無拍子
爆ぜる様に飛び出したのは両者だ。
ゲンゾーは瞬歩を、ケウデスは後ろ足を蹴飛ばして五歩程の間合いを詰める。
夫婦手に突き出された二対の拳は、
『喝!』
「!」
ゲンゾーの属性魔導を受け、防御と共に氷の腕が霧散する。
(だが……次はどうする!?)
お互いに詰めあった間合い。
されどやや遠く当てるには一歩踏み出さねばならない。
つまり必ず初動が現れる距離だ。
(やつと私の見切りは同格そこらかだろう。加えて奴のダメージ……私の勝ちに揺るがぬ!)
更に言えば負の要素はまだある。
「っ!」
魔力の枯渇だ。
全身の痛みの他に、耐え難い倦怠感が襲う。
最早立つどころか、このまま倒れ伏してしまいそうな程のどうにもならない感覚だ。
「っ……ふ……!」
僅かな律動に息を漏らし、
(魔力が足りぬだ、肋がやられただのと……!)
奥歯を噛み締める。
(言い訳しとる場合で無かろうが!)
ゆらりと闘志を燃やし、その凄まじい気当たりにケウデスは一瞬怯むが、同時に笑う。
(やれやれ……運命の巡り合わせとは……拳士としての最後に、これほどの相手を用意してくれたとは!)
迫る拳、されど初動が無い。
(これは虚!なれば本命は……)
拳以外に動きは無い。
筋肉の微細な動きさえ見切るその目にも何も捉えない。
(本命は……!)
どうしても一撃放つ時、人は力を溜める。
でなければ触るのみに終わるからだ。
例外は無い。
(だと言うのに……!)
その刹那の技撃の中、ケウデスは驚嘆する。
(この一打……全くモーションが無い!?)
虚と見切り、溜める動作の無かったその掌打は抉る様に人体中央、剣状突起に突き刺さり、
『喝ッ!』
属性魔導が身体を突き抜け、ケウデスは身体の中がぐちゃぐちゃに潰れるのを感じながら、
(やれやれ……まだまだ……世界は……広い……な)
血を吐きながらも、笑みをも零して伏した。
ステータス更新
NAME・ゲンゾー
レベル・4
クラス・不明
筋力・C(EX〜H)
耐久・C
敏捷・B
魔力・G
対魔力・G
属性・無
保有スキル
陣地作成・F
拳法・C
見切り→明鏡止水・H
属性魔導・F
固有スキル
異界の魂・A
不屈の精神→瀕死状態時、全ステータスブースト
精霊の祝福・A




