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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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傭兵たち

一方のケウデスは倉庫街の薄暗い路地の中、獣人族の男と向き合っていた。

潜入中なのか、商人の様な出で立ちで、しかしその瞳は冷徹な色に満ちている。


「つまり団長はクライアントを更に上に移したと?」

「そうなるな」


何かの話を聞いたケウデスはそう話し、獣人族の男は応える。


「そもそもヴィラレスク委員会は今回俺たちの流儀に反してちょっかい出し過ぎたしな。あのしょぼくれた傭兵団のカス一匹掴ませた上に当初の依頼に後から後からと、くだらねえ注文付けたろ?」

「……ま、可能なら看過してやろうと思ったが、団長の耳に入ったら仕方あるまい。それで私の今後は?」

「適当に付き合ってさっさと帰って来いだと。新しいクライアントはマジに俺たちにすげぇ依頼したらしいしな」

「私のような下っ端も総動員とはな」


ケウデスはやれやれと首を振り、男は不敵に笑む。


「お前はそう言うし、幹部連中のタスクどももそう言うがよ、俺や団長はそう思っちゃいねぇんだぜ。何せあのビューロー流の免許皆伝だ」

「よしてくれ、昔の話だ」


ケウデスはしかめた表情で男から目を逸らし、男は首を竦める。


「ま、とにかく適当に切り上げてさっさと帰って来いよ。依頼の量も質もこれからがっつり増えるからよ」

「心得た」


そう応えると男は音も無く消え、残されたケウデスは自身の掌を見る。


(ビューロー流免許皆伝、か)


拳士としての自信はそれなりに有った。

しかしだからこそ、ゲンゾーとの闘いが今すぐ去らねばならないケウデスの後髪を引く。


(あの黒檀の拳士……ヤツは何処の流派か、そして如何程に修行したのか)


そして何より、


(この私より強いのか?)


思った疑問を飲み干し、感じた気配に溜息を吐く。


「何処をほっつき歩いていた」

「……チッ、うるせぇな」


そう舌打ち混じりにガロンが現れ、ケウデスは睨む。


「人質の檻に入って何ぞしていたな、何をした?」

「あの予言者を引っ張り出す仕込みだよ。お前が役に立たねえから直接やったのさ」

「……当初の依頼はあくまでこの都市の予言者を失脚させるよう街中での破壊工作だったろう?」

「うるせぇ!ヴィラレスク委員会はあの予言者を消すよう言ってんだ!黙って従ってろ!」

「やれやれ」


そう溜息を吐いてケウデスは路地の小石を拾い上げる。


「もう忍耐の限界だから言わせてもらうが、酷く足手まといだ。だからそいつの処理だけは確実にしておけ」

「は?」


言うが否や手甲に付いた宝玉が輝き、握った小石が凍る。

そしてそれをガロンの来た方角の屋根に投げると破裂し、屋根を砕いた。


「どわ!?」


そして落ちて来たのはエリルだ。

エリルの姿を見るなりガロンは表情をしかめ、そして歯を噛む。


「てめぇ、つけてやがったのか!?」

「……あー、あー、参ったなぁ」


対するエリルは砂埃を払って立ち上がり、冷や汗を垂らす。


(やべぇ。あの奥の拳士は下手すりゃゲンゾー位やべぇな)


追跡術にはそれなりに自負は有った。

しかしケウデスはそれを一瞥で看破し、そして背骨を突き抜ける様な圧倒的威圧感を与えている。

それはエリルを本能レベルで恐怖させるのには十分だった。


「昨晩もジプシーの戦士達の追跡を許していたろう?」

「は?何だそりゃ?」

「……やれやれ。そもそも気付いてすらいなかったのか」


ケウデスはそう言ってエリルとガロンに背を向ける。


「拠点を移す。後で迎えに来てやるからそいつを始末しておけ」

「はぁ?おい待てよ!」


それ以降は聞かずケウデスは消え、残されたガロンはがしがし頭をかく。


「ふざけやがって……ふざけやがってあのクソ野朗!てめぇの方が足手まといだろうが!何でてめぇが指図すんだよ!俺とやりあえば俺が勝つに決まってるのにあのクソ野朗俺を!」


息を切らせ、凄みを効かせた笑みをエリルに向ける。


「……とりあえずお前は殺す。運悪く機嫌の悪い俺に見つかったんだから諦めろよ」

「……別にお前に見つかった訳じゃねぇんだがな、ま、良いや」


すっとエリルは徒手に構え、逸る気持ちを抑える。


(ゲンゾー、俺たちですらここまで辿り着いたんだ。お前ならもうチコの居所まで来てるんだろ?任せるぜ)


信じてガロンを倒す、そう決めて長剣を抜き放つガロンに猛然と向かって行った。

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