スキル進化
迫るゲンゾーの足元が揺らぐ。
揺らいだ瞬間、地を蹴り、街路の壁に掴まり地面を見る。
見れば煉瓦敷きの下より巨大な蜘蛛が現れていた。
「先ほどから虫ばかりと……昆虫少年ならば些か可愛げが有るではないか」
「舐めるなと言ったはずだ!かかれ、ラオ!」
ラオと呼ばれた蜘蛛は跳ね、先程までいた壁に毒針を刺していた。
ひらりとかわしたゲンゾーはしかしふむと唸る。
(まずったな。こういった巨獣は儂の手に余る)
元々対人戦のみを想定した修行が裏目に出ていた。
人型の魔物ならば大抵は軽くあしらえるが、こういった人型から離れた存在はどうしても単純な膂力が求められる。
「ええい、エリルや、さっさと来なんだか!」
居ないエリルに毒づき、かかってくる蜘蛛の前脚に人差し指と中指のみ伸ばした裏拳を放つ。
「何!?」
すると何故か、蜘蛛の脚の関節が外れたのか、蜘蛛は苦し紛れにもう片方の前脚を繰り出して来た。
「戯け、今何をされたかもう忘れたか、小虫よ」
難なく同じ事をし、前脚を完全にへし折ったゲンゾーは、そのままガラ空きになった胴に、
「せっ!」
体幹から動かした正拳突きを放った。
ぐちゃりと蜘蛛の腹が潰れる音がして伏し、
「何だと!?」
驚愕して隙を作ったザグラスに肉薄したゲンゾーは、
「親切よな貴様は」
手刀をこめかみに放ち、返しに脇腹を抉る一打を放つ。
「何せ護衛対象を放置してぼっ立ちしておったからな」
完全に気を失い倒れ伏したザグラスは、そんな皮肉は届いていなかった。
ステータス更新
NAME・ゲンゾー
レベル・1
クラス・不明
筋力・D(EX〜H)
耐久・E
敏捷・B
魔力・H
対魔力・H
属性・不明
保有スキル
陣地作成・F
徒手空拳→拳法・H
見切り・B
固有スキル
異界の魂・A
不屈の精神・A