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ガーディアン  作者: フライング豚肉
第二章・ジプシーの意味は放浪者
34/923

*相性の問題です

「………何だこれ」


エーリカが精霊殿に戻るなり見たのは中庭の二人だ。

一人は調子が上がって来たと言わんばかりにとんとん足踏みするゲンゾー。

そしてもう一人は肩で息をしながらなんとか木剣を構えるグレタだった。

ゲンゾーは楽しげにステップを踏み、


「そら、まだまだ行くぞ?」

「っ!?」


くっと身体を細かく動かすとグレタはすっ転ぶ。

傍目からはいきなり勝手にグレタがすっ転んでいるようにしか見えないが、ゲンゾーは楽しげに思う。


(この年で儂の気当たりが見切れるか。女だてらに見上げた者よ)


気当たりの幻影で身体を誘導し、グレタを一人でに転がしているのだ。

なまじゲンゾーの気当たりを見切れるばかりにグレタはその度体勢を崩し、愚直に反応してすっ転ぶ。

そして、


「ぜー…ぜー…ひゅう…ぜっ…まっ…だっ…まっ…ゲフォ!」


生来の負けん気がそれをドツボに落としていた。


(女がしちゃいけねー顔してるよ、グレタ)


まだ朝も早い為に静かに入って来たエーリカはやれやれと首を振り、二人に寄る。


「お二人さーん、もうそろそろ朝飯だよ。さぁさ食堂…行く前に水浴びしてきな」

「うむ?エーリカ殿、もうそんな時分かね」


と、トドメとばかりに巨大な気当たりをぶつけ、


「はふぅ…」


集中力の切れたグレタはペタリとその場に伏した。

それを見届けてゲンゾーは呵々と笑う。


「修行が足りんの、小娘。しかして悪く思うな、老人は若者をからかうのが役目でな」

(老人って、あんたあたしより若いじゃん)


エーリカの冷やかな突っ込みも気にせず良い汗かいたと満足気に去るゲンゾー。

そして思わぬ激戦を終えたグレタは呻く、


「グレター?朝飯は食えるかい?」

「やっ…奴から逃げだ…したっ…!わたっ……しの勝ちっ……だな…!」

「はいはいあんたの勝ちだよ、もう寝てな」


朝食は無理だなと判断したエーリカはぐったりしたグレタを脇から支えて歩く。


(王道剣術のグレタと変幻自在な坊やの拳法、ま、やる前から分かる勝敗だったね)

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