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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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戦士の晩酌

階下に降りればエリルとチコが食事しているのが見えた。

と、チコはゲンゾーに気付き、表情を明るくした。


「兄さま!調子がお戻りになったのですね!」

「うむ、心配かけたの。エレン嬢に礼を言わねばな。エリルはどうか?」

「俺は飯食えば大抵治るのさ」


と、二人の隣に座り同じ物を注文して食堂内を見渡す。

安かろう悪かろうの精神でそこそこ値を張る宿屋を取ったのが幸いし、食堂内は賑やかなれど粗雑な人間は見当たらない。

しかし想像していたよりも更に大人しくさえ感じる。


「とても夜の酒場とは思えんの」

「パスガノはジプシーと商人の街だからな。傭兵みたいなゴロツキは少ないのさ」

「しかしその割には隊商襲撃のせいか門の警備は厳重でしたね」

「……ふむ」


と、出された果実水を一口あおってゲンゾーは一息吐く。


「……ともあれ、儂のせいで一夜ここで過ごす羽目にはなったが予定は変わらぬ、明日朝一に儂は市場に向かって目的を果たし、そのまま皆でトラジオンに戻ろうぞ」

「俺はこっちのが飯もうめぇしジプシーの娘らも可愛いから長くいてぇな」

「ではここに定住を」

「厳しいねぇ」


益体も無く話していると後ろに気配を感じ、ゲンゾーは振り返る。


「うむん?」

「よっ。偶然だな」


振り返れば若いドラコニー、アリーヤがおり、ゲンゾーの隣に座る。


「確かに偶然よの。主もここに?」

「ああ。さっき傭兵斡旋所から戻ってな、すぐそこのだよ」


と、後方の外に見える建物を後ろ指に示す。


「で、護衛の報酬は貰えたがアタシ達ミシェット・ガロンはアタシ以外全滅。ミシェット団長は体中を魔光でやられてガロン副長は跡形も無くぶっ飛んじまった。報酬全部アタシの手に残って終わりさ」


出されたエールを自嘲気味に笑いながら飲み、ゲンゾーはふむと唸る。


「して、多少値を張るここの宿で舌を潤すとな」

「無駄遣いも偶には良いもんだな」


いたずらっぽく笑い、ゲンゾーは果実水を飲む。

ヤケ酒の様な物だからこそ誰かと飲みたい。

そう思って唯一の知り合いであるゲンゾーの元に来たのだろう。

出された食事をつまみ、アリーヤは空元気に笑う。


(どこの世界であろうと、残された戦士はやりきれぬ思いのみ抱えるよの)


一人見知らぬ地で残される事はよくあった。

だからこそゲンゾーはアリーヤの今抱いている喪失感が分かり、同時に悲しい。

例え他人事だろうとそこは素直に悲しく思う。


「どれ、儂はまだ酒は飲めぬがお主の気が済むまで付き合うぞ。ここの飯はうまいのでな」

「ほう、ありがてぇな。つか酒飲めねぇのか?」

「ん、まぁ諸事情でな。あと二年程我慢するのだ」

「何だそりゃ」


下らなくも一人で酔わせない、そう決めてゲンゾーは追加の料理を頼んだ。

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