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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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竜胆と隕鉄

「兄さまぁ!」

「ふぐぉあ!?」


隠し部屋の檻を開くなりチコが飛び付き、ゲンゾーは激痛に身をよじった。


「ゲンゾー様!?」

「もうダメだ……米食いたかったの……墓前に供えておくれ……」

「き、気を確かに!」

「まっことそうだな……矢張り己の舌で米を…………チコや?」


ぶるぶる震えるチコは、僅かに嗚咽を漏らしている。

よほど怖かったのだろう。

軽く検分して何事も無いと悟り、頭を撫でてやる。


「もう心配要らぬ。泣き止んでおくれ」

「……はい」


小さくすんすん鼻を鳴らすチコ。

その胸元にある小さな存在にゲンゾーは僅かに表情を締めた。


「……その瓜坊」

「…………はい」


金色に輝く金属の猪、件のグリンブルステインの子だ。

ぷっぷっと鼻を鳴らしてゲンゾーを見つめ、ゲンゾーは苦虫を潰した様な表情で見つめ返す。


(先の巨獣の卵にこの小さな瓜坊……そうか、儂はこの瓜坊の親を……)


この倉庫で何が起きていたかある程度把握し、同時に僅かに響いた地響きにゲンゾーはケウデスの残した卵を取り出す。


「……まだ少し休めぬな」

「……はい」


セレも応え、チコは小さく首を傾げる。

三人はそのまま倉庫から出ると、


「!」


満身創痍の、されど憮然と立つ隻眼のヒエラコスフィンクスがいた。

その傍らにはグレタ、エーリカ、ソペクネフェルにエーラだ。

静かに卵を差し出すゲンゾーだが、ヒエラコスフィンクスはゆっくりと瞳を閉じる。

何かと思う間も無く、エーラがゲンゾーの手に触れた。


「黒檀さま、聖獣様がお話ししたいと」


瞬間、低く響く荘厳な声が聞こえた。


『我が子を救ってくれた事、ひとまず礼を言おう。我はフー、ミグール谷の長だ』

「……儂はゲンゾーと申します、フー殿。御子をお返ししたく存じます」


と、卵を差し出すがフーと名乗ったヒエラコスフィンクスは首を下げる。


『無用だ。我は人を数多殺めた。今更貴様等人間の厚意は受け取れぬ』

「なれど貴方の御子を攫った所業は確かに御座いますれば」

『だが貴様の所業ではあるまい』


頑として受け付けないフー。

彼はこう言っている、人の情けを受ける事は今更矜持が許さないと。

あくまで敵としてあったという立場を崩さず、だがそれでも許すべき所を許し、そして許さない事は例え自分の事だろうと許さない。

武人然として在り、されど親としての在り方を一切見せずフーは続ける。


『貴様はそう言えば……我の目を穿った者だな……』

「……高名な御方とは知らず、無礼を致しました。どうかお許しを」

『違う。感心しておるのだ。勇者の称号を贈るに相応しいとな』


そしてフーはくるりと身を翻した。


『我が目を奪った褒美だ。我が子を好きに使うが良い。我も人の匂いの染み付いた一族など要らぬ』

「………」


それは如何なる矜持か、そのまま決して振り返らず、空を駆けていった。

最後まで、何故猛り狂っていたかの理由を隠したままに。


「!」


瞬間、卵に亀裂が生じ、中から鳥の頭をした翼の有る子猫が出た。

ぴぃぴぃと小さく鳴き、ゲンゾーを見上げるヒエラコスフィンクスの雛。


「……黒檀さまをお父さんって呼んでます」

「……鳥の頭だけに、儂にインプリンティングか。父親なら先ほどまでおったのに、寝坊助め」


エーラの言葉に自嘲気味に笑い、喉をくすぐってやるゲンゾー。

その無垢な瞳を見つめ返し、やがてチコも側に寄る。


「兄さま、この子と共に名付け親になってくれませんか?」

「………」


奇縁だ、そう心中呟く。

共にこの幻獣達の親を害した存在が自分だと言うのに。

しかしと覚悟を決めた様に先ず雛を撫でる。


「随分と遅くに出たが、それを功に繋げよ。名を贈ろう、遅咲きの花、『竜胆』と」


そして瓜坊に触れる。


「其方の親は雄々しく駆けた。儂の拳も通さぬその力、儂に放つかは其方に委ねよう。名を贈ろう、駆ける鋼、『隕鉄』と」


二人の幻獣に名を贈る。

その名をどう思うか、それはゲンゾーには分からなかった。



ステータス更新


NAME・竜胆

レベル・1

クラス・ヒエラコスフィンクス

筋力・H(EX〜H)

耐久・H

敏捷・G

魔力・G

対魔力・H

属性・不明

保有スキル

無し

固有スキル

聖獣・A


NAME・隕鉄

レベル・1

クラス・グリンブルステイン

筋力・G(EX〜H)

耐久・G

敏捷・H

魔力・H

対魔力・H

属性・不明

保有スキル

無し

固有スキル

聖獣・A


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