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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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共感覚

空中を音の速さで飛ぶグリンブルステイン。

その言葉を聞いたエーラは驚嘆していた。

余りに襲撃とは遠いその穏やかな口調が更に言葉を重ねる。


『我が一族の森が破壊され、私達親子が捕まってしまい、あなた達を襲うよう仕向けられたのです。どうか許して下さい』

「……聖獣様の一族は?」

『……皆、あの白き鎧の光の魔人によって……』


滅ぼされたのだろう。

グリンブルステインの言葉は微かに震えており、そこには悔しさと悲しみが溢れている。


『本意ではなかったとはいえ、あなた達を襲った罪とここに住む命を奪った罪は私の命で贖います。ですからどうか、我が子だけは……』


一身に我が子を思うその悲痛な願いに、エーラはきゅっと掌を握る。


「……分かりました。ノーラの森が第二皇女エレオノーラの名に賭けて、貴方の願いを聞き届けます!」

『……ありがとう』


そう応えた瞬間、


「っ!?」

「どわっ!」


グリンブルステインが失速し、街はずれにて遂に落ちた。

三人は空中に投げ出され、しかし素早く体勢を直したアリーヤが背中の翼を広げて二人を掴んで柔らかく着地する。


「ひっ……ひふぅぅぅぅ。地面最高」

「だらしねーなお前」


大の字で地面にしがみ付くエリルと情け無いと言わんばかりに頭を振るアリーヤ。

そしてエーラはグリンブルステインに駆け寄る。


「聖獣様!」


その口から真っ黒い血を吐き出し、緩やかに瞼を閉じるグリンブルステイン。


『ごめんなさい。あなた達を我が子の居場所までと駆けましたが、もう叶わぬようです』


そして体の端から粒状の光に変わって行く。


『ああ、彼もまた我が子を返せと叫んでおりました。どうかあの戦士の子も。あの子もまた私のように』


譫言の様にその言葉を紡ぎ、


『あ なた かえ って き 』


やがて、首輪の様な物と大きな輝石を残して消えた。

完全に死んでしまったグリンブルステインの残滓を掌に握り、怪訝そうな二人に振り返って瞳を閉じるエーラ。


『アノーラ、聞こえる!?』

『エーラ!無事だったんだね!』


それは共感覚による交信だ。

交信の向こうでアノーラが誰かと話し、やがてリリアの声が三人の頭の中に響く。


『意識捉えましたよぅ!今助けに行きますよぅ!』

『いいえリリアさん、私達はもう大丈夫です!それよりお話したい事が有ります!皆アノーラに触れて下さい!』


そしてエーラはエリルとアリーヤの手を握った。


『アノーラ、共感覚行くよ』

『うーん、一応一族の掟が有るから本当はダメなんだけど……うん、後でお説教だからね』

『ありがとう、お姉ちゃん』


申し訳無さそうにエーラは返す。

それと同時に、


「!?」


皆の意識が一つに共有された。

否、一つに共有されたのではない。

全員の意識を全員が全て意識し、かつそれを難なく思考処理出来ている。

まるで全容が分かる視界を一つの議場で俯瞰している様な感覚だ。


『こいつぁ……!って俺の声が響く!?』

『あー、リリアの念話みたいですよぅ』

『みたいじゃなくてズバリそのものだね。で……』


と、エーリカが状況を見て話す。


『ノーラの森の共感覚の秘技は軽々に使わない物じゃ無かったのかい、エーラ?』

『違うよ、アノーラが良いって言ったんだよ』


応えたのはアノーラだ。

エーラのやりたい事をスムーズに伝えさせる為かそう応え、エーラは申し訳無く思いながらも話す。


『いきなり皆さんに感覚を繋いでごめんなさい。でも状況説明と知恵をお借りしたくて』

『……聞かせて』


エレンの言葉に俯瞰していた視界がグリンブルステインの残した首輪に寄り、エーリカが息を飲む。


『従属の枷……!あんな巨獣を縛る物なんて作られていたって言うのか!?』

『……やっぱりこれが原因だったんですね』


技師のエーリカはその首輪の正体を一目で見破り、そして皆が状況を幾らか飲み込む。


『あの聖獣様に託された事が有ります。それは恐らく、チコさんやセレさんを連れ去ったあの戦士達の居場所に繋がる手掛かりにもなります』


だから、全員のスキルをフルに活用し、また素早い意見交換も可能なこの共感覚を選んだのだ。

こうして検分が始まり、徐々にケウデスらの居場所に繋がる手掛かりを探って行くのだった。

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