拳士と拳士
『黒檀さまぁ!』
「!」
唐突に響いた念話にゲンゾーは微睡みながらあった意識を引き起こし、破壊された宿屋の壁を見た。
瞬間、二つの影が飛び出し、街の屋根伝いに消えて行く。
「状況!」
『ふぇ?』
「何が起こったか端的に説明せい!」
『あっ!えっと、あのあの、あっ、グレタさんが勝って負けてチコちゃんとセレちゃんが連れてかれました!』
「チコ……!」
すぐさま身を起こしてパルクールの様に建物を駆け上り屋根伝いに二つの影を追う。
「皆は待っとれ!儂が追う!」
『はっ、はいぃ!』
二つの影は人間一人抱えているせいか幾らか遅い。
が、魔力の少なさとグリンブルステインとの戦闘が祟ったか、足元が覚束ない。
(いかん……勝てるか!?)
せめて拠点だけでもと追うが、何やら口論が聞こえる。
「それ見た事か。来たぞ」
「うるせぇ!じゃあお前が止めとけケウデス!」
「……やれやれ」
そして内一人が此方に駆けてきた。
その男は口布を掛けた徒手の男であり、ぐったりしたセレを抱えている。
「貴様が捨て石か……」
「いや、相棒は頼りないのでな、私がやるだけさ。そして私の名前を聞いた以上」
と、男はセレを投げ渡し、
「!?」
「貴様は殺す」
両手が塞がった瞬間、延髄を狙った蹴りが迫った。
防ぐ手は無く、ただ体勢をやや反らして肩を上げ、首への一撃を肩で受け止めた。
「!」
ケウデスと呼ばれたその男は防がれるとは思っていなかったのか、やや意外そうに目を見張り、ゲンゾーはそのまま距離を取ってセレを下ろす。
(あの延髄蹴り……予備動作が見えなかった。この小僧、かなり使う!)
ステータス更新
NAME・ケウデス
レベル・58
クラス・拳士
筋力・C(EX〜H)
耐久・E
敏捷・C
魔力・E
対魔力・F
属性・氷
保有スキル
ビューロー流拳闘技・A
見切り・C
固有スキル
牙の加護・C




