小さな二人
倉庫街の暗闇の中、チコは小さく震える。
実際に見る実戦の恐怖が未だ身体を縛っており、憤怒の形相でがなり散らすガロンと冷静に瞳を閉じるケウデス、この二人にではなくただ一つの予感が彼女を恐怖に縛っていた。
(兄さま……!)
自分が誘拐されてどうなったろう、ゲンゾーは不利になったろうか。
最初はそんな思いも有ったが今はただ一つの嫌な予想が彼女を縛る。
(兄さまに……もう会えなくなっちゃうの……?)
恐怖の余り呼吸が浅く、されど回数のみ増える。
過呼吸に加え、全身に悪寒が走る。
(やだ……やだ……!兄さま……!兄さまに会いたい!)
ぎゅっと瞳を閉じると、
『おかあさん?』
唐突に、頭に声が響いた。
何かと檻の中の暗闇に目を凝らすと、小さなうりぼうが居た。
ぷっぷっと小さく鼻を鳴らし、チコの指を嗅ぐ。
『おかあさんのにおい』
見ればその身体は金色に光っており、触ると金属のそれの様に硬く、されどしなやかだ。
『おかあさん?』
「……私は」
逡巡する理由は分かっている。
恐らくはあの宿屋を襲った巨獣の子供だろうからだ。
その命がもう潰えてしまったとも分かっている。
そっとうりぼうを抱き上げ、きゅっと抱き締める。
「……ごめんなさい。ちょっと怖くて怖くて仕方がないので……」
『?』
冷たくとも、微かに命の熱を感じる小さなグリンブルステインは、その腕の中でその身を預ける。
『こわいの?』
「……」
『だいじょうぶ?』
「……」
『ぼくもこわいの』
「……」
『おかあさん、いなくなっちゃうの、こわいの』
「……」
何も応えず、ただその命を抱き締める。
縋る様にその命の熱を、ただ一身に感じたいかの様に。
頭に響いたこの声がこのうりぼうの物か、はたまた自身の恐慌の余り起こった幻聴か。
それは分からないが、今この命を放すと心が恐怖に縛られてしまう気がして、ただ一身にうりぼうを抱き締め続けるのだった。
ステータス更新
NAME・チコ
レベル・1
クラス・不明
筋力・H(EX〜H)
耐久・H
敏捷・H
魔力・C
対魔力・D
属性・光
保有スキル
属性魔導・E
結界魔導・D
異種対話・C
固有スキル
盲信・A




