朝食の準備と子守
冷や水によって心身共に落ち着いたゲンゾーは朝食の準備をする。
この精霊殿には上下水道が完備されており、エーリカが試験的にその技術をここに導入しているとはリリアの言。
(しかしてこの厨房を使う者は居らず、近くの賄いにて食を取っておったとはな)
余りに使われた形跡の無かったその厨房にゲンゾーはがっくりし、しかしどこか納得してはいた。
何せ魔法使いのエレティーナを初めとし、この精霊殿にはそういう曰く付きの者達が生活している。
身の回りの家事など、むしろしてはならない立場の人間達だ。
「ここでもゲンゾーは有能さを発揮ってな」
「無駄口か。あと3分追加だ」
「口は災いの元…」
厨房カウンター向こう、食堂の片隅にてエリルは親指で逆立ちしながら動き回り、天を突く足先にはチコが腰掛け、書物を読んでいる。
「分かっているならば喋らなければ宜しいのに」
「賢者は語るべき事が有るから語る、だっけな、ゲンゾー。お喋りは悪いこったねぇぜチコ」
「同様に愚者は語らずにいられないから語る、とも言うのですよ」
そんなやり取りを傍目にゲンゾーは軽い朝食を十人分作り上げ、皿を出そうとした時に何かの気配を感じた。
「どーんっ!」
そんな間延びした声と共に小さく柔らかい気配がゲンゾーの背中にぶつかり、ゲンゾーは振り返る事無くその頭を撫でる。
「これこれ、危ないでなアノーラ。すぐ出来るでな、良い子にしとれよ」
「ねーねーゲンゾーおじさん!今日は何かな!」
「キッシュだ。昨日の余りを纏めてみたでな。そして儂はおじさんではない、おじいさんだ」
「あははっ!ゲンゾーはおじいちゃんって感じはしないよー!」
アノーラと呼ばれた童女、アルバノーラの瞳は白目の部分が無い深い黒であり、額には玉虫の様な触角が生え、背中には蜻蛉のような薄羽が有る。
所謂妖精族と呼ばれる種族だ。
そんな活発な気性を表すかの様な桃色の髪と対照的に、しかして似た風体の紺碧色の髪の童女が慌てた様子でアルバノーラに言う。
「朝ごはんの準備邪魔しちゃダメ!ごめんなさい黒檀さま!アノーラ、お皿落としちゃうかも知れないから降りなさい!」
「かたじけない。しかし構わんよ、エーラ。アノーラぐらいならば小鳥がとまった様な物よ」
「だってさ」
「だってさじゃない!黒檀さまも甘やかしちゃダメです!」
エーラと呼ばれたアルバノーラの双子の妹、エレオノーラ。
姉と違ってしっかり者の彼女はアルバノーラを剥がそうとやり繰りするが、
(そしていつも通り儂にかぶさる二人、とな)
結果的に二人の童女が背中にひっつくのだった。
ステータス更新
NAME・アルバノーラ
レベル・31
クラス・神官
筋力・H(EX〜H)
耐久・H
敏捷・D
魔力・A
対魔力・H
属性・力
保有スキル
共感覚・EX
魔力交信・A
俯瞰の目・B
干渉魔導・A
固有スキル
妖精族・A
精霊の加護・A
NAME・エレオノーラ
レベル・31
クラス・神官
筋力・H(EX〜H)
耐久・H
敏捷・D
魔力・A
対魔力・H
属性・氷
保有スキル
共感覚・EX
異種会話・A
異種交信・A
属性魔導・A
固有スキル
妖精族・A
精霊の加護・A




