タリオスの使徒
精霊殿を見渡せる外壁、その上月明かりを背に二つの影が。
一つは魔の拳士デビオス、一つはその小さな体躯と不釣り合いな戦斧を肩にかけた中性的な少年だった。
少年の方は感嘆にほうと息を漏らす。
「やるねぇあのお兄さん。ザグラスはヴィラレスク委員会でもそれなりな奴だったんだけどね。ま、とりたてて凄いって奴でも無かったけど」
ゴロンと物々しい音を鳴らす戦斧を構える少年、しかしデビオスは興味が無くなった様に背を向け、少年は拍子抜けと言わんばかりに目を見開く。
「あれ?見逃すの?父さん、あそこの娘ら邪魔になるから全員殺せって言ってたよ?」
少年の言葉に全く応えないデビオスに少年は詰まらなさそうに戦斧を肩に担ぎ直す。
「ま、父さんもいつ殺せとは指定してないから良いけどさ、ちゃんと仕事しなよ、六年前みたいにさ」
デビオスと共にその場から去る少年。
僅かに振り返ったデビオスはかつて唯一逃した自分の獲物を眺め、暫くしてまた歩き出す。
二人の歩く場所は死体が満ちており、僅かに呻いた生き残りに間髪入れず少年が戦斧を振り下ろす。
「あちゃー、ボクの分だったよね、こいつ。父さんには内緒だよ」
少年はぐちゃりぐちゃりと兵士を潰し、返り血すら付いていない顔を愉快そうに歪める。
「さて、『おもちゃ』も沢山手に入ったから帰ろっか」
そして指を鳴らすと死体が全て消え、少年は戦斧に縋る様な体勢を作り、月を見る。
「いつか我等が神王タリオスの祝福が世界に降り注ぎますよう」




