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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
86/923

確かな思い

(…………)


記憶の根幹、意識の底。

そこに彼女はいた。

ケウデスと同じ瞳の儚げな女性。

彼女は穏やかにセレを見つめ返し、静かに言う。


「私を祓いますか?」

(……はい)


やや息を飲んでから応える。

彼女の悔いを知っても、それでもセレはそう応えた。


「そう……貴方も、なのね」

(?)

「ケリィに不幸を呼ぶ……私と同じ……ケリィのためには存在自体してはならないモノ」

(!)


ごうと、怨嗟の念が彼女の身を纏う。

涼やかな表情で、冷徹にセレを睨む存在。


「私と一緒ニ消えテちョウだイ」


ぞわりと触れるその怨念は最期の時を濃縮した感情か、言葉にならない不快感を覚えた。


(怖い!)

「私モ怖かッタ」

(苦しい!)

「私の方ガ苦シカッた」

(助けて!)

「ワタシハナンドモソウネガッタ」


凄まじい怨念と、それを消す事への躊躇いによって生まれた隙を、まるで汚泥が流れ込んで行く感覚が身を縛る。

もう何も感じない様に心を閉ざそうとした時、


(!)


掌が、僅かに輝いた。

何かと手を開けばそれは、


(ゲンゾー様の作ったキッシュ?)


それは彼が来てから毎日口にした彼の料理だ。

触れた物に自分の魔力を少し重ねるその特性か、微細ながらも確かに悪意を跳ね除けている。


「『今この場』は、儂が生きる時間であるし、其方が生きる時間だ」

(!)


鮮烈に思い出す。

彼の言った言葉が福音の様に闇を照らす。

自分の生きる時間だからこそ、自分の幸福を願って生きる、彼はそう言った。

皆を守るのも、自分の幸せのためであると。


(人の幸せを、自分の幸せに重ねられるって……)


だから人以上の活躍はしないし、だからこそ人らしく人を守る、彼はそう言った。


(私にしか出来ない事……)


身体を蝕む怨念の泥を受けながら、意を決した表情で女性と向き合う。


(貴方を祓いはしません。でも貴方の悔いを祓います)

「?????」

(貴方は……誰よりも自分が憎いのですね?)

「……………そうね」


泥の勢いが弱まる。


(弟さんが……貴方を憎んでいるとも)

「……私がケリィの未来を、全て壊してしまったもの」


無表情だった瞳に悔いの色が見える。


(…………もし、直接お話し出来るなら、したいですか?)

「………」


そんなセレの言葉に動じず、やがてーーーー

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