏で何が行われたか全て知っているかのようだ。そして「今の何もなかったよね」とそのイラストは聞こえないように見ている僕に語りかけた。


これが終わりの真相だった。

おそらく最初からハンプティ轟木はこうするつもりだったのだ。









勢いと思い付きのまま書いてはみたけどこれはいったいなんなのかは解らない



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