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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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枷の力

従属の枷と呼ばれたその首輪を眺める一同。

その正体を知るのはエーリカだけらしく、嫌な物を見たと表情をしかめるエーリカは話す。


『皆、牧畜に使う従属の枷は知ってるね?主人の魔力を通す事で行動を制限出来る代物だって』


それは元来魔力の少ない家畜を魔力で縛る物だった。

人間たちは当然、聖獣のように魔力を持つ者ならばその魔力を跳ね除けてしまう。

自身の身体をさえ未だ満足に魔力で満たせない人間に他人を縛る程の魔力は注げないからだ。


『だが現状、これ以外にグリンブルステインが我々を襲った理由が思い付かん』


グレタは率直に応え、エリルがふむと唸る。


『元来の性能を超えて拘束力が高まってるってぇと……つまり魔力量がとんでもない野郎が作ってるって事か?いや、だがそれだと……』


エリルが解答らしき言葉を自ら遮り、一同が首を傾げる中エーリカが頷く。


『なんだかんだ、あんたは察しが良いね、エリル。エレン』

『?』

『この前、あたしらを襲ったあのマジックサモナーは何をしようとした?』

『私にこれと似た……っ!』


その言葉に皆はっとする。


『そう、魔法使いを超える魔力量の持ち主なんざそうそう居ないはずだね?』


ザグラスはあの時確かに従属の枷らしき物をエレンにかけようとした。

しかしそれが元来の性能ならばまず意味はない。

それでもザグラスが確信を持ったようにあれをはめさせようとした事はつまり、


『敵方に魔法使いクラスが普通に居るってか、こいつがもっと別の国の力で作られたか、或いはもっとヤバいのが居るかってね』


それ即ち、戦略兵器を持ったテロリスト国家のような物だ。


『でも!そんな事は今私達に関係……』

『有るよ、あたしらじゃ手の出しようが無いって事じゃないか』


エーラの願いもエーリカはさっと返し、エリルが続ける。


『そう意地悪すんなよエーリカの姉さん。エーラよぅ、こりゃあサクッと犯人は見つけれるって話さ』

『へ?』


分からないと言った風のエーラにエレンが何かに気付いたか、ああと声を漏らした。


『そっか、それだけ強力な魔力なら寧ろ身分を証明してる様なもんだし』

『おまけにそう言うのは目立つ組織に居そうだしな、割とすんなり見つかるってか』


アリーヤが続けて指を鳴らし、エーリカが息を吐く。


『要するに、この首輪を調べりゃ確実に犯人、上手く行きゃその上にさえ辿り着くって訳。だからエーラ、それ早く持って帰って来てちょうだい』

『は、はい!』


さっと手に取ると握りしめ、エーリカは一人静かに思う。


(これで裏は取れた。パスガノにはタリオスの使徒と繋がりの有る例のヴィラレスク委員会とやらの人間が関わってる。後はあのマジックサモナーの残した首輪の解析さえ完了すれば……)


と、ここで更に疑問を感じる。


(こんなの連中も気付いて当然なのに……どうして奪回にやって来ない?)


そう、この首輪をケウデスは見向きもしなかった。

まるで使い物の消耗品と言わんばかりの扱いに、更に深く考えて一つの結論に辿り着くが、


(………いや、それは流石に邪推に過ぎるね)


かぶりを振って考えを消し、当面の問題に向かう。


『ともあれ急いで、けれど気を付けて帰って来るんだよ、エリル、エーラ。アリーヤ、報酬は弾むからちゃんと届けてくれるかい』

『良いぜ。こういう活躍は嫌いじゃないしな』


そうして帰路に着く三人。

宿屋側の面々はその様子を見守りながら、そしてエレンはアノーラに言う。


「魔力は私が寄越すから、魔力交信の範囲を広げて」

「はーい」


アノーラの言葉にエレンはアノーラの背に触れて魔力を流し込む。

明日にこそ全てを解決しようと気構え、精霊殿の全員は行動を開始した。

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