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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
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爺×爺

アノーラの残したキッシュを一口に頬張り、呑気に食事を摂るリリアを見遣る。


「しかし御主はのんびり食うの。悪いとは思わぬが」

「黒檀さまのお料理が美味しいからですよぅ。リリアは幸せを噛み締めているんですよぅ」

「作った者としては冥利につきる言葉よな」

「そうかのう?ワシはもう少し濃い味付けが好きじゃがな」

「言われてみれば薄口ですよぅ」

「ふむ、そうかね。では次からは少し濃い目にするかね」

「いや、元から薄ければ後で調味料を足せば良いだけの話よ。むしろその方が皆が納得するわい」

「それです!その案がみんなを幸せにしますよぅ!」

「ではその方針でだな……ところで」


と、ゲンゾーはキッシュを切るナイフを構え、


「御老人、貴方は誰かね?」


見知らぬガッツ族の老人の鼻の穴に突っ込んだ。

このまま差し込めば脳幹に至り即死、という状態で止め、穏やかに、そして剣呑な雰囲気で老人を見るゲンゾー。


「さ、最近の若者は物騒じゃのう」

「何を言うかね。勝手気儘に精霊殿に立ち入り、食事まで振る舞って尚弁明の余地を与えておるのだ。聖者かと見間違うたのやも知れぬぞ」

「はっはっは、言われてみればそうじゃな。今言い訳するからナイフを納めてくれ。ワシ怖い」

「口は動かせよう?儂は恐ろしくない。つまり儂は構わぬと言う訳だ、御老人」

「何と優しい若者か……」


青ざめる老人に漸く気が付いたのか、リリアがけぷと息を漏らすと同時に言う。


「あっ、いつもの不審者さんですよぅ」

「ほう、御老人、不審者らしいが如何に?」

「はっはっは、ワシは世を偲ぶ隠者じゃからのう!じゃから耳にまで串を突っ込むのは止して欲しいんじゃがな!」


たすっと串が耳に入り、冷や汗ダラダラな老人は、助けが辺りに無いか探る。

周囲に居るのは一人曲芸に火が付いたエリルとゲンゾーの敵かと老人を睨むチコ、そして能天気に食後の余韻に浸るリリアと目が笑ってない笑顔のゲンゾー。


(し、しもうた!こんな時に限って事情通なギャルがおらんのじゃ!)


エーリカかグレタか、はたまたエレティーナかと楽観していた老人はその何れもが居ないと察し、その頭を必死に巡らせる。


「あーあ、全くグレタの奴……大人しく寝てな……って……」


と、ここでエーリカが食堂に入って来て老人を見遣って凍り付き、そして老人は素早くアイコンタクトを取る。


(エーリカ、助けてくれ!しかしワシの名は伏せるんじゃ!)

(ひ、筆頭文官殿!?いやしかしこの状況は……!)

(は、早く頼む!あっ、あっ、あっ!ダメ!ワシそんな奥突かれたらイく!イっちゃうぅぅぅ!)


脳みそ十字砲火一歩手前の中、エーリカがゲンゾーに言う。


「あー、そのお爺さんは大丈夫だよ。いつもここらを彷徨く困ったお爺さんってだけだからさ」

「ふむ、エーリカ殿がそう言うなら」


素早くナイフと串を引き抜くと老人、エイトリはテーブルに突っ伏す。


「んあっ……いきなり抜いたりするなんて、そんなの……ワシぃ///」

「……本当に大丈夫なのかね?」

「………うん」


そう応えるしかないという感じのエーリカの言葉に、怪訝な表情のゲンゾーだった。

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