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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第三章・トラジオンのカリギュラ
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上げて落ちてやや戻る

パスガノのとある商社にて、ゲンゾーはわなわなと震えていた。


「味噌と醤油も有るとな!?」

「おう。なかなか買う奴ぁいねぇがな」


遥か東国に産まれたと言うその老人は紺色の眉毛を吊り上げ、禿頭を撫でながら口の端を吊り上げた。

咥えた煙管からぷかぷか煙を上げる老人を前にゲンゾーは感極まった様に天を仰ぐ。


「神棚のよ……儂は信じておったぞ!」

「なんだかえれぇ喜び様だなオイ」


店主は呆れるやら若干嬉しいかのように笑い、ゲンゾーはきりりと目を引き締める。


「米、味噌、醤油、これらを一月分頂こう。金なら親切なジプシークイーン様から頂いておるでな」


ネフティスから貰った小遣いを取り出し、一月分買ってからはたと気付いて耳打ちをする。


「……吟醸酒は有るかね?」

「高ぇぞ?」

「2年キープして貰おう」


その頃には大手を振って酒が呑める様になるとほくそ笑み、軽い足取りで店を出た。

片手に米俵を担ぎ、もう片手に醤油のボトルと味噌の吊るし玉一つ。

そんなスタイルで幌馬車に戻るとエレンがまず迎えた。


「買えた?」

「勿論だの」

「随分長い事かかったわね」

「儂の予定なら2日早く帰っておったの」

(ふふん、勝手について来たは御主らだからのー。この際文句は聞かぬぞー)


上機嫌に荷物を降ろし、パスガノ観光ツアー最終日を迎えた面々はトラジオンに向けて出立を始めた。

いそいそと買った荷物を確認し、結構軽くなった財布にやや表情をしかめる。


(矢張り希少とあってかなり軽くなったの。いやはや、しかして衛士としての給料はここ以外使う必要有るまいて)


と、そんなゲンゾーの心を読み取ったのか、セレが少し迷ってから告げる。


「あのっ……ゲンゾー様?」

「うむん?」

「多分……その……ゲンゾー様に支払われる給金は無いと……」

「…………ほわい?」


頭打ちされたからか自分でもよく分からない言葉が出た。

と、聞いていたのか、御者のエーリカが言いにくそうに応える。


「あー、あのさ、兄さんとこのそこのおチビが、な……」

「?」


と、ぴぃぴぃと鳴く声に気付き、膝元に立つ竜胆を見た。


「そいつの食費で飛ぶのさ」

「……こやつめ、大食いだったのかね?」


どうやらこの聖獣に問題が有るらしい、そう思ったゲンゾーは竜胆を抱き上げる。


「良し。ならば儂が節約飯を作ってやろう。何、事料理にはそれなり以上の自負が有るでな。して、竜胆は何を食すのかね?矢張り鳥らしく虫等かね?」

「ヒエラコスフィンクスの主食は宝石だよ」

「さらば竜胆……野生に帰る時が来たのだ……」

「おい!」


応えるのに考える間は無かった。

取り敢えずエーリカは突っ込み、ゲンゾーは竜胆を更に抱き寄せて見詰める。


「と言うかなんだそれは!?宝石を食らうとな!?どこぞの石油王か御主は!金箔入りの茶しか飲まぬとでも言うのか!?」


しかし見詰め返す竜胆は言葉が分からないからか、ただ遊んで貰っていると思ってか首を傾げ、丸い瞳をゲンゾーに向ける。


(嗚呼、なんと愛い奴か……!)


矢張り手放せないとゲンゾーは悟るも問題は残る。

フードシックを我慢するか否か、最早既に選択の余地は無い、そう諦めた時だった。


「じゃあよ、闘技場にでも行って稼ごうぜ」


そんなエリルの言葉に食い付いたのは言うまでもない。

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