魔導具
突然現れた二人にソペクネフェルは更に驚嘆を重ねた。
『むぅ!?エーリカ殿にフォークビアード家の……!』
「ソペクネフェル殿、話は後です!まずはこの聖獣を!」
と、エーリカは魔力の残滓を使って再び魔力を巡らす。
「出来立てほやほやだよ!『56番!』」
瞬間、光が掌を覆い、それは長大な光に変わって弾け、奇妙な道具に変わった。
まるで巨大な鉄骨の両先端に巨人の拳が付いた様な、奇妙な魔導具だった。
そしてそれをグレタに寄越し、グレタがソペクネフェルを越してヒエラコスフィンクスに片方の先端を向ける。
「失礼、聖獣殿!」
そして魔力を込めた瞬間、先端の拳が開き、ヒエラコスフィンクスを捉える。
「まだ有るぞ!」
そして反対側の先端が伸び、地にその指を突き刺して一体化した。
『むぅ!?』
その反動でソペクネフェルらは空に放り出され、ヒエラコスフィンクスはそのまま縮む魔導具によって地に引き寄せられていった。
素早く人型に戻ったソペクネフェルは空に放り出された三人を抱き抱えて二度三度と建物を蹴って柔く着地する。
「ありがとうございます、ソペクネフェル殿」
「……いやはや肝を冷やしましたぞ」
深い溜息を吐くソペクネフェルは、拘束用の魔導具に捉えられたヒエラコスフィンクスを見遣る。
「漸くジットーの毒が回ったか……」
がくがくと律動し、されど凄味の効いた瞳を向けるヒエラコスフィンクス。
その憤怒に染まった瞳は、
『………ここまでか』
そんな諦めの篭った言葉と共に、静かな物に変わった。
その穏やかな口調に一同は目を見張り、しかしエーラが意を決して近寄る。
『あの様な外道を看過し、あまつさえ貴様等の様な小娘どもに不覚を取るとはな……我も堕ちたものよ』
「………」
『小娘、情けという恥で我が死を汚すかね?』
「いいえ、真相を以って貴方の名誉と御子をお救いさせていただきとう存じます」
『………?』
訝しむヒエラコスフィンクスを前に、エーラは胸元から小さな欠片を見せ、同時にヒエラコスフィンクスは目を見張る。
『それはノーラ王の……!では其方は……!』
僅かに間を置いて瞳を閉じ、やがて開く。
『伺おう。ノーラ王の親類からの言葉ならば、その価値は十二分にある』




